ラマルクほど不当に過小評価された科学者はいないと言われている。ラマルク説はダーウィン派の攻撃の的になり冷笑され続けてきた。しかし、当時の立場は逆だった。ラマルクは何と言っても、進化を科学的に分析する先駆者で、貢献度が高く、ダーウィンはラマルク説を学んだラマルク一派だった。
進化メカニズムは非常に高度で複雑だから、進化は偶然の結果とするダーウィン説は極めて簡単で受け入れられやすい。知名度はダーウィンが圧倒的に上だったので世間の評価にそこらが関係したかもしれない。ただし、ダーウィンはラマルク派としては出来が悪かったようで、今もってダーウィン説は具体的根拠が無い。
ダーウィンの本は何冊か読んだ。というより飛ばし読みした。興味を引く肝心な話が出てこない。興味がわかない。どの本もビーグル号の話が出てくる。前の船長が自殺したから、ダーウィンを乗船させるようになったとか。
何冊か読んで、重要なところは突然変異と自然選択の2文字だ。その具体例も紹介されていない。多分、具体例を書くと、ボロが出るんだ。要は作文であって、成程と思ってもらえば良いのだろう。世の中の一般人はそういうものと考えられている。
また僕が生物関係では最も科学的と判断するエピジェネティクスにおいてラマルク的な獲得形質が遺伝する現象が確認されてきた。エピジェネティクスは山中教授のiPSで注目度が上がってきたもので、親の経験が子孫に影響している多くの事例を具体的に把握し発表している。
受精卵のゲノムはリセットされ、全部が同一になるが、何故、様々な器官に分化するかは新ダーウィン説では説明できない。分化はまさしくエピジェネティクスで説明できる格好の題材だ。ダーウィン説は今後、益々行き場を失う。だから、進化学会にとってエピジェネティクスは宿敵となる。