アントニオ猪木の手(その2終わり)
二人で裸押し合い祭りに招待され、餅の播き手として境内に向かう途中のようだった。休憩時間も終わりに近づき、二人が餅を播く姿は見られなかったが、当日はその二人の姿を見るために集まった観衆も多かったのではなかろうか。
浦佐の裸押し合い祭りは、江戸時代の奇書とも言われた、「北越雪譜」にも記されている。当時は男女が押し合いに参加し、男はふんどし姿、女性は腰巻のみだったとか。
男女が裸で押し合うとは、現代では見られない変わった光景であろう。著者の鈴木牧之いわく「裸で押し合っても神のご加護により、みだらな気持ちになることは無し」とも書き残している。
明治13年生まれの祖母も自分で参加したのか、人づてに聞いたのか押し合いをする堂の中が立錐の余地もないほどの賑わいで、人の頭の上をいくらでも歩けたと言っていた。今はと言うと、見物客は多いが押し合いに参加する人数は少ない。まして、女性がその押し合いの中に入るということなど見たこともないし、今の時代では無理な事でもあろう。
話は脱線したが、アントニオ猪木さんとの握手。そして、裸押し合いと忘れられない思い出だ。
(その2終わり)