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1/29 朝放映 (2/5夜再放映の予定) の NHK 日曜美術館で吉田博を取り上げていたので,本棚をかきまわして,
版画:吉田博,文・写真:白旗史朗「山の絵本」講談社 (1985/5)
を発掘した.
近・現代の版画というと,悪く言えば,棟方志功みたいに,技術不足を芸術性で補うのが主流だ.しかし吉田版画は江戸時代からの技術を発展させ,西洋画の微妙な陰影をも表現する.NHK 番組では平均30?版といわれる多色刷りを追試していた.
風景版画,とくに富士山が出てくるものは綺麗すぎる.むしろ上の「猟師の話」のような作品が好きだ.これは上記の山の絵本の裏側のカバーなので右下に定価がある. 昔の本はバーコードがないから鑑賞に耐える.
この本には油絵も数点.解説 (関根準一郎) には,吉田が画壇のボス黒田清隆をなぐった話などが紹介されている.吉田家の養子になり,義妹と結婚したそうで,出版当時 93 歳だったこの妻・ふじを からの聞き書きも面白い.漱石の「虞美人草」の彼女・藤尾の名は ふじをに由来しているのだそうだ.
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もう一枚,北アルプスの五色原.吉田の山岳版画は全部写生に基づいている.制作時 1920 代にアルプスに入るのはたいへんなことだった...と,白旗があとがきで書いている.