Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

歌謡曲のクラシック化

2015-08-20 08:40:38 | ジャズ


クラシック音楽は昔の楽曲を今の演奏家で鑑賞するものだ.熟達した聞き手の関心は曲よりも,どう演奏するかに向く.昔からこういうものだったらしい.書店で野村あらえびすの著書が文庫化されているのを立ち読みしたが,クーセヴィッキーだのトスカニーニだのクライスラーだのパデレフスキーだの SP 時代の演奏をあげつらっていた.「あらえびす」はあの銭形平次の生みの親,野村胡堂のもう一つの筆名である.

クラシックは楽譜の通り演奏するものだが,ジャズでは原曲をどう料理するかが主眼となる.ジャズの歴史は短いが,かってのヒットソングが定着したスタンダーズと,パーカーやモンクやマイルスの名曲群,加えて二流ジャズメンによる隠れた名曲群を演っていれば間に合い,新曲の必要はあまり感じないことになる.こういう目で見ればジャズはすでにクラシック化して久しい.ジャズが上り坂だった頃はそれでも生産活動は活発だったと思うが...

さて,こちらのページ http://www.nhk.or.jp/program/uta/backnumber.htm はNHKテレビの歌謡番組「新・BS日本のうた」の楽曲リストである.このブログを書いている時点で一番新しいのは千歳市民文化センター収録,8/16 放映分だが,水前寺清子の「浪花節だよ人生は」以下,最後の数曲を除きほとんどが懐メロで,しかもその大部分がオリジナルとは違う歌手による歌唱である.「夜のヒットスタジオ」(1968-1990) ではほとんど新曲が並べられていたのが夢のようだ.

でも演歌音階その他とコード進行に縛られたら,次々に新曲を連発するのは不可能だろう.だからこの歌謡曲クラシック化は悪いことではない.でも歌うときにはすでにキーを変えるのだから,ジャズに倣って,リズムやテンポも変えて,歌い手の個性を活かした編曲で懐メロを楽しませてもらいたい.

冒頭の動画はその「新・BS日本のうた」で Ms.OOja が歌っていた「真夜中のドア」のオリジナル.松原みきちゃんはここにもちょっと登場するピアニスト世良譲さんの弟子? 若くしてガンでお亡くなりになったとのことである.
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