ガラパゴス諸島の塩を噴く、ウミイグアナ
昨年暮れに通い始めた耳鼻咽喉科医院。「蓄膿症」との診断から数か月通ってもはっきりした改善が見られなかった。
そのうち、治療薬のアレルギー反応が現れ、それまでの治療方法を見直すなど、紆余曲折に見舞われる羽目になった。
ついに担当医からCT検査を勧められた。ここらあたりから一気に「手術による治療」が浮上した。
4月初め、担当医からの紹介状をもって、国立病院機構岩国医療センターでの精密検査を実施。その結果、手術しますかそれともこのまま治療を続けますか、判断をゆだねられた。その時点で気持ちは手術する方向に大きく傾いてはいた。でも、もし手術しなくても完全に治る可能性があるのならその方法を選択したい気持ちであった。
「お若いですから手術をお勧めします」という担当医の言葉に乗って、入院手術を選択した。
5月末に手術。1週間の入院を経て退院。その後、週に1回の執刀医の通院診察を1か月。
これが痛いのなんの。鼻の奥にカメラを突っ込んで術後の傷跡やカサブタの状態をチェックされる。毎回涙がチョちょぎれる。
退院2カ月目に入ってようやく2週間に1回の通院となり、このたびやっとこさ無罪放免を言い渡された。
今度は、国病の手術執刀医から紹介状をもらって、初診の担当医に最終診察を仰ぐことになった。
おおむね一段落、と一安心はしているが、医師処方による鼻洗浄用塩水で、朝晩確実に2回の鼻洗浄ノルマは残っている。
これは実に心地いい簡単治療ではある。右の鼻から左の鼻へ塩水を押し通す、またその逆を繰り返す。
下世話な話でたとえは良くないが、まさに夜の蝶の如くハナからハナへ・・・。
この心地いい鼻洗浄の後が実は大変なのである。鼻の奥の奥に注入した塩水はなかなか一気に吐き出せない。
じわりじわりと出てくる。少し俯いたりすると、ボタボタと音を立てるほどの勢いで鼻水がしたたり落ちる。
なんとも、百年の恋もいっぺんに冷めるほどの醜態である。それを避けるために、鼻洗浄後しばらくは、ガラパゴス諸島の潮吹きウミイグアナの如く鼻から塩を噴き散らしている。ティッシュが手から離せない。
でもまあ、ここまで来られたお陰で、ようやく「副鼻腔炎」治療が終りを告げそうである。先ずはめでたし。