母親ゆずりの浴衣を喜ぶ孫 錦帯橋花火ではありません(ネット拝借)
8月6日は、広島発「世界平和を願う日」である。
言うまでもなく71年前、昭和20年8月6日午前8時15分。人類初めての原子爆弾が広島市中心部に投下された日。
広島平和公園原爆慰霊碑では、厳かに平和を祈る記念式典が行われた。
こちらでも、8時15分に市の防災無線を通じてサイレンが吹鳴され、1分間の黙とうを捧げた。
そんな8月6日の夕べ、岩国市を流れる二級河川「錦帯橋が架かる錦川」で、恒例の『錦川水の祭典、花火大会』が行われた。
里帰りした倅夫婦も希さんを連れて、花火見物に出かけた。
その時の希さんが、ちょっとおとなし目ではあるが可愛い浴衣を着せてもらった。
ジジババはまだ買ってやっていないな~と思いながら「ホ~かっこいいね」と思わずつぶやくと「私のお下がりです」と嫁が言う。
20数年前、両親から贈られた初めての浴衣。それを嫁のお母さんが大事にしまっておいてくれた思い出の品。
それを今、ばあちゃんの手でホンの少し着丈を直し、3歳になった希さんに着させて喜んでいる嫁。
お金持ちの家に嫁いだわけではない実情をよく心得ていてくれる。
これはこれで実に堅実で微笑ましいが、それ以上に、20数年もの間、大切にタンスにしまっておいた上に、
こうしてすぐに取り出して着せられる状態を保たれた、嫁さんのお母さんの行為に、気持ちが軽くなる温かさをおぼえる。
世の中「断捨離」が叫ばれ、私たち自身も「本気で断捨離しておかないと、若い者に迷惑かける」と思いがちである。
そればかりを優先させてよいのか、という思いもある。単に懐古趣味でも欲張りでもない「浴衣のお下がり」に、気持ちの中を涼やかな風が吹くような思わぬプレゼントをもらった心地がする。
核兵器のない世界平和に祈りを込める日に、取るに足らない小さな平和を感じさせてもらった。少し大げさかもしれないが。