(タラの芽と根曲がり竹の子とアンニンゴ)
タラの芽
「タラの芽」は山菜の王様ともてはやされ、最近は私の畑の回りでも多く栽培されている。
畑で栽培された「ウコギ科」の「タラの木」は晩秋に刈り取られ、ハウスで促成栽培される事となる。
今はポピュラーになったため野山の「タラの木」はいじめられ哀れな姿を晒している木が多い。
簡単には手に入りにくい山菜にさえなってしまった。
今ほど山菜が騒がれず、まして地元以外の人が山に入る事など殆ど無かった頃の事だ。
苛められる事も無く伸び伸びと育ち、胡桃の木と見間違うような立派な姿に成長した「タラの木」の大木が数本、
杉林と畑の間の藪の中にあった。
当然のことながら、いくら太くてもタラはタラ。鋭い棘で取り付いて上ることなど至難の業。
イソップ童話の狐よろしく、木の下で考えた。思案の挙句思いついたのが釣竿。
家に引き返し、継ぎ竿の先に小さな鎌を縛り付け飛ぶようにして戻った。狐ならぬ人の知恵も大成功。
次々と切り落とし、立派な「タラの芽」をまんまと手に入れ意気揚々と帰り、天麩羅に仕立て、
文字通りの「たらふく」のように食べ飽きるほど、沢山食べることが出来たのだ。
そして、それでもなお残った沢山の「タラの芽」は近所にもお裾わけで、春の山の恵みを食べて頂く事となった。