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先日大学の公開講座で「ドレミの数理」なる話をしたおかげで,SSH (Super Science High-school) の課題としてコード進行の解析に取り組んでいる高校生と知り合うことができた.Cook と Fujisawa は三つの楽音から成るコードを不協和度,緊張度,モダリティ(DTM) で特徴付けた (N.D.Cook and T. X. Fujisawa, Empirical Musicology Rev.1(2006)106 ) ,高校ではこれを一歩進め,隣り合うふたつのコードを束ねて DTM を計算し,コード進行とともにどう推移するかを計算している.
不協和度はコードの心地よさ,澄んだ-濁った,緊張度は驚き~落ち着き,モダリティは明るさ-暗さ,嬉しい-悲しいを,それぞれ定量化しようとするものだ.
コードの不協和度についてはこのブログ http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/cfe2af258a8e27efe4709621154cc95c で書いたことがある.
緊張度とモダリティは上記論文でアプリオリに与えられたもので,上図は単一周波数音についての左が緊張度,右がモダリティを示している.和音を構成する三音の音程を下から x1, x2, x3 とし,x32=x4-x2, x21=x2-x1とする,これらのグラフの横軸は,x32-x21 で単位は半音である.緊張度は x32=x21 のときに最も大きく,また x21>x32 なら長調寄り,逆なら短調寄りになる.これらはわれわれの感覚とは一致する.定量化について議論することに大きな意味があるとは思えないが,コードを比較する目的には十分役立つ.
楽音は整数次倍音を含むから,それらの寄与も全部計算に入れる.
研究成果は所属する高校の「SSH の日」という催しで発表される.ネットでも公表されると期待したい.
ジャズの和音は 4 音で構成されるので,Cook - Fujisawa 理論を適用するには少しく修正が必要だ.