Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

病気をテーマとする短編小説集

2016-10-19 09:23:18 | 読書
石塚久郎監訳「病(やまい)短編小説集」平凡社ライブラリー (2016/09).

消耗病・結核,ハンセン病など,病気をタイトルとする9つの章の下に,短編が1-2ずつ.解説も章ごと,短編ごとで,充実している.原著者は英米人で,モーム,ジャック・ロンドン,コナン・ドイル,ヘミングウェイ,等.翻訳は5人で分担し,監訳者・石塚が調整したとある.

いかにも文学的な短編が多いが,日頃ブンガクは敬遠しているせいで,オチがはっきりしたものが気に入った.ここでは,ヘミングウェイが実際の新聞読者の健康相談の手紙をふくらませた作 (...とはいえ,たった2ページちょっと)とか,コナン・ドイルとか,0・ヘンリとか,ジョン・アップダイクとか.アップダイクのは作者の放射線治療を受けた体験に基づいていて,その意味でも共感する部分があった.しかし解説にも触れられていたが,単なる皮膚病に「あるハンセン病患者の日記から」というタイトルはいかがなものか.

サミュエル・ウォレンの作品は乳がんで乳房切除手術を題材としているのだが,読みとばしたためそれが認識できず,解説ではじめて,なるほど...と思う始末だった.
モームの文章は大学受験時代だか大学教養学部時代だかに英文解釈させられた記憶がある.日本語で読んだのに,不思議なことに文体が懐かしく思えた.

カバー図版についても解説があった.意外に新しく,20世紀に描かれた水彩画である.

充実の一冊.図書館で借用.
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