おかげさまで(その1)
ある年の会合で元NHKのエクゼグティブアナウンサーと言う肩書の「村上信夫」さんの講演を聞く機会に恵まれた。講演の題名は「言葉の持つ力」だったという風に記憶している。同じ内容を伝えるにしても、言葉の使い方ひとつでとらえ方、反応が違うという。
都知事として、大方の予想を覆して東京知事になられた小池さんの失敗例を上げられた。新党「希望の党」を立ち上げたまでは良かったが、ある政党からの合流組の一部を『排除いたします』と笑顔で言い切ったことが大失言で、以降の野党の分裂の引き金にさえなってしまった。「あれは、排除ではなくて『ご遠慮いただく』とした方が反発は生まれませんでしたね」と言われて首肯するばかり。
エグゼグティブとは上級管理職とか経営幹部を指す言葉だそうだが、さすがに話の専門家であり、説得力に満ちた話ではありました。特にラジオ部門のアナウンスが長いというから「しゃべり方、お話し」の専門家。言葉の持つ力を上手にまとめられました。
講演制限時間が迫り、終わりに近づいたタイミングで「ところで皆様『おかげさま』って言葉を使いますが誰に、何に対して言葉でしょうか」とご発言。会場の100人は優に超え200人近いと思われる参加者で、手を挙げて答える人は現れない。
(続く)