穴持たずの羆は とても危険
撃たれ手負いとなった子持ちのシャトゥーンに襲われ 喰われ続ける人間達の恐怖の物語
北海道 天塩の研究林に双子の弟や知人と新年を過ごそうと 瀬戸の運転で訪ねた薫は 小屋に向かう途中 羆に襲われた死体と遭遇する
それが全ての始まりだった
羆を手負いにした西
薫の双子の弟 昭
薫の若い友人眞伊子とその恋人エスコ
薫の娘美々
薫に思いを寄せる瀬戸
彼らは小屋に篭るが 一人また一人と羆の餌食となっていく
誰か生き残ることができるだろうか
昔見た映画「グリズリー」よりも生々しく更に恐ろしい
羆に逢えば助からない
熊を倒すべき敵とした犬を主人公とした漫画に「ウィード」がある
この漫画を読んだ時 ここまでの化け物はいないんじゃないかと思ったが
この小説のシャトゥーンは そう 故・淀川長治氏ふうに表現するならば
「こわいですね~ 恐ろしいですね
何処までも追ってくるんです
いなくなったと思ったら 賢いですね
熊はね 人間で遊ぶんですね
ああ 恐い」
解説は夢枕獏氏です