夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「猫と女」

2009-08-18 19:29:42 | 自作の小説

夢の話でございます
ええ・・・どうして そう猫を可愛がるのかというお尋ねでございますね

はい わかっておりますとも 合点承知・・・

では ありますが

随分とチビの頃に迷い込んできた猫がございましてね
こう掌に乗せて 包めるほどの大きさでございましたよ

その猫が来て半年ばかり経ちました頃

その頃のあたしは惚れたつもりの男と暮らしておりました

夏の暑い夜のことでございます

肌の上に こう 薄物かけて 暮らしてた男(ひと)と休んでおりました

と こう 胸が苦しいのでございます

指一本動かせず
横に寝る男(ひと)に救いを求めようとするのですが 聞こえるのは健やかな寝息ばかり

あたしはこんなに苦しいのに 恐ろしいのにどうして気が付いて助けてくれないのかしら

ちらっとそう思いもしました

閉じた瞼の裏にぼんやり白い貌(かお)が浮かんできまして その細面の顔の表情が見る間に恐ろしく崩れ変化していくのでございます

それは恐ろしゅうございましたとも

瞼裏にいっぱい広がる女に殺される
そう思いました

動けないのでございますから

もし目を開けることができたら その女はべったりと この身の上にへばり付いていたでございましょう

もう駄目だと思いました

そこへとんと乗ってくるものがあり その恐い女は姿を消しました

あの猫が 確かに隣の部屋におりましたのに どうやってか 戸を引き開けて助けに来てくれたのでございます

やっとどうにか目を開けますと猫は つつと枕元へ移動し 何かを追いかけるように 狙うように姿勢を低くしながら部屋の四隅を進み 開いた戸の隙間から隣の部屋へ

そのまま力が抜けて あたしはまた眠っておりました

夢さと言われれば夢であったのかもしれませんが 例え夢の中にしても あたしは猫に救われたのでございますよ

それからね 寝てしまえば それまでの男より よほど猫がよくなりました

愛しくかわいく

その時の男とは いつしか縁が切れちまいましたのさ

男は心も変えれば浮気もする

でも猫は こう普段は勝手してるようで いざという時 助けてくれる不思議な力を持っているのでございます

幽霊とかお化けとか くわばら くわばら

「そういうお前さんの猫だって猫又じゃなかろうか」ですって

かまいませんとも 猫又 おおきに上等でございますとも

おいといておくんなさいましな


湊かなえ著「贖罪」 東京創元社

2009-08-18 11:19:42 | 本と雑誌

湊かなえ著「贖罪」 東京創元社
湊かなえ著「贖罪」 東京創元社
湊かなえ著「贖罪」 東京創元社
五人の少女が遊んでいた

作業服を着た男はエミリと言う少女を連れ去り殺した

娘を殺された母親は一緒に遊んでた四人の少女を 町を離れる時 罵倒する

一番小柄な紗英は成長しても生理が来なかった
やがてそれでもいいと求愛してくれた相手の妻になるが 夫となった男は恐ろしい秘密を抱えていた
堪えきれず夫と言い合いになった紗英は 身を守る為 夫を殺してしまう

エミリの母親の麻子は 紗英からの手紙を受け取り
自分はもう少女達を許していたのだと 手紙を送るが

教師となっていた真紀にも それは暗い影を落とす

もう誰にも子供を殺させない
必死に子供達を危ない男から守ったのに いわれなき疑いと攻撃を受けていた

事件以来引きこもりになっていた晶子だが 妻の連れ子に性的暴行をする兄を絞殺してしまう

由佳は 姉の夫と関係を持ち妊娠し そのことで相手と揉めー身を守る為に 突き飛ばす

落ちて相手の男は死んだ

エミリと遊んでいた少女達は四人とも人を殺したことになる

麻子は 自分の若い頃のこと エミリの本当の父親のことを思い出す

全ての始まりは 麻子の若き日にしたことにあったのだ

罪の輪は閉じただろうか

贖罪ー
罪は償えるものだろうか