ファイザー社やモデルナ社のワクチンは従来のワクチンとは全く異なるやり方なんだ。mRNA(メッセンジャーRNAと読む)も何だかわかりずらい?
本来、免疫は、例えばコロナが侵入すると樹状細胞がぺろりと食べ、抗原あるいはスパイクというウイルス表面に有るイボイボみたいなものを切り取って樹状細胞が自分の細胞の外に提示する。樹状細胞は抗原と一致するT細胞(数百万種類)から探し、見つかるとそのT細胞を大増殖させる。
抗原と一致するT多細胞の意味は、抗原がオス型とすると、このオス型に対してぴったり合うメス型を持つT細胞の事だ。そして、mRNA方式ワクチンでは、樹状細胞がコロナ菌を食べるプロセスが無い。後記のようにズバリ抗原のみが提供される。
mRNAとはタンパク質を作るゲノムの一種で、コロナ用のmRNAとは実は先ほど書いたコロナの抗原やスパイク(イボイボ=タンパク質)を作るための設計図になる。
ワクチンメーカーではコロナのゲノムの中からイボイボ用のゲノムを取り出し、人体内で拒否反応が起きないよう化学修飾(改造)し、大量生産する。
ワクチンを君の体に注射器で注入すると、mRNAが血液の流れに乗って拡散し、細胞にたどり着くと細胞はmRNAを内部に取り込む。細胞は何も考えずに取り込むから のん気だね。そこには数百万~15百万個のリボソームがいてmRNAをキャッチすると解読してコロナのイボイボ(スパイク)を作り始める。リボソームはmRNAからタンパク質を製造する装置だ。
次に、イボイボは細胞を出て、体内に拡散するから、樹状細胞がキャッチし、先に書いた通常の免疫システムが機能し免疫プロセスが始まるというわけだ。つまり、イボイボの抗原で免疫システムを作っておき、実際、表面にイボイボをつけたコロナが出現したら、強力な免疫の軍隊でやっつけようというもの。
特に、T細胞を使った獲得免疫では、B型細胞に命令し、B型細胞から抗体がまるで小型ミサイルのように大量発射され、抗原を機能させなくなるので威力が有る。
mRNA方式は30年前から基本構想が作られ、研究されてきたが、体内で拒否反応を生じ、それが課題だった。そこのところをドイツのカタリン・カリコ博士が解決し、ドリュウ・ワイスマン博士と共同研究した。更にドイツのビオンテックに持ち込み、遂には同社とファイザー社が共同開発して君の腕に注射するようになったというわけだ。
この方式は通常の免疫プロセスではないから、イボイボ自体は無害ながら、このワクチンを続けてゆくと、将来がちょっと気になる(現時点では予想できない)ところではありますね。