路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【訃報】:江田五月氏が死去、80歳 参院議長や民主党政権で法相を歴任

2021-07-28 11:22:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【訃報】:江田五月氏が死去、80歳 参院議長や民主党政権で法相を歴任

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【訃報】:江田五月氏が死去、80歳 参院議長や民主党政権で法相を歴任

 参院議長や民主党政権で法相を歴任した江田五月(えだ・さつき)氏が28日午前、死去したことが分かった。関係者が明らかにした。80歳。岡山市出身。

江田五月氏(08年12月撮影)江田五月氏(08年12月撮影)

 旧社会党書記長だった故江田三郎氏の長男。東大在学中、司法試験に合格し、1966年の卒業後に裁判官として東京、千葉、横浜各地裁で勤務した。77年、社会党を離党した三郎氏の死去に伴い参院選全国区に立候補し、初当選した。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・訃報】  2021年07月28日  11:22:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪】:海外選手の猛暑への批判であの為末大が豹変! ■3年前は猛暑を心配する声を“反安倍政権の人たち”と

2021-07-28 11:06:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪】:海外選手の猛暑への批判であの為末大が豹変!  ■3年前は猛暑を心配する声を“反安倍政権の人たち”とレッテル貼りしたのに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:海外選手の猛暑への批判であの為末大が豹変! ■3年前は猛暑を心配する声を“反安倍政権の人たち”とレッテル貼りしたのに 

 東京五輪の問題はコロナ感染拡大だけではなかった。以前から指摘されていたことだが、猛暑の問題もかなり深刻になっており、選手から怒りと困惑の声が噴出しているのだ。

五輪海外選手の猛暑への批判であの為末大が豹変! 3年前は猛暑を心配する声を反安倍政権の人たちとレッテル貼りしたのにの画像1

                 為末大Twitterより

 開会式のあった23日の時点でロシアのアーチェリー選手が熱中症で倒れ、24日にはテニスの世界王者ノヴァク・ジョコヴィッチ選手(セルビア)と世界ランク2位のダニール・メドヴェージェフ選手(ロシア)は、試合後、「これまで体験した中で最も厳しい暑さ」「全員が常に脱水状態にある」などとして、試合時間の変更を主催者に求めた。

 とくに、ジョコヴィッチ選手の批判はかなり激しく、BBCの報道によると、以下のように述べたという。

「あまりの暑さと湿気、そして空気がこもっているせいで、両肩に重りが乗っているような感覚だ」
「自分の身体ではないような感覚だ。両足が重く感じる。厳しい状況を経験するのは初めてではないが、ロッカールームで選手数人と話しをしたときに、全員が今まで経験した中で一番厳しいと言っていた」
「ITF(「国際テニス連盟)が試合時間をずらそうとしない理由が全くわからない」

 すると、これに反応したのが、元五輪代表の陸上選手の為末大氏だった。

 為末氏はワイドショーツイッターなどで新自由主義丸出しの主張や、政権批判を封じ込めるような発言をすることなどから「新自由主義ハードラー」「隠れ政権応援団」などと評されることもあるが、今回の選手たちの酷暑への怒りについては、ツイッターで、共同通信の「外国選手ら悩ます連日の猛暑 「試合を夜に」と訴え」という記事をRT。こうつぶやいた。

〈このあたりも選手への負担が大きすぎます。〉

 このツイートだけ見ると、もっともな指摘のようにも思えるが、一方で、過去の発言を知っている人なら、きっと「いまさら何を言っているのか」と突っ込みたくなっただろう。

 というのも、為末氏は3年前の夏、こんな猛暑で五輪をやって大丈夫なのか、と心配する声に対して、以下のようなツイートを投稿していたからだ。

〈ところで大会期間中の気温を心配する人たちと、現政権に反対の人たちが妙に重なっているのが偶然だろうか〉(2018年7月17日)

 ◆東京五輪招致委がプレゼンで開催時期の東京を〈理想的な気候〉と真っ赤な嘘

 ようするに、為末氏は猛暑への懸念を“反安倍”とレッテル貼りをしたのだ。

 当たり前だが、当時、酷暑での五輪開催を心配する声をあげていたのは、安倍政権に批判的な人たちだけではなかった。3年前の夏は記録的な猛暑が続き、海外やスポーツ関係者の間からも「こんな猛暑でやったら生命にかかわる」という声があがっていた。

 しかも、政府も組織委も一向にまともな暑さ対策を打ち出さず、国土交通省にたっては「打ち水のほか、浴衣、よしずの活用など日本ならではの対策を盛り込む」などと言い出す始末だった。

 そのため、メディアもこの問題を取り上げ、多くの国民が「なんとかしろ」と声を上げ始め、実際、翌年には、国際的な問題にもなって、IOCが動き、マラソンの開催地が東京から札幌へと変更されることにもなった。

 ところが、為末氏は「反安倍」とレッテル貼りすることで、そうした声を封じ込めようとしたのである。まさに隠れ安倍応援団の面目躍如といったところだが、こうした批判封じ込めの結果、東京五輪はまともな酷暑対策もなされず、酷暑の時間に競技スケジュールが組まれた。そういう意味では責任の一端は為末氏にもあるといっていいだろう。

 しかも、為末氏は、現実に五輪が開催され、酷暑の中で選手が倒れ、海外の有名選手が怒りの声を挙げ始めたとたん、過去のツイートなどなかったかのような風情で、〈このあたりも選手への負担が大きすぎます。〉などとうそぶくのだから、いい加減というほかはない。

 ただ、一方で、機を見るに敏な元アスリートが態度を豹変するのもわからなくはない。

 というのも、この先、もし酷暑のなか競技強行で、選手の生命に関わるような事態が起きたら、国際社会で日本側の責任が問われる可能性があるからだ。

 実は、五輪招致時、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会がつくった「立候補ファイル」のなかにある「2020年東京大会の理想的な日程」という項目で、五輪が開催される7〜8月の東京について〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉などと、真っ赤な嘘をついていた。

 すでに、今回のジョコヴィッチらの怒りの声を受けて、海外のメディアでは、「日本の五輪組織委は気候について嘘をついた、そのツケをいまアスリートたちが払わされている(Japan's Olympic organizers lied about its weather, and now athletes are paying the price)」(「yahoo! sports」7月26日)などといった報道が出始めている。

 この酷暑問題の嘘については、また追って検証記事を出すつもりだが、いま、起きている問題は、とにかく五輪を強行したという連中の嘘とインチキを放置していた結果であることを再認識し、改めてその責任を追及していく必要があるだろう。(伊勢崎馨

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 芸能・エンタメ 【スポーツ・東京オリンピック2020・パラリンピック】  2021年07月26日  10:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪】:入場行進曲のメディア向け資料に作曲者名なし! ■LGBT差別の「すぎやまこういち」隠しか、

2021-07-28 11:06:10 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【東京五輪】:入場行進曲のメディア向け資料に作曲者名なし! ■LGBT差別の「すぎやまこういち」隠しか、組織委の作家軽視の表れか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:入場行進曲のメディア向け資料に作曲者名なし! ■LGBT差別の「すぎやまこういち」隠しか、組織委の作家軽視の表れか

 東京五輪開会式の選手入場行進のオープニングで、作曲家・すぎやまこういちが手がけた「ドラゴンクエスト」「序曲:ロトのテーマ」が流されたことが問題になっている(既報を参照のことhttps://lite-ra.com/2021/07/post-5961.html)。

 本サイトの記事でも指摘したが、すぎやま氏はこれまで「LGBT に生産性がない」という差別発言を行った杉田水脈氏に「ありがたい」「正論ですよ」などと同調したり、「慰安婦は強制ではない」「南京虐殺はなかった」といった主張を繰り返してきた。

五輪入場行進曲のメディア向け資料に作曲者名なし! LGBT差別の「すぎやまこういち」隠しか、組織委の作家軽視の表れかの画像1

『チャンネル桜』に出演するすぎやま氏

 こうした差別的、歴史修正主義発言が問題になり、「小山田圭吾や小林賢太郎は外したのに、なぜすぎやまこういちは外されないのか」という声が上がっているのだ。

 すぎやま氏はといえば、安倍晋三前首相との親密な関係が有名で、行進のオープニングに海外ではさほど有名でない「ドラクエ」のテーマ曲が使われたのも、安倍前首相の提案だったのではないかといわれている。そんなところから、「LGBT差別発言はネットで大きな問題になっていたかから組織委も把握していたはずだ。安倍前首相への忖度で、すぎやま氏の曲は外せなかったのではないか」という見方も流れている。

 もっとも、五輪組織委は「ドラクエ」の曲は入場行進オープニングで流す一方で、「すぎやまこういち」という名前は隠していたらしい。

 開会式当日、ジャーナリストの津田大介氏がキャスターを務めるインターネット報道番組『ポリタスTV』で、近現代史研究者の辻田真佐憲氏、『Weの市民革命』などの著書で知られる文筆家の佐久間裕美子氏とともに、開会式中継を見ながら議論していたのだが、そのなかで津田氏がメディア関係者から直前に入手したという「メディアガイド」「メディア向けの」資料の内容を紹介。 

 そこにはNHKで放送された解説以上に開会式について詳細な説明があり、それぞれのシークエンスの意図、使用された曲や振り付けの作者についても紹介されているらしいのだが、式のメインイベントである入場行進のトップで、大々的にフィーチャーされた「ドラクエ」曲の作曲者名は載っていないというのだ。

 このことについて同番組に出演していた佐久間裕美子氏は、開会式中にこんなツイートをした。

 〈メディア関係者用の資料には、行進後にトップシークレットなアーティストが歌う予定の誰もが知る世界の名曲には2Pが割かれていますが、ど真ん中に配置したドラクエ曲の作家クレジットが入っていないという欺瞞にめちゃ怒っています。〉
 〈イマジンという曲の説明に1P「参加者は、国境、ナショナリズム、戦争、宗教、 所有権などの分断的な支配メカニズムがなく、平和で調和のとれた、生命とそのすべての豊かさが共有される、幻想のない、今この瞬間を生きる平和な世界を想像 することができる」〉
 〈+ジョン・レノンとヨーコ・オノの説明に1P。ゲーム曲の羅列にはタイトルだけで、楽曲クレジットなし。すぎやまこういち、という名前は一度も登場しない。〉

 ◆「すぎやまこういち」の名前を隠すために、発表資料から作曲家名をカット?

 たしかに、組織委のマスコミ向け発表資料には、〈ドラゴンクエスト「序曲:ロトのテーマ」〉とゲーム名と曲名があっただけで、すぎやまの名前は一切書かれていなかったようだ。日刊スポーツなど複数のメディアが入場行進曲の「使用曲一覧」を紹介しているが、そこにもすぎやま氏の名前はない。

 ただし、この扱いはすぎやま氏だけではなかった。入場行進で使用されたゲーム音楽については、すべて作曲家の名前が入っていなかった。

 これについて、ゲーム音楽の場合、著作権が作曲家個人でなく、ゲームの発売元の会社にあるケースが多いからではないかという指摘もある。

 実際、同じく入場行進に採用された『エースコンバット』の楽曲『First Flight』を作曲した小林啓樹氏が、開会式中に〈あれっ!? 俺の曲がオリンピックで流れてる(笑)〉とツイート。無断使用を心配するユーザーに、〈社員として作った成果物ですから、全ての権利は会社にあります〉と説明していた。

 しかし、仮に著作権が会社にあっても、それぞれの曲には作曲者や制作者がいるのだから、メディア向け資料にクレジットくらい入れるのが常識だろう。ましてや、国際社会ではコンテンツの制作にかかわった個人へのリスペクトが強く求められる。実際、世界的なゲームの賞の音楽部門などでは、作曲者個人に与えられる。佐久間氏が指摘するように、「イマジン」と、オノ・ヨーコとジョン・レノンの説明に2ページ費やしていることと比べると、あまりに不自然だ。

 そうしたことから、この作曲家のクレジットなしというのが「すぎやまこういち」隠しではないかとの疑念の声が上がっている。すぎやま氏の名前が海外メディアの目に触れ、これまでの歴史修正発言や差別発言を問題になることを恐れて、入場行進時のゲーム音楽はすべての楽曲の作曲家名を伏せることにしたのではないかというのである。

 自分たちのでたらめなやり方をウソとインチキでごまかしてきた五輪組織委ならやりかねないが、実際、それが理由だとしたら、その姑息ぶりには呆れるしかない。

 ◆作曲者のクレジットなしは、制作者の権利をないがしろにする五輪組織委の姿勢の表れ

 もちろん、一方では、そうした意図はまったくなくゲームの音楽だからという理由で作曲家の名前を非公開にした可能性もある。しかし、それはそれで非常識きわまりない。組織委はMIKIKO氏を排除しながらそのアイデアだけは使おうとしたり、小林賢太郎氏を解任しながら内容はそのままにしたりと、制作者をないがしろにする姿勢を見せてきたが、これもまた、明らかにクリエイターへのリスペクトを欠いているとしか言いようがない。

 ちなみに、すぎやま氏は、自身のホームページで「やさしい著作権のお話」として、著作権について解説。著作権には「人格権」と「経済権」があるとし、以下のように書いている。

〈僕も変な使い方をされなければ問題はないのですが、例えば僕の創ったドラゴンクエストの音楽をどこかの団体が僕の思想、信条と正反対の考え方や、主張をするために使用するようなことがあればクレームをつけますし、使用を拒否する権利があるのです。これが「人格権」です。
そして次に「経済権」というのは、例えば僕の作った音楽をどこかで使用したい場合は使用料を支払ってください、というのが「経済権」です。
音楽の著作権には経済権というのがつきます。
音楽を使ったならば、使ったということに対する対価を支払うことになるわけです。〉

 この言葉を読む限り、すぎやま氏はドラクエ音楽の著作権が自分にあると認識しているようだ。もっとも、五輪組織委や安倍・菅政権との親和性を考えると、この件でクレームを入れるとは思えないが……。

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース スキャンダル 【差別・東京オリンピック2020・パラリンピック】  2021年07月26日  06:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪】:入場行進にすぎやまこういちの曲はありえない! 杉田水脈のLGBT差別に「ありがたいと同調」 

2021-07-28 11:05:50 | 【ヘイトスピーチ(「憎悪にもとづく発言」、主に、人種・国籍・思想・性別・障...

【東京五輪】:入場行進にすぎやまこういちの曲はありえない! 杉田水脈のLGBT差別に「ありがたいと同調」■南京虐殺否定の歴史修正主義

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:入場行進にすぎやまこういちの曲はありえない! 杉田水脈のLGBT差別に「ありがたいと同調」 ■南京虐殺否定の歴史修正主義 

 小山田圭吾、小林賢太郎の問題があっても、東京五輪組織委員会は結局、なんの反省もしていないということだろう。昨日7月23日におこなわれた東京五輪大会の開会式。もっとも注目を集める入場行進のオープニングで、作曲家・すぎやまこういちが手掛けた「ドラゴンクエスト」の代表曲「序曲:ロトのテーマ」が流された。

五輪入場行進にすぎやまこういちの曲はありえない! 杉田水脈のLGBT差別に「ありがたい」と同調 南京虐殺否定の歴史修正主義の画像1

『チャンネル桜』に出演するすぎやま氏

 じつは、開会式の前日である22日に一部報道が、式典内ですぎやまの曲が使用されると伝えたときから、SNS上ではこんな指摘が相次いでいた。

 〈小山田、小林とやってきて、最後にこれが出てくるのは悪夢だよ〉
 〈すぎやまこういちの曲を開会式で使えば、今までの謝罪が嘘だったことの証明になるな〉
 〈すぎやまこういちは現在進行形でガチのアウト〉
 〈うわぁ。開会式、すぎやまこういちの音使うんかい。レイシストによるレイシストのためのオリンピックて、丸まんまあのナチスの1936ベルリンオリンピックのコピーやないか〉

 実際、すぎやま氏の過去の発言を振り返ると、それは小山田圭吾と同じく、とても国際イベントの開会式で大々的にその作品を使用できるようなものではない。

 その典型が、LGBT 差別への同調発言だ。すぎやま氏は2015年、のちに「LGBTには生産性がない」という差別論文で大きな非難を浴びる自民党杉田水脈・衆院議員(同番組出演時は議員落選中)と「チャンネル桜」で共演しているのだが、その際、杉田氏は「生産性がない同せい愛の人たちにみなさんの税金を使って支援をする。どこに大義名分があるんですか」などと主張。ところが、すぎやま氏は杉田氏について「男性からは言いにくいことをガンガン言っていただくのはありがたい」「正論ですよ」などと同調しているのだ。

 また、杉田氏はこのとき、テレビ局からLGBTの教育の是非について取材を受けたエピソードを紹介。笑いながら「『同せい愛の子どもは、普通に正常に恋愛出来る子どもに比べて自殺率が6倍高いんだ』と。『それでもあなたは必要ないと言うんですか』みたいなことを言われまして」と、LGBTの人たちを小馬鹿にするような発言をしたのだが、この杉田氏の発言にすぎやま氏は一緒になって笑っていた。さらには「決定的なことは、同せい愛から子どもは生まれません。これも大きい」などと、杉田氏の生産性発言に通じる発言もしている。

 このすぎやま氏の言動は、2018年に杉田議員の差別論文が問題になった際、アメリカの大手ゲームメディアでも批判されているが、すぎやま氏の態度は性的マイノリティに対する差別を是認する、オリンピック憲章に掲げられたあらゆる差別の禁止に反するものだろう。

 ◆すぎやまこういちらの歴史修正主義に欧米の政界やマスコミからあがった厳しい批判

 もうひとつ、すぎやま氏が問題なのは、その歴史修正主義だ。すぎやま氏の極右、歴史修正主義を象徴するのが、2007年に米下院が慰安婦問題に関する対日非難決議を採択した際、米ワシントン・ポスト紙に出した意見広告「THE FACTS」だ。すぎやま氏のほか、櫻井よしこや屋山太郎、花岡信昭、西村幸祐といった極右論客からなる「歴史事実委員会」は2007年6月、米ワシントン・ポスト紙に “日本軍の強制を示す文書はない”と訴える「THE FACTS」と題した意見広告を出稿。当時、朝日新聞の取材に対して、すぎやま氏はこう語っている。

 「慰安婦の方々の境遇に深く同情するが、当時の政府や軍が日本や朝鮮の女性を強制的に慰安婦にさせた事実はない。根気強く『当時の政府は強制を禁じた』という事実を官民あげて提示するしかない」(朝日新聞2007年6月27日付)

 

また、すぎやま氏は従軍慰安婦の強制連行だけではなく、「南京大虐殺はなかった」「南京虐殺の被害者30万人説はデタラメ」という主張もおこなってきた。同じく2007年にはワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに1000万円を投じて「南京大虐殺はなかったという証拠」を提示した全面広告を出そうと動き、両紙に掲載を断られたこともある。

 さらに、名古屋市の河村たかし市長が2012年に「一般的な戦闘行為はあったが、南京事件というのはなかったのではないか」「いわゆる虐殺はなかった」などと発言した際には、すぎやま氏は「私たちは、河村たかし名古屋市長の「南京」発言を支持します!」「自由な議論で『南京』の真実究明を!」という意見広告の呼びかけ人に名を連ねている。

 従軍慰安婦の「強制性」否定や南京虐殺の「人数」を問題にする主張が、日本軍の戦争犯罪や残虐行為をごまかすための詐術でしかないことは本サイトで繰り返し実証的に指摘してきた。

 また、すぎやま氏自身が「WiLL」で明かしているところによれば、「証拠」として挙げていたのは、「東中野修道先生の研究成果」に「世界に「南京大虐殺報道」をしたティンパーリが中国の中央宣伝部国際宣伝処の顧問であった」説、「「南京大虐殺」が起こったとされる一九三七年当時、南京の人口は虐殺されたとされる三十万よりも少ない、二十万人だった」説、といった「南京大虐殺はなかった」派の定番の主張ばかり。

 東中野氏といえば、「南京大虐殺はまったくなかった」論の急先鋒で保守派の歴史学者からも批判される人物。著書で南京大虐殺の証拠資料や生き残った女性の証言を捏造と断定したことが名誉毀損裁判となり、東京地裁からは「東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」と指摘され敗訴したこともある(高裁、最高裁も一審を支持し全面敗訴)。

 “南京人口少ない説”や“中国国民党とティンパーリ陰謀論”についても、百田尚樹日本国紀』も同種の主張を展開するなど手垢のついた手法で、詳しくは既報を参照されたいが(https://lite-ra.com/2019/08/post-4936.html)、実証性を重んじる保守派の学者・秦郁彦氏がそのインチキぶりを喝破している。いずれも「証拠」「事実」と呼べるような代物ではない。

 ◆すぎやまこういちは安倍首相を礼賛、「日本は“日本軍”と“反日軍”に分かれた内戦状態」の妄想発言も

 しかも、欧米では、こうした日本の右派による慰安婦、南京大虐殺否定は、ホロコースト否定論と同様、戦争犯罪を肯定する歴史修正主義として厳しく批判されている。

 実際、ワシントンポストに掲載された前述の意見広告は、当然ながらアメリカの反発に油を注いだだけで、トム・ラントス外交委員長は「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と猛批判。 

 また、「南京大虐殺はなかったという証拠」の全面広告については、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに掲載を拒否されている。

 このとき、ニューヨーク・タイムズの広告審査部長だったスティーヴ・ジェスパセン氏がおこなった説明を、他でもないすぎやま自身が公開しているので(「WiLL」2007年8月号増刊)、少し長いが、歴史修正主義に対する欧米の姿勢を伝えるために引用しておこう。

〈一九三七年十二月に起こった南京虐殺について、私は自分が専門家であるとは思いませんが、この事件に関する一方の議論とそれに反対する側の議論との両方に詳しい本紙ニューヨーク・タイムズの歴史の専門家たちを、私は信頼しております。
 彼らに調べさせた所、彼らは、この今回の広告の中で取り上げられている「事実」なるものは、大多数の学者たちが従来書いている、南京虐殺は本当に起きていたのだという長い間認められてきた見解を変えるほどのものではないと裁定致しました。 

 例えば、彼ら専門家たちは、(歴史家たちによって以前から承認されている)この都市の人口に対し疑問を投げかけるということは、殺害された個人の数に疑問を投げかけるのと同じようなことで、私どもの専門家の見解によれば、当時の厖大な人的損害を矮小化するものであると指摘しています。
 従いまして、公認された諸事実に疑問を投げかけるようなものだと私どもには思えるこのような広告を掲載することは、お断り申し上げたいと思います。
 この広告に書いてあるような供述(報告)が、もし信頼できる新聞や雑誌に、新たに発見された証拠として載せられているのであれば、是非お知らせください。〉

「当時の厖大な人的損害を矮小化するもの」という掲載拒否理由からもあきらかなように、この国ではまかり通っても、ひとたび海を渡ればこうした歴史修正主義は許されないものだ。

 そして、こんな主張を繰り広げてきた人物の作品を、なんら反省もないまま、オリンピック・パラリンピックという世界中の人が参加する大会開会式の入場行進曲に使用するなど言語道断だと言わざるを得ない。それは五輪組織委や日本政府、ひいては日本社会全体がこうした歴史修正主義や差別排外主義を許容していることになるからだ。

 ◆開会式の人選に有力者から圧力の証言「有力者ごとに○○案件とささやかれ」「その度、無理やり演目をいじって当てはめた」

 こうしたすぎやま氏の発言、言動が海外メディアに伝えられるかどうかはわからないが、しかし、すぎやま氏のこれら歴史修正主義や性的マイノリティ差別を是認する発言はあまりにも有名で、小山田圭吾や小林賢太郎のケースとは違って、組織委も最初からわかっていたはず。にもかかわらず、なぜもっとも注目が集まる開会式入場行進のトップバッター曲に選ばれたのか。

 たしかに、すぎやま氏が手掛けた「ドラクエ」の序曲は国内ではかなり有名なゲーム音楽のひとつだが、世界的にみれば知名度はほとんどない。むしろ、「ファイナルファンタジー」や「キングダムハーツ」などのほうが世界的には認知されているはず。ところが、そうしたゲームタイトルを押しのけて「ドラクエ」の序曲がもっとも注目される入場のオープニングを飾ったのだ。

 そこで頭に浮かぶのは、「あの男」の顔だろう。そう、安倍晋三・前首相だ。

 これまた有名な話だが、すぎやま氏は熱狂的な“安倍支持者”であり、安倍氏とも親密な関係にある。

 たとえば、「桜を見る会」問題が噴出して批判が高まっていた2019年11月には、新宿の高級フランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で安倍首相はすぎやま氏をはじめとして、金美齢百田尚樹櫻井よしこ有本香らという面子と楽しく会食をおこなったが、すぎやま氏はこの“安倍応援団”のなかでも金や櫻井と並ぶ特別な存在。実際、前述したすぎやま氏らによる「THE FACTS」や河村発言支持の意見広告には安倍氏も賛同人、呼びかけ人として名を連ねている。

 さらに、安倍氏が下野していた時代には、すぎやま氏は「安倍総理を求める民間人有志の会」の発起人を務め、「我々日本人が直面している難局を乗り切るリーダーは安倍晋三氏しか考えられません」とコメント。2014年の衆院解散の際には、すぎやま氏は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍首相をドラクエの主人公になぞらえ“勇者”と表現し、「勇者が国を思い踏み切った解散」と絶賛。さらに、「FRIDAY」(講談社)2013年2月22日に掲載されたインタビュー記事では、こう語っていた。

 「いまの日本は“日本軍”と“反日軍”に分かれた内戦状態にあるんですよ。日本の良さを守り、継承していこうというのが日本軍。日本を弱めようというのが反日軍。そして反日軍のリーダーが民主党だったと思っています。ようやくその民主党が倒れて、安倍晋三・自民党政権が誕生しました。これで日本が正しい方向に進む、と安堵しています」

 安倍前首相は東京五輪について「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」などと語って大きな批判を浴びたが、すぎやま氏が言っていることもそれとまったく同じ分断思考と言っていいだろう。

 しかも、すぎやま氏はこのように表立って安倍氏を支持してきただけではなく、「裏」からも応援。2014年には改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人となって安倍首相の手による改憲実現のために尽力し、2015年には安倍政権に批判的なニュース番組に圧力をかけ、当時『NEWS23』(TBS)で安保法案の危険性を指摘していたアンカー・岸井成格氏を番組降板に追いやった「放送法遵守を求める視聴者の会」の初代呼びかけ人にもなった。

 それだけではない。すぎやま氏は毎年のように100万~150万円を安倍氏の政治資金団体に寄付をおこなっており、実際、安倍前首相の政治団体「晋和会」の2019年度の政治資金収支報告書を見ると、すぎやまとその妻の名前でそれぞれ150万円ずつ、夫婦あわせて計300万円を寄付している。

 このように、陰に陽に安倍氏を支え、安倍氏の「総理復活」の後ろ盾となってきたすぎやま。かたや、安倍前首相は組織委の名誉最高顧問だ。東京五輪という晴れ舞台で、自分の支持者に花を持たせようと考えても不思議ではない。

 実際、昨日23日付の東京新聞では、開会式で制作を担当した組織委関係者の男性が取材に応じ、「五輪の闇」について証言。そのなかでこんな話を明かしていた。

〈現場で1つの演目のストーリーと出演者を固めた後、組織委や都の有力な関係者やJOC(日本オリンピック委員会)サイドから、唐突に有名人などの出演依頼が下りてくる。部内では有力者ごとに「○○案件」とささやかれた。
 男性は「有力者が便宜を図った依頼は絶対。その度、無理やり演目のストーリーをいじって当てはめた」と明かした。〉

 もちろん、だからといって、安倍前首相が「開会式でこの曲を必ず使うように」と指示したかどうかはわからない。

 だが、そもそも問題なのは、すぎやま氏とほとんど同じ強固な歴史修正主義者である安倍前首相が、組織委の名誉最高顧問などという座にあることのほうだ。いや、ネット上でもさんざん指摘されていたが、「ナチスの手口に学べ」などと公の場で発言した麻生太郎氏がいまなお副総理兼財務大臣を務めていることが象徴的なように、この国はあまりにも歴史修正主義者に甘すぎる。そんな為政者を野放しにしつづけているからこそ、開会式の前日まであのような解任騒動が起こり、世界から「人権後進国」として白い目で見られるのである。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース スキャンダル 【差別・東京オリンピック2020・パラリンピック】  2021年07月24日  12:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【新型コロナ】:五輪さなかの感染爆発…現実味帯びる“最悪のシナリオ” 必死に平静装う政府

2021-07-28 09:51:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【新型コロナ】:五輪さなかの感染爆発…現実味帯びる“最悪のシナリオ” 必死に平静装う政府

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新型コロナ】:五輪さなかの感染爆発…現実味帯びる“最悪のシナリオ” 必死に平静装う政府

 2848人と、今年1月の過去最多を328人更新した東京都の27日の新型コロナウイルス新規感染者数。インド由来で感染力がより強いデルタ株が、今回の「第5波」の脅威を別次元まで高めている。政府はワクチン接種の他に新たなすべを持たず、東京五輪開催中の首都圏の病床逼迫(ひっぱく)という「最悪のシナリオ」(官邸筋)がにわかに現実味を帯び始めた。

 【画像】東京都内の感染者数と今後の予測  

 この日夕、菅義偉首相は田村憲久厚生労働相や西村康稔経済再生担当相ら関係閣僚を官邸に呼び、急きょ協議を持った。終了後、記者団の取材に応じ「デルタ株の割合も急速に増加しており、(25日までの)4連休の人出も含めて分析していくことにした」。警戒感を強調したものの、特段新たな対策の打ち出しはなく、国民向けのメッセージも従来の域を出なかった。

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース 政治 【政策・東京オリンピック2020・パラリンピック・医療・新型コロナウイルスの感染拡大に伴う患者数の増減】 2021年07月28日  09:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【次期衆院選】:どうする放射性廃棄物

2021-07-28 08:30:50 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【次期衆院選】:どうする放射性廃棄物

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【次期衆院選】:どうする放射性廃棄物 

 元稿:福島民報社 ニュースセレクト 地域 福島県 【話題・次期衆院選】  2021年07月28日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪】:「安倍マリオ」の裏切り…今になって五輪から手を引く

2021-07-28 08:30:40 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【東京五輪】:「安倍マリオ」の裏切り…今になって五輪から手を引く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:「安倍マリオ」の裏切り…今になって五輪から手を引く

 新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)感染拡大の中で開かれる東京オリンピック(五輪)に対し、日本国民の反感が高まる中、このような世論を意識して日本の政界・財界人が先を争って開会式への出席を見送っている。大会誘致の主役で、史上初の「五輪1年延期」を決定した安倍晋三前首相さえ開会式出席を見送る方針だと、日本メディアが報じた。

安倍晋三前首相(中央日報日本語版)

 22日、NHKによると、安倍首相は23日に開かれる開会式出席を見送る意向を前日、五輪関係者に伝えた。当初、参加を予定していたが、東京に新型コロナ緊急事態宣言が出され、ほとんどの競技が無観客で行われることなどを考慮し、出席を見送ることを決定したという。

 しかし、五輪誘致から1年延期までの全過程を決定してきた安倍前首相の開会式不参加について「今になって手を引くのは無責任」との批判も出ている。安倍前首相は、2013年9月の国際五輪委員会(IOC)総会で、自ら「福島コントロールされている」という内容を盛り込んだ講演を行って大会誘致し、2016年のブラジル・リオ五輪閉幕式には、「スーパーマリオ」の衣装で登場し、東京五輪世界アピールした。

リオデジャネイロのマラカナン競技場で行われたオリンピックの閉会式に、安倍晋三首相が「スーパーマリオ」の扮装で登場し、2020年東京大会をアピールした(2016年 ロイター/Stoyan Nenov)

 昨年3月に新型コロナ拡散歳の中で史上初の「五輪1年延期」を決定したのも安部前首相だ。「復興五輪」、「人類コロナ打ち勝った証として五輪開催する」などのキャッチフレーズもすべて安部前首相から出たものだ。さらに安部前首相は、今月初めに発売された極右性向の月刊誌のインタビューで、「反日的東京五輪開催反対している」と主張し、公憤を買った。

 ◆「写真撮れたら批判される」

 安倍前首相だけでなく、自民党内の有力議員も五輪開会式への出席について苦慮していると毎日新聞が21日、伝えた。政府の五輪強行に否定的な世論がますます高まっていることを受け、今秋に選挙を控えた議員が「開幕式に出席で票が減るのではないか」と懸念しているという。自民党の幹部は毎日新聞に「客席にいるとことを写真に撮られれば間違いなく批判される」と話した。

 「五輪反対」を党論に掲げた野党立憲民主党、共産党などは、党代表者でさえ開会式に招待されていないことが分かった。

 21日の朝日新聞などによると、東京五輪組織委員会は23日午後8時に始まる開会式には、海外の関係者800人、国内関係者150人の約950人が参加する予定で、さらに少なくなる可能性があるという。開会式が開かれる東京新宿国立競技場(五輪メイン競技場)の定員は6万8000人。

 日本では、東京五輪・パラリンピックの名誉総裁を務めている徳仁天皇をはじめ、菅義偉首相、小池百合子東京都知事、橋本聖子組織委員会会長などが参加する。

 トヨタ自動車、パナソニックなど、今回の五輪の最高位スポンサー(ワールドワイドパートナー)の経営者は相次いで開幕式への不参加を宣言した。大会を祝うために日本を訪れる各国の要人はエマニュエル・マクロン仏大統領、ジル・バイデン米国大統領夫人を含め、15人未満になるものと予想される。

 ◆「東京の感染者、五輪中に3000人まで増加」

 一方、五輪を目前にした東京の新型コロナは恐ろしい勢いで感染が拡大している。21日、東京都ではことし1月以降、6カ月間で最大の1832人の感染者が確認された。この日、日本全国で5000人に迫る4943人の新規感染者が確認された。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は20日、日本テレビに出演し、東京都の一日の新規感染者数が五輪開催中の8月第1週に、過去最多レベルの3000人まで増加すると予想した。

  元稿:中央日報 日本語版 主要ニュース 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック 】 2021年07月21日  14:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【注目の人 直撃インタビュー】:福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破

2021-07-28 08:30:10 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【注目の人 直撃インタビュー】:福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【注目の人 直撃インタビュー】:福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破

 ◆松岡俊二(早大大学院アジア太平洋研究科・1F廃炉の先研究会代表)

 史上最悪「レベル7」の原子力事故から丸10年――。東京電力福島第1原発(1F)の廃炉作業は今なお難航が続く。国と東電が欺瞞に満ちた「30~40年後に完了」の旗を降ろさぬ中、住民や専門家と一緒に再検討を考える場づくりを呼びかけるのが「1F廃炉の先研究会」だ。代表の早大教授に復興と廃炉の「在るべき姿」を聞いた。 

早稲田大学院アジア太平洋研究科教授、1F廃炉の先研究会代表の松岡俊二氏(C)日刊ゲンダイ

 早稲田大学院アジア太平洋研究科教授、1F廃炉の先研究会代表の松岡俊二氏(C)日刊ゲンダイ

 ――国と東電は2011年12月に廃炉工程表(中長期ロードマップ)を決めて以降、5回も改訂しながら「30~40年後」の完了目標を見直す気配がありません。

 常識で考えればムリな目標です。例えば、福島第2原発の廃炉と比べてみましょう。東電は昨年、福島第2の全4機の廃炉を「44年かけて完了を目指す」計画を提出。事故を免れた健全炉でさえ、これだけの期間を要するのです。原子炉3つが炉心溶融し、建屋3棟が爆発。世界最悪級の事故炉が、2011年から「あと30~40年」で廃炉を終える計画に根拠はありません。

 ■「デブリ取り出しだけで100年以上」

 ――最近になって2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたに、2京(兆の1万倍)~4京ベクレルもの放射性セシウムが付着していることも判明しました。

 深刻なのは、最難関の溶融核燃料(デブリ)取り出し作業が、より厳しくなったこと。デブリは1~3号機のどこにどれだけあるかは未解明。取り出す方法も定まっていません。米スリーマイル島(TMI)原発事故では上ぶたを開け、圧力容器の底にたまったデブリの99%を取り出しましたが、ここまで上ぶたが汚染されていると、TMIの経験と知見は生かせない。現状では、ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそうです。

 ――そんなに、かかってしまうのですか。

 TMIは1基だけの事故で、原子炉の中心にある圧力容器も破損していなかった。それでも全134トンのデブリを取り出すのに4年3カ月を費やしました。1Fは圧力容器に加え、格納容器も破損しているとみられ、私たちの推定だと総デブリ量は約880トン。TMIと同じ年平均32トンを取り出せても28年を要します。その実現も年間作業日を260日と仮定すると、1作業日当たり122キロのペースを維持しなくてはいけません。

 ――なるほど。

 ただ、1Fで特殊鋼製ロボットアームなどを使って取り出せる量は、1回当たり推定20~50キロ程度。その上、高い放射線を放つ劣悪な環境で、極めて緊張した作業を強いられます。取り出したデブリの保管・管理や、放射線を浴びた機械の修繕の問題もある。1作業日当たり50キロと甘めに見積もっても、全量を取り出すには68年、ペースが20キロとすれば170年です。優に100年以上かかるデブリ取り出し「ありき」の計画に、どこまでこだわるのか。10年を機に立ち止まって真剣に検討すべきです。

敷地内に林立する汚染処理水タンク(C)共同通信社
敷地内に林立する汚染処理水タンク(C)共同通信社
拡大する

 ■「お仕着せの住民参加は不要」

 ――大量発生する放射性廃棄物の置き場所も決まっていません。

 そうした中、地元の福島県などは過去10年、一貫してデブリの全量取り出しと県外搬出による1F跡地のクリーンな更地化を要望してきました。

 ――故郷と生業を奪われた人々の感情を思えば、分からなくもない要望ですが。

 しかし、福島県が著しく客観的根拠を欠いた訴えを続けている限り、国や東電も「ムリです」とは言いにくい。建前論と現実がズルズルと乖離していく状況は、地元住民にとっても不幸です。

 ――当初2兆円と推計された廃炉費用も、既に8兆円に上方修正です。

 誰もその額で済むとは思っていません。この10年は福島復興への社会的支援と関心は強かったと思いますが、今後も際限のない作業が続き、兆単位で費用も膨らんでいけば、その限りではない。今の日本社会はコロナ禍や度重なる自然災害、少子高齢化など課題が多く、廃炉だけに関わっている余裕もありません。中止を求める世論の高まりから、半端な形で廃炉作業が滞ると、復興にも悪い影響を与えます。

 ――廃炉と復興の共倒れですね。

 そのリスクを回避するためにも、福島県は非現実的な主張をやめ、国と東電と共に中長期ロードマップを見直すべきです。根拠のない願望によって地域社会の将来を語り続けるのは結局、住民をだますことになる。かつての「安全神話」と同じ構図で、「30~40年後に廃炉できる」は形を変えた新たな神話です。

 ――現実を直視した将来像を示すべきだと。

 そのためにも、幅広い住民が議論に加わって、1F廃炉の将来像を考える場の形成は不可欠です。現状は、国と東電が被災市町村の首長に方針を説明後、陳情を受ける「お仕着せの場」しか、ほぼありません。

 ――決定事項を伝え、「どうですか」と聞いているだけの印象です。

 処理済み汚染水を巡る議論が典型です。既に敷地内には1000基超の貯蔵タンクが並び、保管先は来年秋以降に限界を迎えます。124万トンに達した処理水の処分は喫緊の課題ですが、国は約6年もかけて非常に間違った議論の進め方をしました。まず技術者らが5つの選択肢に絞り、次に社会系の専門家も入れた小委員会が2案に絞り込み、その際「海洋放出は実績があり、より確実」と報告。最後に地域の人々に意見を聞いても、もはや住民に選択の余地はなく、議論にならない。反発も当然です。だから、早い段階から地域の人を交えた議論が求められるのです。

 ――ロードマップも、いまだ処理水の最終処分に言及していません。

 必ずしも、すぐに海洋放出しなくてもいいはずです。1Fの敷地面積348.5ヘクタールに対し、1Fを取り囲み、除染廃棄物を管理・処理する中間貯蔵施設は1600ヘクタールまで広がります。この国の時限所有地にタンクを移す選択肢も考えられます。最初から「解」を求めず、多様な選択肢を示し、地域社会と対話を重ねる。納得できなくても、そのプロセスで決まったのなら認めましょう、という場をつくることが大事です。

 ■未来に教訓を伝える「遺産」に

 ――いまだに「廃炉」の定義すら曖昧なまま、作業は国と東電任せという風潮も気になります。

 現場で働く人々にとっても、地域との対話は重要です。大変に困難な作業を担う人は社会からリスペクトされるべきです。高いモチベーションを保ち、社会的使命に携わっていけるよう、地域社会に見える形で作業を進めて欲しい。

 ――そもそも福島と関わり始めたきっかけは?

 10年前、スリランカで見た1Fの爆発映像はすごくショックなものでした。学生に環境政策を教え、「温暖化対策のため、安全に注意して原発を使おう」と講義していたので。いい加減なことを言ってきたなあ、と。そこから真剣に原発や廃炉の問題に取り組もうと思い、初めて福島に通い出したのです。

 ――地元から更地以外の将来像に関し、具体的な意見は出ていますか。

 1Fそのものを事故遺産として保存するのも、選択肢のひとつです。放射性物質の「閉じ込め・管理」を条件に、福島の教訓を伝える場として未来に残す。特に若い人たちと話すと、「復興の象徴に」と1F保存を願う声はかなり多いですよ。

 ――広島における「平和の象徴」のようなイメージですか。

 そうです。広島では原爆ドームを残し、平和記念公園をつくった。私自身、広島市に20年間住んでいましたが、毎朝、ボランティアの人々が掃除をするなど地域の誇りを守り、育てています。海外から訪れる人々もその姿を非常にリスペクトしてくれています。

 ――1Fもそうした付加価値を生み出すことが可能だと。

 広島市議会が原爆ドームの保全を決議したのは、1966年。原爆投下から約20年後でした。1Fはまだ負の遺産でしかないですが、今後の10年で、どうすれば地域に貢献する資源と資産に変えていけるのか。住民はもちろん、国と県、東電も含めて平場で議論できる場が、いくつも立ち上がっていくのが理想です。廃炉費用を負担する国民が「自分ごと」として1F廃炉の将来像を考え、共に議論できる場を今後もつくっていければと思っています。(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)

 ▽松岡俊二(まつおか・しゅんじ) 1957年、兵庫・豊岡市生まれ。82年、京大大学院で経済学修士課程修了。広島大で博士号を取得。88年から同大講師、助教授、教授を経て、2007年から現職。専門は環境経済・政策学。11年秋から福島浜通り地域の復興に携わり、19年7月に技術系や社会系の専門家、住民ら14人とともに「1F廃炉の先研究会」を設立。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2021年03月11日  14:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪】:「復興五輪の意義、見いだせない」福島も無観客、現地しらけムード

2021-07-28 08:30:00 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【東京五輪】:「復興五輪の意義、見いだせない」福島も無観客、現地しらけムード

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:「復興五輪の意義、見いだせない」福島も無観客、現地しらけムード

 開幕まで2週間を切った東京オリンピック。福島市で行われるソフトボールと野球は「復興五輪」の目玉になるはずだった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響で10日、無観客での実施が決まった。「地元の人も見られないオリンピックに何の意味があるのか」。関係者の間では白けムードが漂っている。【川崎桂吾、金子淳、土江洋範、大島祥平、村上正】

 「せっかく『覚悟を決めて頑張ろう』と思っていたのに。突き落とされたような気分だ」。観客を案内する福島県の都市ボランティア(シティキャスト)に選ばれていたNPO法人「うつくしまスポーツルーターズ」の斎藤道子さん(57)=福島市=は語る。

 8日に4都県の無観客が決まった際は、「観客が入る福島は逆に注目が集まるはず」と自分を納得させた。10日午前にはシティキャストの現地研修に参加し、案内方法などの指導を受けたばかりだ。研修に参加したボランティアは「福島は観客が入るということで、みんなスイッチが入っていて、いい雰囲気だった」という。

 だが、無観客となり、都市ボランティアは活動中止が知らされた。選手団や関係者は感染対策で競技場以外には行けないため、現地で被災地の現状を知ってもらう機会はほとんどなくなることになる。斎藤さんは「今大会から復興五輪の意義を見いだすのは難しい。意義などないと言ってもいい」とあきれる。

 「自分の周りではみんなチケットを買って楽しみにしていた。それが無観客なんてね」。一報を聞いた福島県ソフトボール協会の常任理事、菅野哲雄さん(72)は力なく笑った。福島県ではソフトボールが盛んで、菅野さんたちは21日の開幕試合などで競技運営の手伝いをする予定になっている。「張り合いがなくなったよね」

 東日本大震災の津波で子供2人と両親を亡くした福島県南相馬市の上野敬幸さん(48)は3月、家族や復興への思いを胸に聖火ランナーとして走った。無観客の決定に「今の状況だと多くの人が集まるのは難しいと思うので、残念だが仕方ない。ただ、子供たちだけでも見せてあげられなかったか」と話した。

 福島県浪江町の行政区長会長、佐藤秀三さん(76)は「県外からも多くの人が集まれば感染リスクも高まる。無観客は当たり前だ」と話す。浪江町は福島第1原発の近くにあり、全域に6年間にわたる避難指示が出された。今も人が住めない地域が残る。佐藤さんは「コロナ禍の前から『復興五輪』は怪しいと思ってきた。そもそも薄い理念が、観客の有無といった別の議論でかすみ、もうどこかにいってしまった」と冷ややかだ。

 佐藤さんが言うように、県内ではコロナ禍の前から「復興五輪」への冷めた見方が広がっていた。五輪の理念が「復興五輪」から「コロナに打ち勝った証し」にすり替えられたことも県民の虚脱感を強めた。福島県から3月にスタートした聖火リレーでも機運は盛り上がらず、今回の無観客の決定によって、現地の「白けムード」は覆せないものになりそうだ。

 2017年に野球・ソフトボールの福島県内での開催が決まり、準備に関わってきた福島県関係者は「8日は有観客としたが、県庁内でも首都圏4都県の無観客と整合性を取るべきだ、という意見はあった。無観客にかじを切った引き金は北海道の決定だ」と話す。大会の理念とする復興五輪をアピールする立場として「もう残されている時間はほとんどないが無観客となれば、新たな発信方法を考えないといけない」と頭を抱えた。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック】  2021年07月10日  20:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(7)【皇居周辺&お台場】メダル続出の柔道会場周辺の静寂、アスリートを間近で見られるお台場の熱気

2021-07-28 07:32:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(7)【皇居周辺&お台場】メダル続出の柔道会場周辺の静寂、アスリートを間近で見られるお台場の熱気

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(7)【皇居周辺&お台場】メダル続出の柔道会場周辺の静寂、アスリートを間近で見られるお台場の熱気 

 ◆皇居&お台場

 7月の4連休が終わって26日からは通常モード。

 東京五輪開催期間の真っ只中ではあるが、千代田区のオフィス街にある日本武道館(柔道会場)と港区のベイエリアにあるお台場海浜公園(トライアスロン・オープンウォータースイミング会場)や潮風公園(ビーチバレーボール会場)などとは、同じ都内の会場地でも雰囲気がまるで違う。

お台場には大勢の人が集まった(写真)元川悦子

  お台場には大勢の人が集まった(写真)元川悦子

 コロナ禍の五輪ということで、賛否両論も依然として渦巻いているが、エリアによっても「温度差」が色濃く感じられる。

 高藤直寿(パーク24)に始まり、阿部一二三(パーク24)・詩(日体大)兄妹や五輪2連覇の大野将平(旭化成)など6つの金メダルを獲得している日本柔道。

 彼らが今大会のメダルラッシュを牽引している状態で、さぞかし会場周辺も盛り上がっていると思われた。しかし、大野の準決勝・準決勝が行われた26日夕方、武道館に近い地下鉄・九段下駅周辺は普段通りの風景だった。

 警察官やボランティアの姿は目立ったが、道を急ぐビジネスマンや散歩中の地元住民は、五輪に無関心という印象を受けた。

 田安門をくぐると「この先は関係者のみとなります」とのアナウンスが。 残念そうに記念撮影だけして引き返す五輪ファンの姿もあった。

 筆者も過去に1万人単位の外国ミュージシャンのコンサートに来場したことがあるが、その時の熱気や興奮とはかけ離れている。セキュリティーの奥で大野が奮闘しているとは思えない静寂が恨めしかった。

 ※  ※  ※

 一夜明けて27日の早朝。東京には台風8号が接近し、雨が降ったり、止んだりの悪天候に見舞われていた。

 それでも、この日は早朝6時30分から女子トライアスロンがお台場で行われた。公園内のスイムは中に入れないが、一般道を走るバイクとランは生で見られる。

 無観客の都内では、唯一の競技観戦機会。眠い目をこすりながら、気力を振り絞って現地に向かった。

 強風で乱れやすいゆりかもめを避け、東京臨海高速鉄道(りんかい線)を選択。東京テレポート駅に午前6時20分に到着し、屋根のある歩道橋を歩いてフジテレビ方向へ。そこから道路に下りると凄まじい大雨と強風。いきなりビショ濡れになった。

 台場交差点のマクドナルド前に急ぐと、すでに大勢の人々がスタートを待っている。

「どうしても五輪が見たくて始発で来た」と言う千葉在住の中年女性は、完璧な雨対策を取っている。

「小学生の息子に五輪を見せたくて強引に連れてきた」と話す近隣男性もいた。

 開始時間が15分遅れて午前6時45分にスイムがスタートしたと知り、雨が弱まった午前7時過ぎから沿道で選手を待った。

 すると猛スピードのバイクの一団が続々とやってくる。

「メチャメチャ速い」「鍛えられた体が凄くキレイ」といった感想もチラホラ聞こえてくる。

トライアスロン女子選手の鍛え上げられた肉体の美しいこと(写真)元川悦子

 トライアスロン女子選手の鍛え上げられた肉体の美しいこと(写真)元川悦子

 ◆「観戦自粛」の看板を持つスタッフも選手に目を奪われていた

 トライアスロンの別名は「鉄人レース」。今回もスイム1.5km、バイク40km(コースを8周)、ラン10km(同3周)という過酷なルールの中で頂点を目指すのだ。

 競技者は、自らを限界まで追い込まなければ高みに上り詰めることはできない。彼女たちの美しい肉体は、その証なのだと痛感させられた。

 54分前後と言われるバイクの時間は瞬く間に過ぎ、最後のランへ。トップで通過したのはダフィ(バミューダ諸島)。2位はザファーズ、3位はテーラーブラウン(ともに英国)。日本の高橋侑子(富士通)は8位の好位置に付けた。  

 もう1人の岸本新菜(福井県スポーツ協会・稲毛インター)が途中棄権したこともあって、「侑子ちゃん頑張って」「高橋選手ファイト」と高橋への声援はひと際、大きくなった。

 最終的にダフィが優勝し、高橋は18位に終わったが、沿道の熱気と応援をアスリートは、心強く感じたのではないか。

 コロナ禍突入以降、箱根駅伝や各マラソン大会が行われるたび、沿道応援が問題視されてきた。コロナ対策という観点では、確かに密回避は重要だ。しかも今の東京は緊急事態宣言下。やはり自粛は必要なのだろう。

 ただ一方で、人々の応援が選手の力になるのも事実だし、沿道に集まる側が見たい気持ちを抑えるのは難しい。この日も「観戦自粛」の看板を持ったスタッフや警官があちこちに点在していたが、彼らも選手の一挙手一投足に目を奪われていたほど。

 いかにバランスを取るかは難しい問題なのだ。

「東京五輪は人生で1回。生観戦できるのは今日しかないと思って来た。トップ選手の走りが見れて本当によかった。一生の財産になります」と、都内在住の男性3人組も笑顔を見せていた。

 8月7・8日の札幌のマラソン開催時に、いかにしてコロナ対策と沿道応援の両立させるのか。運営側の頭の痛い日々は続きそうだ。

 元川悦子

 ■元川悦子 サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月28日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(6)【有明】堀米雄斗金メダルの瞬間に橋の上から大歓声が沸き起こった

2021-07-28 07:32:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(6)【有明】堀米雄斗金メダルの瞬間に橋の上から大歓声が沸き起こった

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(6)【有明】堀米雄斗金メダルの瞬間に橋の上から大歓声が沸き起こった 

 ◆有明

 競泳女子400メートル個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)の金メダルに始まり、柔道女子52キロ級と同男子66キロ級の阿部詩(日体大)・一二三(パーク24)の兄妹金メダルなど東京五輪2日目の25日も日本勢の活躍が目立った。

 そんな中、異彩を放ったのが新種目・スケートボード男子ストリートで初代金メダリストに輝いた堀米雄斗(XFLAG)だ。

堀米ファンの木梨さん(左)と笹谷さん(写真)元川悦子

 堀米ファンの木梨さん(左)と笹谷さん(写真)元川悦子

【写真】この記事の関連写真を見る(11枚)

 東京都江東区出身の彼は、地元の有明アーバンスポーツパークに凱旋。その雄姿を遠目からでもいいから目に焼き付けたい、と会場が見える有明北橋には熱狂的ファンや地元住民が次々と集結。携帯動画を見ながら、金メダルの瞬間を見守った……。

 テニス会場の有明テニスの森、体操会場の有明体操競技場、バレーボール会場の有明アリーナなどが立ち並ぶ江東区の有明地区。

 この日は聖火最終点火者を務めた大坂なおみ(日清食品)の1回戦が行われることに着目。彼女の試合時間の昼頃を狙って現地へ足を運んだ。

 東京臨海高速鉄道(りんかいせん)国際展示場から5分ほど北へ歩くと有明コロシアムとテニスの森が見えてくる。この日も朝から気温30度超の猛暑。人口都市的な色合いの強い同地区は街路樹も少なく、日光を遮るものがほぼない。まさに過酷な環境下だが、「五輪会場を見たくて来ました」と言う人も少なくない。今や有明エリアは新たな観光名所になっているようだ。

 テニス会場の関係者入口前でバス待ちをする熱心なファンもいた。

「日本人の夫と結婚して日本に10年住んでいますが、東京五輪をどうしても一目見たくて。さっきアンディ・マリーが入っていくのを見ました。それだけでも幸せです」とフィリピン人女性が笑顔を見せる。 

 本来なら選手も彼女らに近くで応援してもらいたかったはずだ。

 ◆有明北橋からスマホで堀米雄斗の一挙手一投足を

 ここからさらに北上し、ゆりかもめの有明テニスの森駅前へ。この手前でふと目に留まったのが、タイガービールの大看板。コンテナボックでできた期間限定だ。ポップアップモール&パーク「Zero Base ARIAKE」内のリカーショップである。

 別店でホットドックなどの軽食を買い、周辺会場を眺めながら食事もできるし、バーベキューも可能。五輪開幕後は外国人客も急増中だという。

 コロナ禍で当初計画していたスポンサー広告掲示や派手な装飾は難しくなり、有観客想定の来店者数には至っていないようだが、「国際交流拠点」としての役割は果たしている様子だ。

「地元の方も足を運んでくださって本当に有難いです」と代表取締役の小湊幸星さんも感謝していた。

 冷たいビールで英気を養い、有明アーバンスポーツパークへ。緩やかな坂からBMXのコースの一部が見渡せる。競技開催日の7月31日~8月1日はかなり混雑しそうだ。

 その先の有明北橋に人だかりができている。

 スケートボード男子ストリート決勝会場を眺めつつ、スマホで堀米の一挙手一投足を見ている一団だ。

 特に熱心だったのが、木梨祐一さんと笹谷星さんの職場の先輩・後輩コンビ。予選開始直後の午前9時から現地を訪れ「どこか見られる場所がないか」と探し回り、橋の上に辿り着いたのだ。

「本当は今日のチケットを持っていて現地観戦する予定だったんです。金メダルの瞬間を見るはずだったのに…」と堀米選手の大ファンだという木梨さんは悔しさをにじませる。

 それでも、スタートポジションの選手の姿がうっすら見えるだけでも、東京五輪ムードを実感できたという。

 堀米が競技終盤に首位に浮上した頃には橋の上は人・人・人。筆者も彼らの仲間に加わり、疑似五輪観戦体験をしていた。

 優勝が決まった瞬間、現場からは大拍手がわき起こる。木梨さんは「雄斗~」と叫び、笹谷さんと喜びを分かち合っていた。

 これはこれで素晴らしい体験だったが、有観客なら彼らは堀米の表彰式や国旗掲揚の瞬間を間近で目に焼きられたはず。

 そう考えるとやはり憤りを覚えずにはいられなかった。

 有明アーバンスポーツパーク前では、今後も似たような光景が続くかもしれないが、スポーツを愛する人たちが少しでも世紀の祭典を身近に楽しめるような状況になってほしいと強く願う。

 元川悦子

 ■元川悦子 サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月26日  16:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(5)2年前には「最高の五輪になる」とバッハ会長が言い切った東京国際フォーラムが今は…

2021-07-28 07:31:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(5)2年前には「最高の五輪になる」とバッハ会長が言い切った東京国際フォーラムが今は…

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(5)2年前には「最高の五輪になる」とバッハ会長が言い切った東京国際フォーラムが今は…

 ■東京国際フォーラム周辺

東京国際フォーラム周辺(写真)元川悦子(日刊ゲンダイ)

 ◆目に入るのは金網と白いフェンス

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月25日  14:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(4)【開会式】新国立競技場の最寄り駅では五輪賛成派と反対派のバトルでカオス状態

2021-07-28 07:31:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(4)【開会式】新国立競技場の最寄り駅では五輪賛成派と反対派のバトルでカオス状態

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(4)【開会式】新国立競技場の最寄り駅では五輪賛成派と反対派のバトルでカオス状態

 ◆開会式当夜の新国立競技場周辺

 派手な花火が打ち上がり、MISIAの君が代独唱に森山未来、真矢みきらのパフォーマンス、ゲーム音楽に合わせた入場行進、そしてテニス大坂なおみの最終点火と華やかな祭典ムードが漂った7月23日夜の開会式。

 しかし、直前の東京・国立競技場(新国立)の最寄り駅・JR千駄ヶ谷駅では五輪賛成派と反対派がバトルを繰り広げるなど「カオス状態」に陥っていた。

新国立競技場周辺には人だかりが出来ていた(撮影)元川悦子

 新国立競技場周辺には人だかりが出来ていた(撮影)元川悦子

 日本オリンピックミュージアム前の五輪マーク付近も人・人・人だらけ。「少しでも雰囲気を味わいたい」という世界各国の人々やメディア関係者が集結して超密状態。なぜ無観客で行われているのか、その意味がよく分からなくなった。

 開会式が始まる午後8時の4時間前。千駄ヶ谷駅は大勢の人で埋め尽くされていた。

 東京体育館から新国立に抜ける道も車両通行止めになっており、歩道は野次馬でごった返していた。

 外苑西通りに出ると「TOKYO2020」の大看板が掲げられた新国立が一望できる。

 普段はミュージアム前が人気の撮影スポットなのだが、そちら側は関係者のセキュリティーチェック用のテントが立ち、金網が設置されているため、こちらの方が記念写真に適しているのだろう。実際、多くの人が盛んにスマホやカメラを向けていた。

 ◆ホープ軒やコンビニはこの夜ばかりは大盛況

 一番人気の場所は名物ラーメン店・ホープ軒から河出書房新社前を経由して仙寿院の交差点まで。当然、ホープ軒も大盛況だ。新国立に5万7597人が集まった2020年元日の天皇杯決勝・神戸ー鹿島戦の時の凄まじい行列に比べるとだいぶ落ち着いてはいたが、店としては久しぶりの特需だったのではないか。

 特需という意味では、新国立周辺のコンビニ・ファミリーマートもそう。同店では公式スポンサーに名を連ねるアシックスが開発した公式応援Tシャツを販売する特設コーナーを設置。2週間前は閑古鳥が鳴いていたが、新日本青年館の店では「昨日と一昨日では物凄く売れてます」と店員もほくほく顔。隣のジャパンスポーツオリンピックスクエアの公式ショップも人でごった返したという。

 無観客開催でも、新国立周辺だけは五輪効果が大きいようだ。

 ◆外国人の観客も相当な数

 外国人観客もかなりの数

 オリンピックミュージアム前の人だかりは、新国立完成からの1年半では間違いなく最高レベル。観光客はもちろんのこと、テレビ中継を試みる各国メディア、スマホと小型カメラを使って実況中継するユーチューバーまでおり、コロナ禍ということを忘れそうになった。

「これじゃあ~コロナ感染、広がるよね」という声も聞こえてきたが、新国立に最も近い場所に折り畳み式のイスを持ち込み、飲食しながら開会式を外から眺めようという猛者もいた。

 誰もが、中に入れないなら入れないなりに知恵を絞るもの。「だったら最初から有観客にした方が良かったのではないか」という感想を抱いた人も少なくないだろう。

 日本語のみならず、中国語や英語、スペイン語などが飛び交い、外国人観客も相当数いた。

 1998年長野五輪の聖火モニュメント前にいた東京在住のフィリピン人女性に話を聞くと「チケットはもともとなかったけど、新国立をひと目見たくて。リスペクトすべきはアスリート。安全のために無観客は仕方ない」と言う。

 東京生活7年というインド人家族も「こんなに素晴らしい新国立を生で見られただけで幸せ。東京に住んでいて良かった。昼間のブルーインパルスも最高だった」と笑顔を見せていた。

 ◆反対派の「中止」の横断幕と賛成派の「感謝」の演説

 彼らとの会話から平和、友情、連帯感、フェアプレーという五輪精神をほんのわずかでも感じられたのは、この日の収穫だった。

「それなりに五輪開催にも意味があるのではないか」と少し前向きな気持ちで帰途に就こうとすると千駄ヶ谷駅に無数の警官隊の姿が。 

 予想以上の混沌ぶりに何事かと思いきや「東京五輪中止」の横断幕を持った反対派がズラリと並び、無言の抗議活動を行っていた。

 そこから少し離れた場所では「五輪開催は医療関係者や運営関係者、ボランティアのおかげ」と感謝の演説中。

 その目の前で「いい加減にしろ。感染拡大したら誰が責任を取るんだ」という怒号を浴びせる人もいた。

 日本は自由主義国家なので誰が何を言っても許されるが、東京五輪開会式当日にこのムードは、やはり複雑。すでに競技は始まっているが、国民の大半が納得できる東京五輪への道は遠そうだ。

元川悦子
著者のコラム一覧
 ■元川悦子 サッカージャーナリスト
1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月24日  16:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(3)【味の素スタジアム】日本vs南ア戦の会場はバリケードに覆われ、防音対策で国歌すら聞こえず

2021-07-28 07:31:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(3)【味の素スタジアム】日本vs南ア戦の会場はバリケードに覆われ、防音対策で国歌すら聞こえず

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(3)【味の素スタジアム】日本vs南ア戦の会場はバリケードに覆われ、防音対策で国歌すら聞こえず 

◆【味の素スタジアム】

「目の前で南ア戦が行われるのに入れない。これは『復興五輪』じゃなくて『失望五輪』ですよ」

 7月22日、東京五輪Uー24日本代表の初戦・南アフリカ戦が行われた東京・味の素スタジアム。 キックオフの約2時間前(午後6時過ぎ)から選手バスの到着を待っていた吉田麻也(サンプドリア)の「22番」をつける熱心なサポーターは、ため息交じりでこうつぶやいた。

 筆者にとってもここは2001年の開業以来、FC東京の試合などで頻繁に訪れ、慣れた場所だ。

メキシコの応援にスタジアムまでやって来たサポーター(C)元川悦子

  メキシコの応援にスタジアムまでやって来たサポーター(C)元川悦子

 しかも、同日はチケットで試合観戦する予定だった。にもかかわらず、目につくのはバリケードに覆われたスタジアム全体とウロウロする警官や私服警察の様子ばかり。

 ファンの憤りに強い共感を覚えた。

 ■親子連れが残念そうに記念撮影

 この日の味スタでは、日本ー南ア戦の前に同じグループA組のメキシコーフランス戦が午後5時から行われた。

 直前に行けば、両国の国歌斉唱くらいはスタジアムの外で聞けるかもしれない、と考えて最寄り駅の京王線・飛田給駅から徒歩5分の正面ゲートに向かった。

 ただ、残念なことに完璧な防音対策が講じられ、国歌は全く聞こえなかった。それでも五輪動画サイトを見ながらフランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」を静かに唱和する人の姿もあった。

 彼らはエムバペ(パリSG)のファンなのか、名前入りのレプリカユニフォームを着用。心から応援していたが、エムパペが不参加でU-24世代の主力級も招集できななかったフランスは、メキシコの4-1で敗れてしまった。熱烈な応援は残念ながら結果に結びつかなかったようだ。

 一方、勝者となったメキシコのサポーターもスタジアム前に姿を見せていた。

 レプリカ姿の3人組に話を聞くと1人は都内在住のサッカーコーチ、2人は新潟からやって来たボランティア。江東区晴海の選手村付近で意気投合して「チケットは持ってなかったけど近くで応援したいと思って来ました」と言う。

 そうやってスタジアム内外で国際交流が行われるのが五輪の醍醐味。今回はPVやイベント会場が閉鎖され、そういう場は皆無に近いが、ポジティブな空気をほんのわずかでも感じられたのはいいことだ。

 しかしながら、一方では幼い子供を連れた親子連れが何組かが残念そうに記念撮影していた。

 その様子を見るのはやはり辛い。

「近くで五輪があるので少しでも雰囲気に触れたいと来ました。一目でもいいから子供に試合を見せたかったですね」と三鷹市から訪れた父親は複雑な胸中を吐露した。が、願いは叶わない。

 冒頭のバス待ちのサポーターを含めて「なぜ無観客なのか」という疑問は、本番のサッカーの試合が始まっても拭えない。

 南アに1ー0で勝利した日本が予想以上に苦戦したのも、ファンの声援という後押しをもらえなかったことが大きい。

 本当に無観客でよかったのか否か。政府と東京都、組織委員会はしっかりと検証すべきだ。

吉田と香川のレプリカユニを着た2人(C)元川悦子吉田と香川のレプリカユニを着た2人(C)元川悦子

 ◆スタジアム前のショップも大打撃

 無観客五輪のマイナスを被っているのは、サポーターだけではない。

 経済効果を期待していた飲食店やショップ関係者もダメージを受けている。

 飛田給エリアではコロナ禍以降、コンビニや居酒屋が何店か閉店を余儀なくされているが、営業を続ける店も売り上げが伸びずに苦慮しているのだ。

 その1つが味スタの目の前にある「スーパースポーツゼビオ調布東京スタジアム店」。

 本来なら南ア戦開催当日は4万人以上の大観衆が押し寄せ、3階の五輪オフィシャルグッズコーナーには買い物客が殺到するはずだった。だが、人影はまばら。

「2019年のラグビーW杯開催時はレジに大行列ができ、アルバイトも総動員して対応したほど。閉店の午後8時には到底閉められず、午後10時まで働いていました」と当時を知る男性店員は、落差にショックを隠せない。

 2020年後半あたりからは、週末の売り上げは回復しつつあったというが、今春になってJリーグの観客制限が再び強化され、五輪も無観客となれば、客足が伸びるはずもない。「公式グッズもなかなか売れないですし、ホント困ったものですね」と彼は苦笑する。

 目下、店側の悩みは2階入口の大画面テレビで五輪中継を流すか、それとも否か。流せば「密」ができる恐れがあり、流さなければ雰囲気が盛り上がらない。

 味スタではサッカーの試合が続くし、隣の武蔵野の森総合スポーツプラザでは、金メダルが有力視される桃田賢斗バドミントンも開催される。それを中継していなければ、客からお叱りを受けるかもしれない。

 五輪会場のお膝元は、いろいろな難しさを抱えているのである。

元川悦子
著者のコラム一覧
 ■元川悦子 サッカージャーナリスト
1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月23日  11:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東京五輪の「現場」を歩く】:(2)無観客五輪に振り回された人は少なくない フリーランス記者も現地取材できず

2021-07-28 07:31:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【東京五輪の「現場」を歩く】:(2)無観客五輪に振り回された人は少なくない フリーランス記者も現地取材できず

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪の「現場」を歩く】:(2)無観客五輪に振り回された人は少なくない フリーランス記者も現地取材できず

 史上初の無観客五輪の開幕まであと2日。だが、東京都の小池百合子知事が「自宅で家族とテレビで五輪観戦をしてほしい」と言ったように、一般市民は生観戦は叶わない。

 チケット保有者からは「開幕2週間まで引っ張ってこの結末はない」「一生に一回の自国開催五輪なのにひどすぎる」といった不満が噴出。無観客なら無観客なりにJクラブが工夫を凝らしたような企画チケット販売も手掛けられただろうが、全てが後手後手という印象しかない。

17日に神戸で行われた日本Uー24代表ースペインUー24代表戦は有観客で行われた(C)Norio ROKUKAWA/office La Strada

  17日に神戸で行われた日本Uー24代表ースペインUー24代表戦は有観客で行われた(C)Norio ROKUKAWA/office La Strada

 そもそも、東京五輪チケットの1次販売が始まったのは2019年5月。期間は同月9~28日で、公式サイトからエントリーする方式だった。

 サッカーW杯は、2002年日韓大会から4回連続でAD(Accreditation/取材許可証)を取得しているフリーランス記者の筆者も、通信社・新聞社偏重の五輪のAD取得は容易ではない。今回は普通にチケットを購入してスタンドから観戦する形で取材したいと考え、男子サッカーの日本の初戦が有力視された7月22日の味の素スタジアムの試合(C席=5500円)を筆頭にサッカー男子、男女バスケットボール、女子バレーボールなど複数競技に申し込もうとした。

■「電話認証」で申し込み受理されず

 だが、その期間はU-20W杯の取材でポーランドに滞在していたために「電話認証」で引っ掛かった。日本国内の自宅か携帯電話で折り返しを受けない限り、申し込みは受理されない。何度トライしても状況は変わらず、困り果てて友人に代理購入をお願いした。各2枚ずつを申し込んでもらい、当選すれば一緒に行こうと思ったからだ。

 迎えた当選発表の6月20日。友人から「当たったよ」と連絡が入った。7月22日のサッカー男子の日本-南アフリカ戦、8月4日の女子バスケットボール準々決勝、6日の女子バレー準決勝の3セッションだ。

 周りには複数枚当選した人がおらず、友人の強運に感謝しながら約5万円のチケット代をいち早く払い、本番を待った。

 しかし、ご存じの通り、コロナの感染・拡大で2020年3月末に1年延期が決定。今年に入ってからも収まらず、開催が危ぶまれる中、3月20日に「海外観客受け入れ断念」が正式決定。「国内観客の上限」は6月判断に。その間も組織委員会から友人宛に何度か現状説明とお詫びが記されたメールが届き、先行きを危惧していたところ、6月22日に「上限1万人」が決定。肝心のサッカーは「再抽選」となった。

 それでも「女子バスケと女子バレーに行けるならまだいいか」と気をとり直していたが、感染状況が著しく悪化。7月8日夜にはついに「首都圏での無観客開催」が正式決定するに至った。

 その時点では、まだ茨城、宮城、北海道でのサッカーは有観客だった。実は別の友人から「(茨城)鹿嶋開催の準決勝チケットが1枚ある」と誘われていて、かすかな希望に賭けていた。が、その晩のうちに「学校連携観戦のみ」という判断が下される。

■施設や会場を外から眺めることしかできなくなった

 こうして筆者の現地観戦の道は完全に断たれてしまい、施設や会場を外から眺めることしかできなくなったのだ。

 この2年間、似たような状況に陥り、振り回された人は少なくないはずだ。開幕2週間を切ってからの決定では、一般客が五輪に参加する方法はほぼない。しかし、Jリーグの場合だと、5月2日の大阪ダービーでセレッソ大阪が販売した企画チケットのように、ビニールポンチョやフラッグを観客席に掲げる演出が何度か行われている。

 無人でもコレオや横断幕があるだけで選手はモチベーションが高まるし、収入の一助にもつながる。900億円のチケット収入損失を少しでも穴埋めできるアイディアはあったはずだ。が、10日程度では準備時間が短すぎる。組織委員会や東京都や政府は、税金による補填しか頭にないのかと言いたくなる。

 「それでも五輪に参加できる方法はないか」と熱望する人には「TOKYO 2020 Share The Passion プロジェクト(https://olympics.com/tokyo-2020/ja/games/event-stp/)」をお勧めしたい。メッセージや応援動画をSNSに投稿し、それが大型映像装置やビデオボードで流される試みだ。

 気休めではあるが、選手側は励まされる部分もあるだろう。無観客なら無観客でこういった企画を数多く考えてほしかった。最悪の事態に至る顛末が何とも恨めしい。

元川悦子
著者のコラム一覧
 ■元川悦子 サッカージャーナリスト
1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック:担当 元川悦子】  2021年07月21日  11:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする