【天風録】:隠れオミクロン
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:隠れオミクロン
高知で山仕事に精を出す友から先週、動画が届いた。初鳴きらしいウグイスのさえずりに加え、杉林から「黄色の煙」が上り始めたという報告も一緒に。道理で、目鼻の辺りが最近むずがゆい
▲飛び散る花粉の量が、西日本は例年よりもやや少なめとの予報がせめてもの救い。ただ、厄介なことに鼻水やくしゃみ、気だるさといった症状がそっくりなのだ。流行中の新型コロナウイルス、オミクロン株の症状に
▲先のデルタ株にもまして、コロナ感染なのかどうか、分かりにくい。耳鼻咽喉科にかかり、思わぬ陽性判定を受けるケースも珍しくないと聞く。お医者さんたちの学会も今年は早め早めの花粉症治療を呼び掛けている
▲かと思えば、オミクロン株以上の感染力という派生型も現れ、各地から市中感染の報告が届き始めている。特定には遺伝子解析が必要で、時間がかかるという。電波探知機で捉えにくいステルス戦闘機になぞらえ、こんな異名で呼ばれている。「ステルス(隠れ)オミクロン」と
▲花粉症を隠れみのに、正体を暴かれるまで時間稼ぎをする―。煙とともに、どろんと姿をくらます派生型を見逃さないようにしなければ。悩ましい春が近づいている。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2022年02月19日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。