わざわざレフト外野スタンドに陣取って
来る日も来る日も逃げ場のない、うだるような暑さ。
それでも毎日、「じいちゃんちがいい」とやって來る小学1年生、悠雅君。
やがてこんなジジなど見向きもしない日が来るのが分かっているだけに、汗をかきながらも相手を勤める
幸か不幸か、カープタウン由宇球場で対ソフトバンクの二軍戦が行われていた。それを見に行きたいという。
今年はもう2回もマツダスタジアムへ一軍の公式戦に連れて行ったじゃないか、と思いつつもお付き合い。
この暑い日差しを少しでも避けようと、家庭用小型のテント「ワンタッチ サンシェード」なるものを抱えて。
球場に着けばテントで日差しを避けるのジジと、昼ごはんや飲み物のクーラーボックスだけ。
「ホームランボールを拾いたいんよ」といって、ガンガン日差しの下、外野芝生の上でひたすらホームランを待つ。
いつの間にか、全く知らないおじさんとえらい親しく話を始めた。野球談議をしている様子。
なんと7歳児がちゃんと敬語で話している。「ここには時々来ます」「きにょうは、大瀬良で負けましたね」などと。
相手をしてくれる人がまた気のいいおじさんで、えらくウマが会ったようで、くっつくほどに寄り添って話していた。
そのうちおじさんは、バッグから取り出したカープ選手サイン入りボールを「あんたにあげるよ」と渡してくれた。
「もらってもいいかね?」と悠雅君の目がじいちゃんに問いかける。「ありがとう言ってね」うなずいてやる。
そのボールで、くだんのおじさんと近距離キャッチボールを始めた。「オッ、スジがええよ、こりゃ期待が持てる」
などと褒められて大喜び。そしたらまたまたご褒美が。「これはマツダスタジアムでホームランボールを捕ったやつ」
と言いながら、もう一つをバッグから出して手渡してくれた。これには、いささかジジも気兼ねになって、「本当にいいんですか?」
「ええんよ、これほど興味を持つ子に出会ったのも何かの縁じゃけー」と、喜んで渡してくれた。
『後生大事』という言葉そのままに、嬉しそうに硬式野球ボールを二つも頂いて帰った。
家に帰ればシャワーもそこそこに、「キャッチボールしよう」と、その硬球でキャッチボール。
あの人出もさほど多くはない由宇球場で、こんな偶然、こんな出会いに巡り合うとは。
案外、いい星の下に生まれたのかな、それとも野球に対する姿勢への天からのご褒美なのか?
悲鳴を上げそうな炎天下ではあったが、とても素敵な交流の一日を過ごした悠雅君。ジジもご満悦!!