Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

東大助手物語

2017-02-09 08:56:34 | 読書
中島 義道,,新潮社 (2014/11).

図書館本.ワイドショーみたいに面白く,J 子が先に読了.

表紙は安田講堂ではなく,駒場一号館.
内容はひたすら東大駒場での,教授の助手に対するパワハラ.悪役・糟谷教授のモデルは谷嶋喬四郎 (1929- ) という人で,Wiki でみたところまだご存命である.東大駒場騒動の主犯でもあるらしいが,この本には触れられていない.

自分の奥さんの悪口を結構書いたくせに,最後は教授夫妻という共通の敵に,助手夫妻が結束するという構図になるのがおかしい.

助手を助教授として転出させることは教授の一存.しかし任期は名目で,助手は特に大学に行かなくてもいいらしい.それなら転出しなくてもいいと思うが,転出させないと教授が無能とされるという,特殊な世界のおはなし.
理工系は任期切れを前にすれば,知人友人を当たり,国内外の公募を当たり,異分野に行くことも考える (それでもうまく行かないことが多い).しかし哲学界はコップくらい小さく,その中での嵐とし見えないから,感情移入は不可能.教授も助手もどっちもどっちという,冷ややかな読み方しかできなかった.

さんざいじわるされたあげく,助手夫人が1万円のハムを送ると私大助教授に内定.直後に教授邸の庭の芝生をかれと言われる.助手夫人は,これは金を要求しているのに違いない,50 万円ぶんくらい贈賄しようと提案.しかし教授夫妻のために超一流ホテルを予約したところで助手が翻意し,一連の顛末を学科長にいいつけて,最後は助手側の勝利で落着.

学術的な業績は知らないが,著者は大衆書を多数著して印税を稼いでいる.これに対し谷嶋東大名誉教授はほとんど忘れ去られているようだ.

☆☆★
コメント
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reading

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