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モク・へウォン=パク・ミニョンさんは、ある日、故郷の田舎に戻って来ました。
チェロの講師という職を辞めて。
へウォンは、ソウルの生活に疲れていました。
我儘で自分勝手な教え子、そんな我が子を盲目的に可愛がって、理不尽な要求を突き付けてくる親。
そして、部下を庇うこともしないし、自分の命令だったにも関わらず、何か事が起きると人のせいにする塾長。
へウォンは、全てが嫌になっていたようです。
一人田舎道を歩くへウォン。
近所に書店が出来ていることに気づきました。
ちょっと店内を覗きましたが、人の気配はありません。
彼女の行き先は、亡き祖母の家。今、そこに住んでいるのは実母の妹ミョンヨ一人。
“クルミハウス”と言うペンションです。でも、営業してる様子はありません。
ミョンヨは何故か常にサングラスをかけています。
へウォンに対して、つっけんどんな態度を取り、すぐにでもソウルに戻るようせっくほど。
「しばらく戻るつもりはないわ。」
へウォンはそう言いました。
夜、へウォンは一人散歩に出ました。
そこに来合わせたのは、イム・ウンソプ=ソ・ガンジュンssi。
偶然のようにへウォンは思ってますが、実は偶然じゃありませんでした。
その日、ヘウォンが田舎道を歩いているのを、ウンソプは遠くから見かけていたのです。
彼には、それがヘウォンだと、すぐに分かったようです。
だって、ウンソプにとってヘウォンは初恋の相手だったから。
夜道を歩いているのを、見かけたウンソプが慌てて追って来たってわけ。
ウンソプはヘウォンが覗いた書店の店主なんです。
「久しぶり。」
と、声をかけたヘウォン。
久しぶり・・・とウンソプも答えました。特に懐かしさの感情も籠っていないように聞こえました。
「あのマシュマロみたいなやつ、何?」
と、ヘウォンが聞きました。
「埋草。サイレージとも言う。」
そうだ、その名前だった・・・と呟いたヘウォン。
再会の1シーンはそれだけでした。
ウンソプの父は田んぼスケート場を営業しています。
ウンソプも書店の仕事の合間に手伝っています。
そんな時、またヘウォンと会いました。
いつまでいるの?とウンソプが聞くと、春までいようかと・・・とヘウォンは答えました。
ちょっと驚いたようなウンソプ。表情に嬉しさが紛れていたように見えたのは、私だけ?
ウンソプの日常はとても落ち着いていて静かです。
温かいコーヒーを淹れる音が聞こえるほどに。
ウンソプは、ブログを書いています。
そこに書かれている“アイリーン”と言うのは、ヘウォンのこと。
ずっと想い続けて来たようです。
“世界一長い歴史を持つ夜行性組織「グッドナイトクラブ」”と言うのが、そのタイトル。
勿論、ヘウォンが帰って来た日の事も、“あの白いマシュマロみたいなヤツ、何?”と聞いた再会の日の事もアップしてあります。
ウンソプは冬が好きです。その理由は、窓を覆っていた木々の葉が落ち、ヘウォンの家の窓が見えるようになるから。そして、正月休みを過ごすためにヘウォンが数日帰ってくるから。
夜道で偶然会ったように見えた再会の夜も、ヘウォンが家から出て来たのが、書店から見えたので、追って来たってわけです。偶然の出会いじゃありません。
実は、ヘウォンが“マシュマロ”の名前を聞いたのは、その夜が初めてではありませんでした。
高校生の時、一度聞かれたことがあったのです。
ある雨の夜、突然、ヘウォンが書店にやって来ました。ずぶ濡れです。
最近ペンションの壁に塗ったペンキが雨で流れていないか、チェックしに外に出たら、玄関ドアのノブが壊れてしまって室内に入れなくなってしまったのです。
ミョンヨを呼んでも、雨の音で気づいてもらえず。
仕方なく、一番近い灯りのともった家に助けを求めて来たというわけ。なにせ冬の冷たい雨ですから。
驚いたのはウンソプ。
でも、熱いコーヒーを淹れてあげました。ストーブも傍に置いてあげました。
この時、初めてヘウォンは書店の店主がウンソプだと知りました。
書店の名前は『グッドナイト』。
命名の理由を聞かれたウンソプが言いました。
「よく食べてよく寝るって意外と難しいだろ?だから、よく食べてよく眠ってください、そんな願いを込めたんだ。」
人生ってそれだけ?とヘウォン。
ちょっと皮肉を込めた言い方でした。
ヘウォンが帰る時、ウンソプは、コートを貸してあげました。傘じゃないの?と思っちゃたあたくし。
ヘウォン、帰り道で思い出しました。
高校生の時、ウンソプのノートにそんな意味合いの詩が書かれていたのを。
ヘウォンは毎日ペンションの片づけや掃除に勤しんでいました。
だけど、1年前に廃業したから止めろとミョンヨは言います。予約の電話も切ってしまいます。
もう年だから、面倒だと言うだけ。
ヘウォンが食い下がると、ミョンヨは冷たく言いました。あなたも現実逃避してるだけでしょ・・・と。
「その通りよ。」
ここまでヘウォンに冷たく当たるのも、ミョンヨに何か理由がありそうです。
喧嘩になってしまったヘウォンは、家を出て行きました。
頭を冷やそうと思ったのかもね。
怒ったようにガシガシ歩いて行くと、丁度ウンソプがコーヒーを持って書店から出てきました。
ヘウォンは、そのコーヒーをもらい、書店の外のベンチに座って飲みました。
ウンソプは何も聞きませんし、ヘウォンも何も言いません。
悩んでいるように見えるヘウォンに、本当は何か慰める言葉をかけたあげたいんだけど・・・。
その時、突然ウンソプの妹で高校生のフィが自転車でやってきて、声をかけました。
「アイリーンって誰?」
ヘウォンは、借りたウンソプの車にもその名を刻んだ飾りがかけてあったのを思い出しました。
ヘウォンの姿を見つけたフィが言いました。
「もしかしたら、その人?」
慌てたのは、ウンソプです。
「お前だ、フィ。」
咄嗟に口から出ちゃったけど・・・。意味不明よね。
ま、とにかく、フィを追い払うことは出来ました。
その時、急に同窓会の連絡が。ま、都合の合う人が自由に集まる会のようです。
参加するのも悪くないとヘウォンもウンソプと一緒に参加しました。
初めてでした。
昔話で盛り上がる面々。
盛り上がった時、ウンソプと親しいジャンウがつい口走っちゃった。自分以外にも同級生に片思いしていたやつがいるって。
で、ウンソプを名指し。
やんやと囃され、ウンソプも仕方なく答える羽目に。雰囲気を悪くさせないためというのもあったでしょう。
「モク・ヘウォンが好きだった。」
一瞬、その場が静まりかえっちゃったよ・・・。
皆も戸惑ったけど、ヘウォンも驚きました。やっぱ、気マズイよね。
ウンソプは、必死に冷静を装いましたが・・・。
書店に戻ったウンソプ。自己嫌悪に陥りました。
その時、ドアを叩く音が。
開けると、立っていたのはヘウォン。
「聞きたいことがあるんだけど・・・。」
と、ヘウォンが言うと、皆まで聞かずにウンソプはマシンガントーク。
「違う。さっきの話は過去完了形だ。終わった感情だ。」
そう言うと、ヘウォンの目の前でドアを閉めました。
終わった・・・とウンソプは思いました。
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