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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

アメリカ経済の虚々実々とほころび

2008年01月26日 12時59分22秒 | 国際・政治

 アメリカは自他共に認める世界一の軍事・経済の超大国なのだが、また、大変ないかさまを駆使してきた国でもある。しかし、そのいかさまも種が尽きてきたと言えるのがこのたびの、サブプライムローン問題だろう。アメリカは新たに、従来とは比べ物にならないほどの超ウルトラ級のいかさま経済戦略を考案しない限り、その凋落が現実のものとなり、避けられそうにない。

 アメリカの古典的な常套手段は、印刷機をフル回転させ、ドルを大量に印刷し、そのドルで世界中から物品やあらゆるものを購入する方法である。バラマキすぎてドルの価値が下がって来ると、CIAが中東などに火種を仕掛けて戦争を起こさせ、ドルを引き上げる(有事のドル高)というものだ。戦争によるドル引き上げはアメリカが世界一の軍事力持つが故にできた事だが、ベトナム戦争敗北以来、やや効果が薄れてきた。現在のようにイラク侵攻で身動きが取れない状況では、新たな戦争を仕掛ける余裕がない。

 紙切れを大量に渡して大消費を謳歌する戦略は、かつての日本、現在の中国に対しても継続されている。日本は安い商品をアメリカに供給する代わりに、紙幣を大量に受け取り、政府は円高を防ぐためにアメリカの国債を大量に購入せざるを得なかった。日本人は汗水たらして働いた末に、大量の紙幣を受け取った。しかも日本人は金を貯めこんで使わない良いカモである。一方で、国債を買わせ、国内への資金還流を図る。アメリカ国債の売却を匂わせた橋本首相(当時)は失脚することになる。

 アメリカは日本に対して、為替の変動で揺さぶりをしかけ、常に経済的利益を上げることになる。為替の争いは常に経済規模の大きな国が勝利することが保証されており、日本は円を上下に大きく揺さぶられ、常になす術なく後手に回り、経済的損失を蒙り、日本の損失は即アメリカの利益となった。

 日本のバブルは表向き日本の大蔵省が破裂させたことになっている。実は裏にアメリカの力が働いていた。現在でも、政府機関の主なポストにはアメリカの協力者というかエージェントがたくさんいる。驚くことはない。例えば、あなたが官僚の然るべきポストにいたとして、アメリカのトップクラスから、好条件で協力を要請されたら、多分3回ぐらい「イエス」と言うだろう。日本にはスパイ防止法すらない。アメリカが将来を約束してくれれば、これほど心強いものはないだろう。主要な官僚の多くは、日本のためより、アメリカのために働いている。

 アメリカのヘッジファンドなどが舞い上がる日本株に大量の売り建てを行う。そして、株価を暴落させ、下がりきったところで買い戻し、巨額の利益を得る。当然アメリカの投資家が潤う。かくして、日本の金がごっそり、アメリカに移ることになる。日本株が何度か上昇したが、そのたびに、アメリカのヘッジファンドなどが大量空売りを仕掛け、日本企業などの悪情報などを流しては暴落させ、ぼろ儲けし、金を日本からアメリカにシフトさせてきた。アメリカの諜報機関は日本政府だけでなく、日本企業の電話盗聴もやっている。そうでなくても日本政府や日本企業は問題だらけで、悪情報に事欠かない。

 この度の、日経株暴落も当然ながらアメリカ筋が仕掛けたものだ。マスコミの報道は間違っている。利益確定売りではない。空売り、売り立てだ。アメリカ国内の損失を東京市場で取り戻そうとしているのである。常に日本の個人投資家は損害を被る。あまりにも同じパターンが続くから、投資家が東京市場から逃げ出している。

 クリントン政権下のアメリカは為替で大きな揺さぶりをかけ、日本の製造業を中国進出に誘導し、日本中の主な製造業はこぞって中国に工場を立地した。中国はそのたびに「ありがとう」と言った。その意味は、中国指導者が一声掛ければいつでも国営化・没収が可能であり、工場だけでなく、資金、ノウハウまでも、一瞬にして獲得できるからだ。激安・無尽蔵の労働力以外に何も無い中国が、一気に経済成長の階段を駆け上がるために、日本をはじめとしたプレイヤーの活躍する舞台・フィールドを提供した。

 さて、日本では大成功を収めているアメリカだが中国相手ではそうはいかない。中国は大量のドルを貯めこみ、世界一の外貨準備高の国となった。アメリカの国債も大量に所有している。中国が日本と異なる点は共産体制の国家であり、しかもアメリカをベトナムで打ち負かした世界一の陸軍を持っていることだ。中国元はドルにフィックスさせ為替リスクを回避できるし、国内産業育成に注力できる。中国は長い歴史で支配され続け、支配者に対するノウハウを持つ。中国は覇権主義を隠して、アメリカに上手ににじり寄りつつ、力を貯え、やがてアメリカを飴と鞭でコントロールし始める。全ての軍事力で中国がアメリカを上回ったとき、どのような展開になるか、ヒラリーク・リントンがその時どう言うか?

 何度も書いたが、経済がすべてを動かしているとする経済学は既に過去のもので、軍事戦略が経済をもその重要なツールとして全てを動かしているのだ。経済学者の予想が当たった試しなく、軍事専門家の分析は決めて重要であり、しばしば的を得ている。

 日本は第二次世界大戦でアメリカと戦い敗れたあと、不死鳥のように立ち上がったが、やがて経済で牙をむき、アメリカに挑戦して再び破れた。これは、全てアホ馬鹿間抜けの官僚が仕掛けたことだ。江藤淳がかつて、文芸春秋に書いたように、日本はアメリカに2度負けたのだ。バブル以降、アメリカは日本をコントロールするため、官僚組織の中にエージェントを育て上げた。

 さて、サブプライムローンは土地家屋の永遠の上昇を原資とした、ローン型消費の仕掛けである。元々支払い能力のない、貧困層に金を貸し付け、証券化して銀行のリスクを分散させたものだが、土地家屋が永久に上がるはずもなく、金利上昇に伴い支払う不能が増加し、価格が一度下がり始めると下値にオーバーシュートして限りなく損失が膨らむ。世界的な損失を増大させる中でアメリカの信用が著しく失墜した。ヨーロッパをはじめ、世界はこれまで、アメリカはおかしいなと思いつつも、大量消費により世界中から輸入し、世界の経済を支えてきた重要な役割を評価し目をつむってきた。しかし、この件で、潮流が変わってゆくだろう。アメリカの緩やかな凋落は始まった。

 いつの日か、中国とロシアという(現元)共産体制国家コンビがアメリカをはじめとした資本主義体制を上回り、世界を牛耳ることになるだろう。中国は莫大な公害をまき散らしつつもひたすら経済成長を驀進する。それはかつて日本が経済でアメリカを上回り、アメリカを打ち負かそうとした試みの失敗の部分を修正して、成功するためだ。