うつけ者の値打ち 風の市兵衛 (祥伝社文庫) | |
辻堂 魁 | |
祥伝社 |
悪い一味に利用され 脱藩し行方をくらますしかなかった戸倉主馬(とくら しゅめ)
流浪の果てに江戸で身を売る女がいる場所の店の用心棒を生業とするように
その頃には名前も変えて 場所からとった姓・薮下と
下の名前は三十郎
薮下三十郎と名乗るようになっていた
鍋一つと風呂敷包み持ち来てくれた働き者の女房との間に子供もできる
そんな男が自分さえ脱藩すれば他の人間は救われるーその代わり藩に残る家族の生活はみようー
だから家族と連絡とるな 行方はくらましたままでおれー
言われて馬鹿正直に守り抜きー
しかし相手の男達の言葉が嘘だったと知った時
騙されていたのだと知った時ー
困窮のうちに父親は衰えて死に その後 母と妹は自害
惨めに死んだのだと
彼は行動を起こした
あとの事を 妻子の生活なりたつように唐木市兵衛に頼んで
剣をかわす出会いではあったが 通じるものを感じていた市兵衛はその頼みを引き受け
薮下三十郎の為に動く
その希いを叶える為にー