東 理夫(訳)
10月14日から公開された映画「ブラック・ダリア」は 事実を脚色した小説をもとにしたもの
こちらは父の死後 遺品を整理していて 気付いたことから 過去の事件の再調査を始めて― 証拠 人々の話 自分の記憶
それらから遂に作者の想像する真実に 辿り着く
筆者は 長年ロスアンジェルスの刑事であり 退職後は私立探偵となった
その豊富な経験を生かし 感嘆すべき執念で 事件を追い続けている (現在進行形だ 彼はまだ事件を追っている)
1947年1月 二つに切断された女性の全裸死体が 発見された 遺体には拷問のあとがあり その口は無惨にも耳まで裂かれていた やがてエリザベス・ショートという名前と ブラック・ダリアと一部の人間から呼ばれていたことが分かる
誰がこんなひどい犯行をしたのか
筆者の父 ジョージ・ヒル・ホデルは 性病の治療も行い 外科医としての経験もあった 警察捜査へ圧力かけるだけの 人脈と財力も
あと悪魔的 いっそ猟奇的と 言い換えてもいい
そんな思想持つ人間達との交流も
写真 イヤリング 黒子
遺体に置かれた 男物の時計
女性が好きで 倫理感がなく
その上 殺人は一つだけでない
父の死後 その犯罪を 立証しようとする息子 何かに とり憑かれたように
黒髪と口髭
私が思いだすのは 違う時代の 余りに有名な殺人者
切り裂きジャック
彼も黒髪に口髭の人物であった―という説がある
生まれ変わり というものがあるのなら―と私は思うのだ
生まれ変わるたび 女性を惨殺せずにはいられない魂
心の奥底で悲鳴をあげながら 殺し続ける男
これはこれで 別の物語ができるかもしれない
いつか真実が証明され 哀れな被害者の魂にやすらぎが訪れる日がきますように