★中国政府がロシアのウクライナ侵攻について複雑な立場を見せている。朝日新聞によれば、中国の王毅外相は7日、対日関係について「他人のために火中の栗を拾ってはならない」と述べ、西側追随外交を批判した。また「冷戦時代の同盟や地政学的な対立は人心を得ない」とし、米主導の「中国包囲網」形成の動きに日本が加わらぬように求めたという。おかしな話だ。中国は日本が人権問題で懸念を示す度「内政干渉するな」と過剰反応するが、時として世界のリーダーのようにふるまう。

 ★その一方、中国は「人道」を訴える。王毅はウクライナでの大規模な人道危機を防ぐため、次の6つの提案を行った。<1>人道主義的行動は中立、公正の原則を順守し、人道問題の政治問題化を防ぐ。<2>ウクライナの避難民に全面的に配慮し適切な手配が受けられるよう支援する。<3>市民を確実に保護しウクライナ領内における2次的な人道災害を防ぐ。<4>人道支援活動のスムーズで安全な実施を保障する。<5>ウクライナ在留外国人の安全を確保し、ウクライナからの安全な退去を認め帰国を支援する。<6>国連がウクライナに対する人道支援で調整の役割を果たすことを支持し、国連のウクライナ担当危機調整官の活動を支持する。

 ★中国赤十字社が早急にウクライナへ緊急人道物資援助を行うとも述べた。ニューヨーク・タイムズなどは「2月上旬、中国政府高官がロシアに対して、北京オリンピックが閉幕するまではウクライナに侵攻しないよう要請していた」と報じている。中国はロシアとの関係を重視しながらウクライナとの交易も盛んで両にらみなのがわかる。中国のご都合主義が見えるが、一体この6つの提案はどこに向けられたものなのか。中国が自ら行動を起こし、ロシアをいさめるのはいつか。(K)※敬称略