休憩代わりにゼンマイ揉み(その1)
山の畑は崖と呼んでも良いほどの急斜面から始まっている。
あまりゼンマイ採りをしていなかった頃だから、10数年も前のことになる。
春の畑仕事をしていると顔見知りの村の男がゼンマイをたくさん採って斜面から上がって来る。
気にも留めないでいたのだったが、ある時自分もその斜面を降りて驚いた。
なんと、畑のすぐ下からゼンマイが大量に出ていて、しかも採る人が少ないためか太くて立派なゼンマイなのだ。
そして、その下方には独活の密生地さえあるでは無いか。我が家の山の畑は山菜畑付きだったのです。
それからはその一帯は私専用の山菜畑となる。
夫婦で朝早くから畑で働き、お昼上がりをする時は軽トラの回送を妻に託し、ゼンマイ採りの支度に着替え、
履物も換えてゼンマイを採りながら山を下る。
1時間に満たない時間で山の下にたどり着くころには背中の「ゼンマイぶうとう」が一杯なっていて、
昼ごはんも出来上がっているという段取り。
(続く)
(注-「ゼンマイぶうとう」はネルなどの夜着の袖をもいだ物で、裾を腰の部分で縛り採ったゼンマイを入れる)