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春の彼岸の入りを前に、お墓に仏様を迎えに行く。
2メートル近い石塔が立ち並ぶ墓地も一面の雪の原。
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熱心に前日、もしくはそれ以前からお墓を掘り出した家も有る。
でも、忙しいと石塔を掘り出すことは諦める。
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我が家のお墓の後ろは掘り出してある。
でも、怠け者、先祖不幸のスベルべは簡単に雪の「お堂」を作って間に合わす。
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ゴメンナサイ、花もお供えも持って来なかった。
極めてシンプルにロウソクと線香だけれど、家に帰ったら御馳走しますからね。
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時代が変わったと言うべきか、なんだか墓地にまで来る人は少ないようだ。
若い人は平日で忙しい。年寄りは足元が悪くて来れないのです。
今でも語り継がれる豪雪。「56豪雪」の年もお墓に来た記憶が有る。
その時など、石塔の僅かな起伏さえ全く分からない、水平の雪原だった。
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最後に、小さな石塔が並んでいる雪の上に線香を供える。
父には、旅の途中で亡くなったりした無縁仏のお墓だったと聞いている。
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ここ、お墓に近い所までの除雪は前日に終わったばかりだと言う。
2メートルを越える雪の壁の中を知人の青い軽トラが帰って行く。