上橋 菜穂子「隣のアボリジニ : 小さな町に暮らす先住民」 ちくま文庫 (2010/9).
単行本は 2000/5.
「BOOK」データベースより*****
独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然のなかで生きる「大自然の民」アボリジニ。しかしそんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。伝統文化を失い、白人と同じように暮らしながら、なおアボリジニのイメージに翻弄されて生きる人々。彼らの過去と現在をいきいきと描く、作家上橋菜穂子の、研究者としての姿が見える本。池上彰のよくわかる解説付き。***** Amazon のホームページ
著者は綾瀬はるか主演で放映中の「精霊の守り人」の作者.立教大学大学院で文化人類学を研究した.
この本は 1990 年に大学院生としてアボリジニを研究するために,西オーストラリアの小さな町の小学校にボランティア教師として赴任するところから始まる.アボリジニの老人たちからの聞き書きがハイライトだ.老人といっても,16 とんより,やや上の世代だが,そこに民族としての歴史がぎゅっと圧縮されている.
白人が押し寄せ,アボリジニが暮らしてた土地を農地や牧場にしてしまう.アボリジニをそこで働かせるが,彼らには金銭感覚がないという理由で賃金は払わず,住む土地も隔離する.1967 年にはアボリジニの先住権が認められるが,こんどは彼らが公的扶助で酒とドラッグに陥るという問題が生じる.
本・本来の趣旨とは違うかもしれないが,このあたりの前後関係ををまとめた年表がほしいところ.
アボリジニ間の冠婚葬祭付き合いとか,まだ迷信を (精霊も!) 信じていること,キリスト教への改宗などもアボリジニ目線で書かれている.
終章で多文化主義を否定し,白豪主義を標榜する政党 = ワン・ネーション党が台頭する.非ポリコレ・トランプ世界を先取りしていたようで不気味.現在アボリジニにとってのオーストラリアはどうなっているんだろう.
池上彰の解説は内容をなぞっているだけである.
☆☆☆★
単行本は 2000/5.
「BOOK」データベースより*****
独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然のなかで生きる「大自然の民」アボリジニ。しかしそんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。伝統文化を失い、白人と同じように暮らしながら、なおアボリジニのイメージに翻弄されて生きる人々。彼らの過去と現在をいきいきと描く、作家上橋菜穂子の、研究者としての姿が見える本。池上彰のよくわかる解説付き。***** Amazon のホームページ
著者は綾瀬はるか主演で放映中の「精霊の守り人」の作者.立教大学大学院で文化人類学を研究した.
この本は 1990 年に大学院生としてアボリジニを研究するために,西オーストラリアの小さな町の小学校にボランティア教師として赴任するところから始まる.アボリジニの老人たちからの聞き書きがハイライトだ.老人といっても,16 とんより,やや上の世代だが,そこに民族としての歴史がぎゅっと圧縮されている.
白人が押し寄せ,アボリジニが暮らしてた土地を農地や牧場にしてしまう.アボリジニをそこで働かせるが,彼らには金銭感覚がないという理由で賃金は払わず,住む土地も隔離する.1967 年にはアボリジニの先住権が認められるが,こんどは彼らが公的扶助で酒とドラッグに陥るという問題が生じる.
本・本来の趣旨とは違うかもしれないが,このあたりの前後関係ををまとめた年表がほしいところ.
アボリジニ間の冠婚葬祭付き合いとか,まだ迷信を (精霊も!) 信じていること,キリスト教への改宗などもアボリジニ目線で書かれている.
終章で多文化主義を否定し,白豪主義を標榜する政党 = ワン・ネーション党が台頭する.非ポリコレ・トランプ世界を先取りしていたようで不気味.現在アボリジニにとってのオーストラリアはどうなっているんだろう.
池上彰の解説は内容をなぞっているだけである.
☆☆☆★