
田植えもほぼ終わり、また水田地帯は静かな朝を迎えるようになった。
川岸の緑も繁茂し、春はその名残を残しつつも夏を迎えようとしている。

コゴメが繁り、両岸が「ヨシキリ」や「カモ」達の営巣地にもなろうかと言う静かなたたずまい。

しかし、静かな水面に水のわずかな乱れが見える。

やがて水面を乱した生き物がその正体を現す。
そうか、今年も鯉達の恋の季節が始まったのだな。

大きな野鯉の群れがひしめき合っている。
雌雄の比率は分からないけれど、何匹かの雌の散乱を促すために雄が体当たりをしているのです。

背中を水面から出して激しく動く。鯉の恋は中々激情型のようです。
生後数年は経とうかと言う大きさだから、あの大きなコンクリートブロックさえ押し流した、
猛烈な水害から生き延びた鯉に間違いなかろう。
「百瀬の滝を登りなば~たちまち竜になりぬべき~♪」の歌詞が頭をよぎる。
自然万歳、逞しき命万歳。
でも、病気の様子一つ見えない健康そうに太った鯉に思わず食欲も働いたのは罪か。
川で生まれ、川で育った健康な野鯉の味は、それはそれは美味しいものなのですよ(笑)。
鯉達よ君たちの恋路の邪魔なんてしないから懸命に春を謳っておくれ。