推進派が主張する原発の利点のひとつは,化石燃料を燃やすのと違って CO2 を発生しないことだ.確かに C を燃やせば同じだけの C を含む CO2 が出てくる.
CO2 を空に向かって放出せず,その前になんとかすればいい.
というわけで,火力発電などで発生する二酸化炭素の回収・貯蔵 (CCS) 技術が研究されているが,あまり知られていない.2030 年の火力発電のCO2排出量を 35% 削減することが当面の目標で,これは全排出量を 2013 年と比べて全体で 26 %少なくするという公約? を睨んでのことである.コストを考えなければパイロットプラント規模で 90% 程度の削減も達成されているらしい.
原発の放射性廃棄物処理よりははるかに現実的と思う.
付け加えると,原発で U を分裂させれば (燃やせば) その U と同じ質量の (質量欠損は無視してよかろう) 廃棄物が生じる.
核分裂はものすごいエネルギーを出すから,原子炉の中には数グラムのウランがあるだけ...と思っている人が多い.じつは 100万 kW の原発 1 基では一日約 3 kg,年に約 1 トンの U-235 を燃やす.話題の川内原発は 89万 kW である.この調子で U を燃やしていくと数十年で埋蔵量が世界的に底をつくという試算もある.
原発の熱→電気変換効率は 30% 程度で頭打ち.それに比べて化石燃料による火力発電の効率は倍くらいまで行っている.他にもまだまだ技術の進歩の余地があるらしい.メタンハイドレートとかシェールガスとかいう話もあるし…
図は Wikipedia より.