畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載263「縁(えにし)その2」

2022-02-04 12:30:51 | 暮らし

    縁(えにし) その2

 父の実母は父が2歳の時に死亡し、親子の縁は薄かった。しかし、実家の皆さんは幼くして母を亡くした父を不憫に思い、随分可愛がってくれたように父に何回も聞かされていた。

 しかし、その実家も代替わりして我が家の事など伝え聞いてはいないような様子でもあったのだ。結局、所用を理由に欠席を告げられその後のお悔やみも無かった。

 我が家の下の娘は医療系の仕事につき、リハビリを専門として働いている。その娘が仕事から帰宅するなり驚きの話を伝えた。その父の実母の実家のお婆さんが娘の病院に入院していて、なんとリハビリを娘が担当していたと言うのだ。

ある日「あなたはどちらの出身ですか」と訊ねられたという。娘は「魚沼の堀之内です」と言うと、「あら、私も堀之内に親戚があるのよ」と言われ、言葉を続けて亡くなったばかりの父の名前を出したと言う。

          (続く)

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連載263「縁」(その1)

2022-02-04 04:17:37 | 暮らし

 文中では17年前になっていますが、いまから20年前になりました。

当時は自宅で葬儀、告別式を行いましたが、今はコロナ禍もあり、身内だけでの場合が多い。

 

        縁(えにし) その1

 

 父が亡くなってから17年も過ぎたが、亡くなる前後の事は昨日の出来事のように思い出される。後悔の苦い思いも胸の内に湧いてくるが、いまさらどうしようも無いことだ。

人が亡くなる際には不思議な事象があると良く聞く。父の場合もどうしても説明のつかない、いや付けられない不思議なこともあった。

 父の病状からある程度の覚悟はできていて、ひそかに心の内ではそれなりの準備、心構えも作ってはいた。

 いざその時となり、兄弟親戚、巻、近所と知らせた。親戚関係には「告げ」と言う、葬式への列席をお願いする文章も配った(今は葬儀屋で準備してあり、すべて手書きだった時代とは違い、徒歩で届ける手間も要らず楽になったのだが)。遠くて郵送では間に合わない親戚には電話でお願いすることとなる。

 父の葬儀で困ったのは実母の実家への連絡だった。いや、連絡そのものは電話でできたのだが、出た電話口の向こうでの困惑の様子がすぐに分かった。

      (続く)

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