レビュー一覧は、こちらから。
2020年。
イガンは、車いすのまま山に登ろうとしました。ヒョンジョに会って・・・霊であっても、話を聞きたいと思ったのです。
土台無理な話です。入口で躓き、車いすから転げ落ちてしまいました。
なのに、体を起こすことも出来ません。
イガンを発見したのは、キム・ソル。
助け起こし、分所に連れ帰ってくれました。
別れ際に、キム・ソルが言いました。
「手袋なんて、誰でも持ち出す事が出来ますよね。分所で洗濯するんだから。職員なら持ち出せますよ。」
チョ分所長が取り調べを受けているとキム・ソルも知っていました。イガンを慰めるための言葉だったのかも。
その言葉で、イガンは見方が変わりました。
イガンはチョ分所長に面会に行きました。
一つだけ質問があるとイガンは言いました。ダウォンが死んだ日、何故現場近くにいたのかと言う事です。
俺もあの日彼女に何があったのか、知らないと、チョ分所長は言いました。
イガンは、血の付いた黄色のリボンを保管しているのを知っていると言いました。
チョ分所長は、その言葉でイガンが戻って来た理由に気づきました。殺人者がいると知った上で戻って来たと。
「イルへに会え。あいつに何もかも話した。」
と、チョ分所長は言いました。
イガンにヒョンジョの病院から連絡が入りました。
容体は悪化の一途をたどっていて、脳死の判定を下される可能性があると看護師は言いました。
家族も覚悟していて、近々生命維持装置を外す決断をするかもしれないと。
「ヒョンジョを見送る事が決まったら、その前に私にも連絡をください。」
イガンが静かに言いました。
犯人を逮捕することが出来なかった後悔が、ヒョンジョを山に留めているとイガンは思いました。
だから、もしも自分が犯人を捕まえられたら、目を覚ますかもしれないと。
山はヒョンジョを生かしたいと言う自分の切なる願いを叶えてくれるかもしれないとイガンは思いました。
イルへはその時、本所に異動していました。
やはり膝が悪くなって、レンジャーとして現場での活動は出来なくなったようですね。
イガンはイルへと共にグヨンに話をすることにしました。
既にグヨンを疑っていると、イルへには打ち明けていました。
証拠があると言えば、自分を狙う筈だから、そこを捕まえると。
イガンが危険だとイルへは反対しましたが、イガンの決心は変わりません。
イガンは、戻って来た理由は、山で誰かが殺人を犯していると知り、犯人を捕まえたかったからだとグヨンに言いました。
イルへも、チョ分所長が同じ考えだということを言いました。
チョ分所長が疑念を抱いたのは、ヤン・グンタクの死亡事故が切っ掛けでした。
調べている時、変な場所に巻かれている黄色いリボンを見つけたのです。血がついているのもありました。
遭難場所とは違うところで遺体が発見された事件は他にもありました。その時も、黄色いリボンがあったのです。
誰かが誘導した、危険な場所に・・・とイガン。
そしてもう一つ、乳酸飲料です。
隊長の憶測かもしれないと、グヨンが言いました。
「ヒョンジョは犯人を知ってた。」
と、イガン。
そして、自分たちが雪山に行った理由を教えてあげると言ったのです。
2019年。事故の日。
ヒョンジョが1人で犯人を追って雪山に行ったと知ったイガンは、すぐに後を追いました。
待避所に行くと、ヒョンジョの姿は無く、連絡も取れません。
山に続く雪の上に残された足跡をたどったイガン。
赤いストックを見つけました。
待避所に緑のストックが残されていたのを思い出したイガン。
辺りを見回した時、足元の雪が崩れ、イガンは崖を転落。重傷を負ったのです。
罠だった
意識が戻った時、傍にはヒョンジョ。救助して応急処置をしてくれていました。
無線機が使えないので、電波の届くところまで行って救助要請して来ますとヒョンジョが言いました。
イガンは、切れ切れに、雪庇の上にストックがあったと言いました。
それだけで、ヒョンジョには分かったようです。
2020年。
そのままヒョンジョは戻ってこなかった・・・とイガンは言いました。
2019年。
確かに、ヒョンジョからの救助要請の電話は分所にかかっていました。受けたのは、チョ分所長でした。
コムンダリゴルだと叫ぶように言った後、連絡は途絶えました。
危機を察知したチョ分所長たちレンジャーが駆け付けた時、既にヒョンジョは血まみれで意識が無い状態。
イガンも救助されました。
2020年。
「あれは事故じゃなかった。他にも誰かが山にいた。」
と、イガンは言いました。朦朧とする意識の中で、ヒョンジョではない誰か・・・“レンジャー”が自分の様子を窺うように見ていたのに気づいていたのです。
勿論、警察に話をしました。
しかし、誰かがいたと言う証拠は勿論、ヒョンジョを害した証拠も無かったので、信じては貰えなかったのです。
「犯人を捕まえないと、隊長の汚名はそそげない。」
と、イルへが言いました。
方法はあるとイガンが言いました。
事故直前、ヒョンジョはコムンダリゴルにいたと分かっていました。証拠が残っている筈だと。
私を連れて行って、一人じゃ無理なの・・・とイガンはグヨンに頼みました。
グヨンはイガンを背負い、イルへが補助として付き添って山に登りました。
言葉の端々で、グヨンは自分が疑われていると察したかもしれません。
2019年。
ヒョンジョは、犯人が何故山で殺人を犯しているのか、その動機が分かりません。
また遭難者が発見されました。
通報を受けてイガンが駆け付けた時、既に息絶えていたようです。
ヒョンジョが到着した時には、イガンは呆然と傍に座り込んでいる状態でした。やはりまだ遺体に対して冷静には対処できないようです。
ヒョンジョは労わるように自分の上着をイガンに着せ掛けてあげました。
遭難者の手には、花が握られていました。
その花にイガンは見覚えがありました。
昔、花言葉は“幸せ”だと父が教えてくれた花です。イガンは、その時、父から渡されたその花を、足元に投げ捨てました。
夏季の災害に関する会議が開かれました。
ところが、イガンが参加していません。聞きたくないんだろうとグヨンが言いました。
夏季の山の災害で最も気を付けなければいけないのが、豪雨でした。
イガンの両親が豪雨災害によって亡くなったので、思い出したくないのでしょう。
イガンの両親が亡くなったのは、1995年の水害でした。水害の代表的な例として挙げられていました。
イガンの両親は、避難した建物ごと流されてしまったのです。
避難場所での会話を記録した資料が金庫から発見されていました。
皆、残された家族に遺言を残していたのですが、イガンの両親だけは残さなかったようです。それで、イガンは長い間苦しんでいたとグヨンが言いました。
今年も、その水害の慰霊祭が開かれました。
が、イガンは敢えて参加せず、どこかに出かけてしまいました。
慰霊祭の準備の手伝いをしていたヒョンジョは、飾られている集合写真に目が留まりました。
“民間消防隊”という垂れ幕を持った男性たちが写っていました。
その中の3人がヒョンジョが追ってる殺人事件の被害者だったのです。
調べてみると、避難出来た人の中に、3人の名前がありました。チョ分所長の名前も。
そして、死亡者名簿に、イガンの両親の名前がありました。
グヨンが言っていた避難所での会話の記録も保存されていました。
細かく時系列に被害状況が記録されていました。
1995年。
最初はかなり多くの人々がその建物に避難していたようです。
建物にいたのは、足を骨折した老夫婦とイガンの両親、学生3名、民間消防隊の3人、公園職員のチョ分所長とキム・ナムシク。
本所に連絡をして救助を待ち続けましたが、救助隊は来ず。
雨量はどんどん増し、周辺の橋が壊れてしまう状況に、脱出についての話し合いが始まりました。
建物の窓も壊れ、パニックになりかけ、今脱出しなければと言う意見が大勢を占めました。
しかし、無理な状況の人もいます。
結局、チョ分所長が嵐の中、脱出したいと言う人々と共に建物を出たのです。
動けない老夫婦がいるので、職員のキム・ナムシクは残ると言いました。そして、イガンの両親も、キム・ナムシク一人では無理だと、残る決心をしたのです。
記録を残したのは、キム・ナムシク。
老夫婦は、遺言を書き残しました。
しかし、イガン両親は書かないと言いました。必ず生きて帰るからと。
この、職員キム・ナムシクは、なんと、ヒョンジョの部下キム曹長の父親だったのです。ヒョンジョに不思議な能力が備わる切っ掛けとなった事件の。
2019年。
ヒョンジョは、事件の被害者は全員1995年の水害事故に関係していると気付きました。
慰霊祭のその日も、智異山には様々な目的で登る人々がいました。
ヤン・グンタクが進めようとしているケーブルカー建設に関して生態調査をする人々、反対するキム元所長を中心とした環境団体の人々、そして、1年ほど前に宝くじの当たり券を失くして以来、ずっと探し続けている女性も。
突然けたたましく警報が鳴り響きました。
避難警報です。
麓は好天ですが、山の上では豪雨だったのです。