おかげさまで(その2終わり)
「はい、そちらの前から三列目の右端の方、いかがでしょう」と指名して答えを求められる。「親でしょうか」と遠慮がちに発言すると「近いかもしれませんか違います」と言われる。次の指名者は「ご近所かな」「友人」などと何人かが答えられたがどれも不正解。
何だろうかと思いを頭の中で重ねているうちに、少し離れた席の女性が遠慮がちに手を挙げて自信なさそうに「ご先祖様でしょうか」と答えられた。村上さんは「そうです、やっと正解が出ましたね」と言われる。言葉を続けて「私たちが今日こうしてこの場にいられるのは、ご先祖様あってからの事。私たちの命はご先祖様から頂きずっと繋がってきたのですね」と言われます。会場の全員は納得の嘆声。
亡くなった親に倣って新しい炊き立てのご飯を仏壇に供え、リンを鳴らして数珠を手にして拝む。それからは仏壇に対する拝礼も意識が変わり、心がこもるようになった。かな。ここのところ、そのお参りに仲間と言うか同志ができた。満二歳を前にした孫が見習ってリンをたたくと手を合わせるのだ。
なんと、ご飯でテーブルの子供用の椅子に座っていてもリンの音が聞こえると手を合わせるというから習慣の怖さと言うか、有難さを感じてしまう。
(終わり)