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ギルチェは、もう随分前から、同じ夢を見ていました。
糸巻が転がるのを、どこまでもどこまでも追いかけていく夢です。
糸巻は赤い糸を垂らしながら、転がって行くのですが、その行き着いた先にいたのが、一人の男性。
男性は将来の夫だと思っています。
ただ、逆光になって、その人の顔はまだ見えたことがありません。
ギルチェは、これまでヨンジュンだと思い込んでいました。
でも、ジャンヒョンにkissされたことで、それが揺らぎました。
やっぱり、確かめなければと思いました。
既にジャンヒョンは世子の一行と一緒に旅立ってしまっています。
追いつくには、馬しか無いと思いましたが、両班の娘と言う事で駕籠しか貸してもらえないと言われました。
そこにいたのが、ク武官。
ギルチェは、ク武官に一緒に行ってもらう事にしました。
ピョ内官は、ジャンヒョンに一緒に清に行く気になった理由を聞きました。
忠誠心もなく出世にも興味が無いジャンヒョンが何故?と。
「今は朝鮮にいる意味が無い。それと、哀れな世子の運命が少し気になるからだ。」
と、ジャンヒョンは答えました。
ギルチェは、なんとか行列に追いつきました。
行列には、世子とその家臣たちだけでなく、民も多く奴隷として連行されていました。
見送る家臣や民の家族は泣き叫んでいました。
清の兵は、ギルチェを見つけ、売り飛ばすために連れて行こうとしました。
それを防いだのは、ジャンヒョン。
ジャンヒョンは揶揄うように言いました。
口づけしたせいで私に好意を抱いたのか?と。
こうなったら、負けず嫌いのギルチェとは喧嘩になってしまうのは目に見えています。
ジャンヒョンはギルチェがここまで来た理由が知りたいと思いました。
「夢を信じますか?」
と、ギルチェ。
突然そんな夢の話をされても、ジャンヒョンには理解出来ないし、意味も分かりません。
ジャンヒョンには時間も無いし、ギルチェの真意は結局伝わりませんでした。
で、こんがらがった話しの流れで、ギルチェはジャンヒョンに新しい靴がいると言ってしまいました。
ジャンヒョンは呆れて言いました。
私が履物を贈ったら、あなたは何をくれる?と。
「私が望むのは、たった一つだけ。あなたの心だ。私だけを想うあなたの心。」
そして、続けました。
「相手がいる男に色目を使う女人は純真無垢とは言えない。だから、あなたには私のような遊び人が似合う。」
思わずギルチェはかっとしてジャンヒョンの頬を叩いてしまいました。
そのまま行こうとしたギルチェの手を取って引き留めて、ジャンヒョンは言いました。
「二度とヨンジュンに恋慕しないと言えば、清に行くのは止める。言葉だけでもいい。心でヨンジュンを想うのはかまわぬ。言葉の上で毛でも誓うのなら・・・。」
ギルチェの心は混乱し迷いました。
しかし、結局、できないと言ってしまいました。容易には忘れられないと。
ジャンヒョンは両手でギルチェの頬を挟みました。
「そなたが憎い。」
ギルチェも、そしてジャンヒョンの目にも涙がたまっていました。
遠ざかる行列のジャンヒョンをギルチェは姿が見えなくなるまで見送りました。
ギルチェにも分かっていたんじゃないでしょうか。ヨンジュンへの想いとジャンヒョンへの想いは違うと。
ヨンジュンは、ウネにプロポーズしました。
嬉しい筈のウネなんですが、すぐにOKとは言えませんでした。
後金の兵に襲われ、顔だけじゃなく、肌も見られてしまったことが、ウネを苦しめていたのです。
ずっと、女性のあり方として、そう言う場合は命を絶って当然と教えられてきたからです。
資格が無いと言うウネの口を、ギルチェが塞ぎました。
「忘れたの?あの日私たちは山で転んで衣が破れて血が出た。それ以外は何も無かった。ヨンジュン様を幸せに出来るのは、あなたよ。」
その言葉に勇気を貰い、ウネはヨンジュンの妻となりました。
ギルチェは花嫁のウネを見ても、決して恨む気持ちは起こりませんでした。
ヨンジュンがウネを好きだと最初に知った時も悲しくなかったのを思い出しました。
自分の心が変わったと感じていました。
清の都に到着したジャンヒョンは、空き家を手に入れました。
商売をして、そこを朝鮮と同じような人気の妓楼にするつもりだと言いました。
ジャンヒョンは通訳官と言う立場なので、比較的自由に動けるようですね。
ホンタイジは、世子に、逃げた朝鮮の捕虜を捕まえるよう命じました。
流石に世子はそんな無体な事は出来ず、理由をつけて捜査を怠っていました。
それにヨンゴルテは難癖をつけ、その他にも何かにつけて、世子や朝鮮の民に監視の目を光らせていました。
禁止されているモノを持っていたとか、朝鮮が兵を送ってこないことにも抗議しました。
朝鮮の王は、世子がどうなっても良いと思っているようだな・・・とか言って、仁祖と世子の仲を裂こうとしているようです。
そのようなプレッシャーと苦悩の日々に、世子の精神は徐々に病んでいきました。
これらの事は、仁祖にも報告されました。
仁祖は、世子の心が心配でなりません。
散々世子をいびり倒していた別の通訳官が、今度は世子に竹瀝と言う液を手に入れてほしいと言って来ました。
世子は、難しいと答えました。虐められた仕返しですな。
それを知った世子嬪は、広く商売をしているジャンヒョンに頼みました。やはり、世子の立場を悪くしたくないからでしょうね。
どうも、竹瀝と言う貴重なモノで、ホンタイジに取り入ろうとしている者がいるとか。
通訳官は、ヨンゴルテにその話をチクり、自分たちも・・・と思ったようです。
当然、世子嬪の動きも察しているようで。
朝鮮の通訳官が、そう言う方面にも有能らしいということも。
ヨンゴルテの配下においてはどうかと、通訳官は言いました。
で、ある日、突然、ヨンゴルテがジャンヒョンの店に現れたと言う事です。
ヨンゴルテは勿論、ジャンヒョンもここで顔を合わすなんて、思いもよらない事でした。
ジャンヒョンは天然痘で死んだと思っていたようです。
ジャンヒョンは、朝鮮の捕虜になったと言いました。
ヨンゴルテは、その話を信じません。スパイだとまだ疑っているのです。
ジャンヒョンは既に清の皇族とも親しい関係を築いていました。それを口にすると、流石にヨンゴルテも殺すわけにはいきません。
「いつか私が必ずお前を殺す。」
そう捨て台詞を吐いて、ヨンゴルテは帰って行きました。
ギルチェは、またあの夢を見ました。
しかし、今度は少し様子が違います。
男性の背中に刀傷が出来、血が流れ始めたのです。
不吉な感じがしました。
チョン・ミョンスと言う通訳官が朝鮮からの献上品を盗んでいる事が清側に気づかれてしまいました。
どうも、これまでにも何度もあったようで、でもその都度言を左右にして言い逃れてきたようです。
臣下は、その他にも目に余る横暴な態度を世子に訴えました。
臣下は、その旨、清側に報告すべきでは?と世子に言いました。
しかし、ジャンヒョンは、世子に言いました。
チョン・ミョンスのことは報告せぬよう命じてくださいと。
そして、知っている事があっても、初耳だとしらを切りとおすのですと。
チョン・ミョンスと言うのは、ヨンゴルテのそば近く仕えている者です。盗んだ献上品をヨンゴルテと分け合っているんだとジャンヒョンは世子に教えました。
チョン・ミョンスを刺激するのは、世子の身が危なくなるということです。
それはすぐに形として現れました。
チョン・ミョンスを断罪すべしと進言した世子の臣下が、いきなり捕まったのです。
人を陥れたと言う罪で。
目の前でお縄にされた臣下を見て、世子は思わず抗議の声をあげました。
ヨンゴルテは、世子がそう出ると踏んでいたのです。
抗議したら、世子も関わりがあると見て、捕らえようと考えていたのでしょう。
ヨンゴルテは言いました。
世子が無関係なら、加担した者を全て殺すべきだと。
どちらも苦しい選択です
朝鮮では、このところ病を理由に職を辞す大臣が次々に現れていました。
仁祖は、後金に頭を下げた自分を蔑んでいるに違いないと、被害妄想を抱くようになっていました。
誰も、違うと言えません。
そこで声を上げたのはヨンジュンでした。
ヨンジュンは、仁祖が聖君になるよう力を尽くそうと固く心に誓っていました。
だから、黙っていられませんでした。
「万民が世子様のお戻りと国の安泰を願っています。しかし、王様は苦言を呈すると難色を示されます。己の欲を満たす事を捨てられず、人に勝つ事ばかりをお考えです。これでは大事は成せません。ゆえに王様、大臣たちの行いを疑うより、己を省みて、どうか、正しい道をお進みください。王は民を慈しみ、臣下は王をいさめ、王は臣下の言葉に耳を傾ける。さすれば清国を教え導くことができ、世子様が戻って来られます。」
この言葉は仁祖の心を打ちました。
ヨンジュンの勇気に感服し、重要な役目を任せたいと言いました。
それは、なんと、清への書状を届ける使臣としたいということ。
しかし、ヨンジュン、そんな事をしたいと思ってはいないのです。
断ってしまいました。
仁祖、激怒しました。
即、入牢ですよ、ヨンジュン。
こうなると、家財は全て没収となってしまいます。
ウネは勿論、同居していたギルチェ一家も、いきなり路頭に迷ってしまうことに。
そんな時、清に行った人たちが帰ってくると言う知らせをチョンチョニが聞いて来ました。
国の祭祀が理由だそうです。
ギルチェは、帰国してきた人たちの行列を出迎えに行きました。
心躍らせながら、ジャンヒョンの姿を探しました。
が、いません。
その頃、ジャンヒョンは、朝鮮の重臣たちと共に牢に入れられていました。
ジャンヒョンの目の前で重臣たちは牢から引っ張り出され、あっという間に処刑されてしまいました。
ジャンヒョンは、ホンタイジの前に跪かされました。
通訳官になった経緯を聞かれました。
ジャンヒョンは、ヨンゴルテに話してあると言いました。上手い言い方です。
ヨンゴルテが説明することで、ホンタイジに嘘をついたことになりますよね。同罪です。
しかし、ホンタイジが問題にしているのは、それではありませんでした。
清軍に天然痘が流行ったと噂を流したのが、ジャンヒョンではないかと疑っているのです。
ジャンヒョン・・・何と答えるのでしょう。
一方、ギルチェは、ジャンヒョンが帰ってこない事を、帰国した重臣に尋ねに行きました。
重臣は、ジャンヒョンを知りませんでしたが、処刑された者の中にいたかもしれないと言いました。
役所に遺品が届いていると。
そこに遺品があれば、死んだ証拠だと。
ギルチェは、慌てて役所に行きました。
多くの人の遺品が届いていました。家族がそれを見て、泣き崩れていました。
そして、ギルチェは見つけてしまったのです。
1つの箱の中に、ギルチェがあげた赤いテンギと、ジャンヒョンがいつも持っていた扇が入れられているのを。
ギルチェは、ジャンヒョンの毛皮の上着を抱きしめて泣きました。
それは、後金の兵から逃げる途中、山で会った時、寝ているギルチェにかけてくれたジャンヒョンの上着でした。苦しい生活で、いろんなものをお金に換えて来たギルチェですが、それだけは・・・と大切に持っていたのです。
また夢を見ました。
あの男性が振り返りました。
ジャンヒョンでした。
やっぱり・・・とギルチェは思ったようですね。
ギルチェは翌日、上着を持って山に登りました。
亡くなった人が生前に来ていた衣を持って、3回名前を呼べば生き返ると聞いたからです。
王様や王室の人が亡くなった時、王宮の屋根に内官が上って衣を振って呼んでいるシーンがありますが、あれも同じ意味でしょうか。
「ジャンヒョン様。戻ってきてください。戻ってきたら、二度と冷たく突き放したりしません。」
ギルチェは大声で叫びました。
また伝えてない事がありますと。
泣けた~っ
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