{信号待ちで停まると車の何処からかカタカタと言う音がするような気がする
そうなると運転中も気になって
この音は何処からー
車の底から聞こえるよう
でもまさか 車の下ーなんて
気のせいと思いこもうとした
それが帰宅が遅くなった夜 丁度 周りは田んぼばっかしーそんな場所を通っている時
信号待ちしてても対向車も全然来ない
後続車も居ない
早く信号が青に変わるといいーと思いながらの信号待ち
そんな時に限って信号はなかなか変わらない
カタカタ カタカタ
コンコン コン
まるでノックするような音に変わり
それらは全部 車の下から聞こえる
ーそして
助手席の側の底がベリリと浮いた
そこから入ってきたのは 黒い男だった
目も鼻もどんな形か分からない
口ばかりが動く顔
男は言った「ずうっと入れてくれて合図してたやないか」
前も見ずに運転者はアクセルを踏み込んだー}
車のラジオもCDデッキも調子が悪くなり助手席に乗せた女に眠気覚ましの話を頼んだ
すると女は「つまんない話でいいなら」と話し始めた
それが これだ
あんまり気持ちが良くない
「ああ その話はもういい!気持ち悪いじゃないか」
そう女に言ったら
「でも この話はまだ続きがあるの 中途半端はよくないわ
最後まで聞いた方がいいわよ」
そう言って続けようとする
「なんでだよ」
「だって黒い男に出会ってしまった運転中の女がどうなったか知りたくない」
「ちっ 勝手にしろ」
「事故を起こして絶命寸前の女に 黒い男はこう言ったの
さあ これで交替だ 次のバトンを渡すとアンタも楽になれるさ
で バトンを渡された女は考えたのよ
実体が無いとはいえ 黒い男みたいに車の底に張り付くのは面倒だなって
女は何しろ美人だったから 男ならひっかけやすいって
特に馬鹿でスケベそうな男なら
はい わかったでしょ」
そう言って女は微笑んだ
いたずらっぽく俺を見る
女の顔が たぶん事故で大怪我して絶命したであろう時の血塗れの顔に変わる
その顔で言った
「次は あなたの番よ」
ああ 思い出した
俺は この女を墓地近くの交差点で車に乗せたんだ
茫然とした俺は踏切の真ん中でブレーキを踏んで 車が動かなくなった
そこへ ひどくまばゆい光
物凄い音
ああ 俺は どうやら俺は
バトンを受け取ってしまったようだ
そうなると運転中も気になって
この音は何処からー
車の底から聞こえるよう
でもまさか 車の下ーなんて
気のせいと思いこもうとした
それが帰宅が遅くなった夜 丁度 周りは田んぼばっかしーそんな場所を通っている時
信号待ちしてても対向車も全然来ない
後続車も居ない
早く信号が青に変わるといいーと思いながらの信号待ち
そんな時に限って信号はなかなか変わらない
カタカタ カタカタ
コンコン コン
まるでノックするような音に変わり
それらは全部 車の下から聞こえる
ーそして
助手席の側の底がベリリと浮いた
そこから入ってきたのは 黒い男だった
目も鼻もどんな形か分からない
口ばかりが動く顔
男は言った「ずうっと入れてくれて合図してたやないか」
前も見ずに運転者はアクセルを踏み込んだー}
車のラジオもCDデッキも調子が悪くなり助手席に乗せた女に眠気覚ましの話を頼んだ
すると女は「つまんない話でいいなら」と話し始めた
それが これだ
あんまり気持ちが良くない
「ああ その話はもういい!気持ち悪いじゃないか」
そう女に言ったら
「でも この話はまだ続きがあるの 中途半端はよくないわ
最後まで聞いた方がいいわよ」
そう言って続けようとする
「なんでだよ」
「だって黒い男に出会ってしまった運転中の女がどうなったか知りたくない」
「ちっ 勝手にしろ」
「事故を起こして絶命寸前の女に 黒い男はこう言ったの
さあ これで交替だ 次のバトンを渡すとアンタも楽になれるさ
で バトンを渡された女は考えたのよ
実体が無いとはいえ 黒い男みたいに車の底に張り付くのは面倒だなって
女は何しろ美人だったから 男ならひっかけやすいって
特に馬鹿でスケベそうな男なら
はい わかったでしょ」
そう言って女は微笑んだ
いたずらっぽく俺を見る
女の顔が たぶん事故で大怪我して絶命したであろう時の血塗れの顔に変わる
その顔で言った
「次は あなたの番よ」
ああ 思い出した
俺は この女を墓地近くの交差点で車に乗せたんだ
茫然とした俺は踏切の真ん中でブレーキを踏んで 車が動かなくなった
そこへ ひどくまばゆい光
物凄い音
ああ 俺は どうやら俺は
バトンを受け取ってしまったようだ