70㎝の大物ヒラメを前に、ちょっと興奮気味のマゴ二人
孫の悠雅君のお父さん、つまり婿殿は毎年この季節に本格的な魚釣りに出かける。
職場の釣り愛好仲間数人で、積み立てを行い、年に1度か2度大物を目指す釣り大会を催している。
今年はヒラメをターゲットに、大分県の国東半島近くまで繰り出したのだという。
専門の漁師さんが操船する漁船一隻をチャーターして「1日がかりの魚との闘いになる」と、疲れた顔で話す。
これまでも何度か、これはブリ、これはハマチなどと、まさに獲れたて新鮮な刺身を食べさせてもらった。
今回は目的のヒラメが釣果だと言って、少し鼻を高くして70cmもある大型ヒラメと、ハマチを数本持ってきた。
これほど大きな活きたヒラメは見たことがない。どんな豪華な料亭のいけすでも、どんな大きな養殖場でもお目にかかっていない。
第一、こんなのが海の底に横たわっていて、釣り人が垂らした餌に食いつく、そして釣り上げられるとは。
これは改めて、魚釣りという趣味に血道を上げる「釣りキチ」の胸の内が判るような釣果である。
我が家に持ってきてからがさあ大変。普段は狭くない調理台なのに、この大物君は調理台をはみ出す。
「どこから手を付けようか」と言いながら、調理の腕はベテランでも魚さばきは素人の「にわか調理師」は、精一杯の包丁さばきでなんとか三枚に卸す。ヒラメとハマチ、片身の刺身だけで大皿に2枚も3枚も。頭やアラは即刻煮付け。
幸いなことに、刺身大好きの倅一家も里帰りしていて、娘一家と併せて総勢10人の、新鮮刺身宴会となる。
大吟醸を惜しげもなく?封を切り、厚めに切った刺身を頬張る。熱々の煮つけに箸をつける。出始めた岩国レンコンの三杯酢が脇を固める。ヒラメの刺身がこれほど遠慮なく食べられる贅沢を味わい、日本酒の味を噛みしめる。
そんな神無月ついたちとなった10月のスタート。食べ物がおいしい、お酒が旨いと感じられるのも、健やかな身体あってのことか。