演目 桜三題(メドレー)
演目 越後獅子
お盆がとっくに過ぎて、夏休みも終わりが近いというのにまだまだ続くこの暑さ。どうすりゃいいのよといった声が聞こえるこの暑さ。
そんな日々の中で思わぬ納涼の調べへのご案内を頂いた。母校の高校と付属中学校の長唄三味線部による「長唄三味線の会」へのお誘いである。
公式会場の多目的ホールなので間違いなく冷房完備。海辺でも川のそばでもないが納涼には違いない、いそいそと出かけた。
よく考えてみれば自分の普段の生活の中で、あまりにも縁遠い長唄の世界である。ただ三味線には小学時代に強烈な印象を植え付けられた記憶がある。昭和26年夏、当時の国有鉄道が地元に新たな「南岩国駅」を作ってくれた時のこと。地元全体が湧き上がるお祝い行列の中で、私の地区から出されたシャギリから流れる、締め太鼓と三味線の華やかなお囃子に魅了された。あの時以来、三味線の音には何とはなしに血の騒ぐ思いがする。
そんなこんな思いを胸に客席のほぼ真ん中に陣取った。遥かな後輩諸君の練習の成果をこの目で確かめたかった。
「梅の宴」に始まり「「末広狩」と続き「桜三題」は、❝元禄花見踊❞ ❝さくら❞ ❝京鹿子娘道成寺❞のメドレーで聞きごたえがあった。
さらに鏡獅子や勧進帳など、歌舞伎や歌舞伎舞踊の音楽とされる素晴らしい演奏の数々を堪能した。
ちなみに、三味線音楽についてもジャンルによる分類で、「長唄(ながうた)」「端唄(はうた)」「地歌(じうた)」「民謡」などがある。
長唄には清元(きよもと)・常磐津(ときわづ)・義太夫(ぎだゆう)ほかいくつかが含まれる。端唄には小唄が含まれるなどなど、歴史が長いだけにそれぞれ深い話があるようだ。全てを理解するには少し時間が掛かりそうである。
小難しい話はさておいても、終わりに近い暑さの中で素敵な時間が持てたことを、後輩諸君に感謝したい。