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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

アジアのリーダーは日本か中国か

2007年05月13日 17時12分31秒 | 思考空間

 1990年代初め、ハドソン研究所のハーマン・カーン博士の予想した「21世紀は日本の世紀」がまさしく日本において現実のものとなる前夜のような経済の活況だった。(1971年ハーマン・カーン博士は京都産業大学で「超大国日本の挑戦」というタイトルの講演を行っている)日本の製造業はことごとくアメリカに対して勝利を収め、テレビではアメリカ人がカード地獄で悩む姿を映し出していた。日本人は勝ち誇り、新聞や雑誌が経済戦争の勝利を書き立てた。しかし、その後の、日本の凋落はご存じのとおりである。

 2007年現在、日本人は、やがて中国が世界の超大国として、アジアのリーダーとして君臨するであろうことを上海発展の映像と重ね合わせながら、半ば諦めの気持ちと半ば羨望の眼差しで中国を眺めている。日本は既に国全体の競争力も失っている。この流れは確かに、ゆるぎないものに見えるが、実はまだ、確定したわけではない。重要なことはジャッジするアメリカの判断、それ以上に日本の努力である。日本人はいつから、「何くそ、負けるもんか」という気持ちを失ったのであろうか。日本のリーダー層はやる気が無く、無能なのであろうか?

 アメリカは近年、いくつかの手痛い失敗を重ねている。一つは、世界の工場を日本から共産圏体制の中国へ移すと共に中国に偏りすぎたこと、一つはイラクに見られるアラブ地域戦争の深追いである。1980年代、日本が同盟国アメリカに対して経済戦争を仕掛け、勝利しつつあったことから、これを叩く必要があった。当時は冷戦で対峙するソビエトよりも日本のほうが脅威に感じられたであろう。一般の人々は戦争しているという意識はなかったに違いない。しかし、活字には経済戦争という文字が躍っていた。マスコミの軽率なはしゃぎ方だった。アメリカのすごいところは、素直に敗北を認めたことである。そして、状況を客観的に調査し分析し始めた。そこで分かったことは、商社などの賄賂型ビジネスに見られたアンフェアーなスタイルである。

 当時のアメリカ人著書には、全ての分野でアメリカが必ずしも世界をリードする必要はないと書かれている。つまり、日本が経済面でリードしても良いのではないかとの指摘だ。しかし、日本のビジネススタイルがアンフェアーなことが分かった以上、これを許すことはできなかった。ビル・クリントンはCIAを経済政策に取り入れ、日本政府やトップ企業を丸裸にして分析した。電話盗聴などはお手の物である。官僚には直接電話して指示を伝え、産業のエンジンたる金融を狙い撃ちし、アンフェアーなビジネスを叩きアメリカや旧英連邦へビジネスをシフトさせていった。アンフェアーな取引を指摘された商社などは、仕事を失っても文句を言う先もなかった。

 日本政府の打ち出した政策はバラマキのオンパレードであり、ことごとく失敗に帰す。しかもこのバラマキをアメリカが要求していた。借金は空しく膨大に膨らんだ。かくして、失われた10年などという言葉が登場するようになる。いかに政府が愚かしく無能であったかを隠そうとしているだけである。

 アメリカは世界で唯一の超大国として君臨するようになり、絶頂期を迎えたが、このおごりがアフガンに続き、正確な情報と的確なシミュレーションの無いままのイラクへの深追いという失敗に繋がったと判断される。私は小泉首相が自衛隊をイラクに送ったことは間違いではないと思うし、今でも小泉首相の判断が正しかったと考えている。イラクの情報が間違っていたことは残念としか言いようが無い。(ただし、自衛隊は憲法違反であり、早い時期に現実に合った憲法改正が求められる)今後も日本は、法律や状況が許す限りにおいて、常にアメリカを支持し、良きパートナーでなければならない。

 ブッシュ・アメリカは様々な困難に直面することになった。イラクはベトナム化と言われつつ、状況はますます悪化している。6月27日のブレア首相の退陣表明に象徴されるようなイギリスをはじめとしたヨーロッパ各国のクールなスタンス、チャベス大統領など自国の庭とも言うべき南米での反米政権の盛り上がり、体制崩壊により自由圏にシフトしたはずのロシアの石油ガスをベースにした帝国復活、何よりも中国はその驚異的な経済成長から着々と軍事力を増大しつつありやがてはアメリカをも凌ぐ可能さえ無いとは言えない。中国はしたたかである。アメリカに対して北朝鮮を指導するように見せて経済成長の支援を取り付け、一方では北朝鮮の現状を支援している。

 これらの世界情勢の中で、実は日本こそが第二次大戦後・アメリカの最大の成功実績であり、忠実なパートナーでもある。日本人は本来非常に優秀であり、戦後、焼け跡から不死鳥のように復興し、先進経済大国になった。しかし、戦略があったわけではなく、アメリカの支援やいくつかの運の良さもあった。この成長の過程で日本の組織は既得権構造が確立し、腐敗やいかさまが定着することとなった。社内では常識、一旦情報が外に出ると大事件・犯罪というパターンができた。先頃の報道を見ても、優等生と言われた電力業界をはじめほとんどの業界や組織における不正・腐敗が蔓延している。トヨタが何故世界一になれるか、それは戦略が優れていたからであるが、重要なことはアンフェアーが無かったということも大きい。アメリカの調査機関が必死であらを探しても、大きな不正が無かったから叩かれなかった。これは三菱自動車と比較すれば明らかである。

 日本を再び、蘇らせるには戦略を持つことが求められる。世界の経済は実は軍事戦略の中で動いている。最早、経済は経済のレンジをオーバーし、経済学者が国の経済を語る時代ではなくなっているのだ。将来の世界と日本の果たすべき役割を明確にして、世界貢献のビジョンを作り、その実現の戦略を確立しなければならない。国民一人一人が努力すべきことは、非常に基本的なことであるが、企業や官僚などの組織人が身近なところから不正を正し、健全な体制を立て直すことである。日本人は正しいことを発言し行動する勇気を失っているのだ。

 私は日本復活の戦略の一つとして、上海にも優る経済特区を北海道と沖縄に置くことを提案する。財政破綻した夕張市などを中心に、企業税が10分の1以下で経済活動を最優先した地域を設け、世界の企業が活躍するインフラや法律を整備する。沖縄に経済特区が設定されているがいかにも中途半端で、経済を浮揚するには規模が小さすぎる。日本全体が健全な自由主義社会建設に動き始めた時、アメリカは再び日本に熱い視線を注ぐことになる。 

 アメリカには親日派もいれば、日本に敵対意識を持つ人もいる。ただ、確実に日本が再び復活して、アメリカと共に世界をリードして欲しいと願う人々も増えている。日本はアメリカの掌の中にあり、状況も十分把握されている。突拍子なように聞こえるかもしれないが、国内で、不祥事が次々報道されるのは、実は日本が真のリーダーになれるよう、各方面の不正や問題点を洗い出し改善を図ることにより、国全体をフェアーな方向へ導こうとしているのだと考えても差し支えない。

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