路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:被買収議員の処分 金受け取った責任重い

2022-03-10 06:04:55 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説】:被買収議員の処分 金受け取った責任重い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:被買収議員の処分 金受け取った責任重い 

 有権者への裏切り行為を考えれば、むしろ遅すぎるくらいだ。2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、検察当局はきのう、河井克行元法相夫妻から現金を受け取った広島県議や広島市議らに公選法違反(被買収)罪で略式起訴する方針を伝えた。一部の議員に辞職の動きが相次いだ。

 検察当局は当初の捜査で、現金を受け取った100人を不起訴処分にした。しかし、国民から選ばれた審査員による検察審査会が「公職に就いていたにもかかわらず、10万円以上の高額の金員を受領し、直後に返還するなどしておらず、辞職もしていない」として県議や市議ら35人を「起訴相当」と議決。風向きが変わった。

 現金を配った克行元法相は、懲役3年の実刑が確定した。自民党公認で参院議員となった妻の案里氏も有罪が確定し、当選無効となった。2人が悪いとしても、金を受け取った側が一人も刑事責任を問われないのはおかしい。過去の処分と比べても整合性を欠いている。

 検審は、再捜査を求める理由を「金員の受領が重大な違法行為であることを見失わせる恐れがある」とした。市民感覚に照らして、もっともだ。

 今回の事件を、悪質な国会議員がたまたま近しい地方の政治家を巻き込んだ特異な事件だと捉えるべきではない。長年の金権体質が土台にあったからこそ、大規模に広がったのではなかろうか。

 「普通のことだから」「儀礼的な贈呈はよくあった」。起訴相当とされた広島市議5人が2日の記者会見で繰り広げた主張は、普段から現金のやりとりが絶えない政治土壌をあぶり出した。買収資金とは認めず、揚げ句は「みじんの罪悪感もなかった」と言い放った。

 やはり政治家間の現金のやりとりを厳しく制限する策が必要である。政治資金規正法は「陣中見舞い」「当選祝い」などの名目でも寄付行為として認めてきた。だから買収ではないと言い訳ができてしまう。事件に照らせば、「票のとりまとめ」「選挙応援」のためと両者が内心知りながら授受を正当化する根拠にすら見える。

 「政治とカネ」を巡る事件で公職にある者への検察の対応も問われている。検察当局に裁量があるにしても、一つ一つの内容に照らし処分を決めるのが筋だろう。検審の議決は「1万円に満たない金額で起訴されている事案もある。はるかに上回る10万円以上の受領額は高額だ」と指摘している。

 200万円を受け取った議員もいるが、不起訴や略式起訴という結論になるのであれば、何か事情でもあるのかと勘ぐられかねない。

 検審が今回、起訴相当か不起訴相当かを決めた基準の方がよほど分かりやすい。受け取った現金の多寡、その金の返還や寄付の有無や時期を考慮した。事件当時に公職に就いていたか否かや、その後の辞職の有無も判断に入れており、市民感覚に沿っているのでないか。

 国民が納得できる結論をどう導くかが検察に突きつけられた。市民感覚との距離を縮めなければ、「政治とカネ」の問題は繰り返され、有権者の政治不信は募るばかりだ。議員が辞職すれば済む話ではない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月10日  06:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:「新米校長」と震災11年

2022-03-10 06:04:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【天風録】:「新米校長」と震災11年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:「新米校長」と震災11年

 「座布団獅子」を写真で見たことがある。座布団やスリッパ、空き缶でできた獅子舞の頭。大津波に遭った宮城・女川町の人たちが避難先でこしらえる。津波も人の記憶までは奪えなかった

 ▲石巻市の雄勝(おがつ)中生らは和太鼓ならぬ「輪太鼓」と称し、古タイヤをたたいた。荷造りテープを張り、ばちは麺棒。津波にのまれた校舎の前で打ち、赤れんがの屋根に雄勝石が使われている縁から東京駅で鳴らす。自称「新米校長」だった佐藤淳一さんの11年を顧みる手記を読んだ

 ▲佐藤さんは最後は仙台市の新設中学の校長に就く。昨年3月に引くまで、震災を知る県内で最後の現役校長だったという

 ▲仙台では真新しい校舎に命を吹き込むべく布石を打ったが、やがてコロナ禍が襲う。雄勝中では生徒を修学旅行に連れて行く―と心に決め、被災の1年後ドイツでも輪太鼓を披露した。だが、このたびは中止という決断が校長の仕事になってしまう

 ▲雄勝中では77人の生徒全員が助かったものの、東北の学びやにはつらい話が幾つもある。「震災遺構」になった学びやとともに、あの日を知る人たちが語り継いでいく。「教師は最大の教材である」という佐藤さんの言葉の意味を思う。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年03月10日  06:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:盛り土規制法案 監視態勢強め人災防げ

2022-03-10 06:04:45 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説】:盛り土規制法案 監視態勢強め人災防げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:盛り土規制法案 監視態勢強め人災防げ 

 昨年7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害を受け、政府は盛り土規制法案を閣議決定した。来年夏の施行を目指す。新たな盛り土をする場合、土地の用途を問わず網を掛ける。無許可造成や是正命令違反をした法人に最高3億円の罰金を科すなど厳罰化する。悲劇を思えば当然だろう。

 熱海の土石流では災害関連死を含め27人が死亡、1人が行方不明のままだ。建設残土が不適切に盛り土され、記録的大雨を引き金に崩落した「人災」である。国と自治体は連携して、監視の強化に努めなければならない。

 土石流災害は熱海だけの問題ではない。広島県は2014年の広島土砂災害、18年の西日本豪雨に見舞われた。法律ができるから安心ではない。私たち一人一人に身近な問題でもある。

 法案は宅地造成等規制法を抜本的に改正するもので、都道府県、政令市、中核市が盛り土による被害の恐れがあるエリアを「規制区域」に指定し、区域内での造成を許可制とするのが柱だ。用途によって規制の強弱が異なっていたのを一本化する。

 都道府県などは工事中や完了段階で安全性を検査し、問題が見つかれば所有者だけでなく、施工業者や過去の所有者にも是正命令を出せる。

 熱海の災害では、残土によって市への届け出を上回る盛り土がなされていた。排水設備などにも不備があったとみられ、静岡県警が捜査している。

 企業側に加え、法令違反への対応が不十分だった行政の責任も問われている。詳しい経緯は県市の内部調査や市議会の百条委員会の調査を待たねばなるまい。

 一方で、これまで盛り土規制が自治体任せであったことは否めない。条例の罰則には限界があると全国知事会が全国一律の規制強化を求めていた。法改正で、自治体は業務の増加が予想される。技術面、財政面で手厚い支援が必要である。

 既にある盛り土の対策も急務だ。国が全国で実施中の盛り土点検は、崩落すると住宅などを巻き込む恐れがある3万6226カ所がピックアップされ、昨年11月末時点の報告で1375カ所に問題が見つかった。災害防止措置が確認できないケースのほか、無許可・無届けで造成されるなどしていた。

 昨年1年間に起きた土砂災害が都道府県で最多だった広島県では、点検対象が1545カ所に上り、13カ所で問題が判明した。県は現時点で住宅などに危険が及ぶ恐れはないとしている。調査は6月の完了を目指しており、結果を住民と共有してほしい。

 大規模な宅地造成に伴う盛り土は自治体がつくった「大規模盛り土造成地マップ」で確認できる。しかし、今回の点検でも小規模な残土処理の盛り土は実態がつかみ切れないという。住民も自宅周りなどに危うい盛り土があれば、行政に通報する。監視の輪に加わってもらうため、県と市町は通報窓口の一本化を図るべきである。

 国は実態調査に加え、建設残土を巡る法規制を検討しなければならない。残土を排出する建設業者らが悪質な業者に処分を委託しないよう、発生から処分までのプロセスを管理し、抜け道を防ぐ仕組みが不可欠だ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月09日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:もうそんな時代じゃありま川柳

2022-03-10 06:04:40 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【天風録】:もうそんな時代じゃありま川柳

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:もうそんな時代じゃありま川柳

 国連の国際女性デーだったきのう、47都道府県の現在地を示す数字が報じられていた。男女平等の度合いを測るジェンダー・ギャップ指数。広島が首位の教育に加え、行政、経済の3分野で北海道が最下位だった

 ▲予感めいたものでもあったのか、道央の苫小牧市がジェンダーをお題に川柳コンテストを催している。名付けて「もうそんな時代じゃありま川柳」。日々の一こまから今風の「当たり前」を、読み手に問い掛けてくる

 ▲大賞の一句は〈それ普通/誰が決めたの/その普通〉。2文字が、出るくいや個性を封じる「枠」に見えるのだろう。無意識に「男なら」とか「女らしく」と押し付ける先入観を、〈昭和脳〉と詠んだ句もあるという

 ▲親の代から、たたき上げの昭和脳を持つ小欄には、チクチクと思い当たる。その昔「炊事を手伝うよ」と恩着せがましく言ってしまった。飛んできた皮肉はいまだに耳を離れない。「へーえ、子育ても手伝いなんだ」

 ▲世界29カ国で女性の働きやすさを比べた最新のランキングも届いた。日本はワースト2で、下には韓国だけ。都道府県ランキングの順位に、やきもきしている暇などない。もうそんな場合じゃありません。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年03月09日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:原発への攻撃 潜在リスクに目を向けよ

2022-03-10 06:04:35 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説】:原発への攻撃 潜在リスクに目を向けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:原発への攻撃 潜在リスクに目を向けよ 

 常軌を逸した暴挙に強く抗議する。ウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発をロシア軍が砲撃し、占拠した。稼働中の原発への軍事攻撃は前代未聞の事態である。

 ウクライナは原発の依存度が高い。全15基のうち6基が集まる同原発を掌握し、人々の暮らしを盾にして要求をのむよう圧力をかけるのが狙いだろうか。

 幸い原発への被害は周辺施設にとどまり、原子炉や使用済み核燃料の貯蔵施設などの損傷は免れたようだ。放射性物質の漏出も確認されていない。だが一歩間違えば、チェルノブイリ原発事故や福島第1原発事故の二の舞いとなり、国境を越えて惨禍が広がっていた。

 戦時下の原発への攻撃は、ロシアも批准するジュネーブ条約に明確に違反している。既にロシア軍は廃炉作業が続くチェルノブイリも占拠している。加えて6日になって、第2の都市ハリコフで小型原子炉を持つ物理技術研究所も砲撃し、変電設備を全壊させるなど核施設への攻撃をエスカレートさせた。国際原子力機関(IAEA)が発した警告も、無視したままだ。

 残る稼働中の原発がいつ攻撃を受け、危険な事態を招いてもおかしくはない。たとえ原子炉本体は無事であっても、周辺施設の損傷が電源喪失など不測の事態につながり、重大事故を引き起こしかねないのは、福島の事例からも明らかだ。

 ロシア軍が占拠した後の原発の現状は十分に伝えられず、全ての国の原子力施設をガラス張りで監視するIAEAの原則からも逸脱していよう。

 こうした事態が国際社会に波紋を広げるのは、第2次世界大戦以降の原子力の平和利用の前提が大きく揺らぐからだ。

 かつてイスラエルがイラクやシリアで稼働前の原子炉を攻撃したことはあるが、ウクライナのように多くの原発を抱える国が戦闘に巻き込まれたこと自体が初めてだ。戦争の前では、なすすべもない原発のリスクが浮き彫りになった格好だ。

 原発に対するテロ行為については、各国は確かに対策を講じてきた。旅客機を乗っ取り、突入させた2001年の米中枢同時テロが、一つのきっかけだった。日本国内の原発でも3・11の後、原子炉建物から離れた場所などで航空機攻撃を含むテロに対処するための施設の設置が義務付けられている。

 とはいえ度重なる砲撃やミサイル攻撃といった戦時下の軍事攻撃に原発が耐え得るかは、もとより疑わしい。「想定していない」で済ませていいのか。

 日本国内の原発が武力攻撃を受けた被害の予測を、外務省が1984年、極秘に報告書にまとめていたことが、明らかになっている。最悪の場合には大量の放射性物質が漏出して1万8千人が急性被曝(ひばく)で死亡し、86キロ圏が居住不能になる、というシナリオだ。その公表は結局、見送られた。

 潜在的な原発のリスクを知りつつ「あり得ない」と高をくくっていた側面はなかろうか。

 ウクライナの原発を巡る状況がさらに悪化すれば、世界でじわじわ復権してきた原発推進の動きを不安視する声も増してこよう。原子力の平和利用が成り立つとすれば武力による争いがないからこそ―。当たり前のことを頭に入れておきたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月08日  06:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【天風録】:西村京太郎さんからのファクス

2022-03-10 06:04:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【天風録】:西村京太郎さんからのファクス

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:西村京太郎さんからのファクス

 呉と広島市で殺人事件が続けて起きる。おなじみ、警視庁の十津川(とつがわ)警部が捜査に乗り出して…。その名も「呉・広島ダブル殺人事件」は著者お得意のトラベルミステリーだが、原爆と戦争が影を落とし、読後感はそれなりに重い

 ▲2年前の刊行直後、同僚の記者が西村京太郎さんに執筆の経緯を書面で尋ねた。すると原稿用紙15枚にわたり、丁寧な手書きファクスが届く。「私は戦争は知っているが戦闘は知らない。中途半端な世代なんです」と

 ▲14歳で終戦を迎え、むごたらしい戦場の記憶がない。それでも晩年に心境が変わったという。「私の世代が一番の年長者になり、戦争を書いていかなければならないと覚悟を決めました」。くだんの作品がその一つ

 ▲その西村さんの訃報が届いた。91歳。最近もほぼ月1冊ペースで新作が刊行され、累計で600冊を超えたという。小粋なトリックの数々をよくぞ次から次へと思いついたこと。原稿が全て手書きだったことにも驚く

 ▲原爆の知識はあるが実感はない。原爆による「死」が書けない。そう嘆きながらも老作家は、ファクスに「東京の若者が広島で被爆者に出会い…」と新作の構想もしたためていた。読みたかった。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年03月08日  06:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:辞職・失職・法廷闘争も 混迷深まる広島政界

2022-03-10 06:04:25 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:辞職・失職・法廷闘争も 混迷深まる広島政界

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:辞職・失職・法廷闘争も 混迷深まる広島政界 

 2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で河井克行元法相(58)夫妻から現金を受け取り、東京第6検察審査会(検審)で「起訴相当」と議決された広島県内の地方議員たちの「辞職ドミノ」が9日、広がった。公選法違反(被買収)の罪で検察当局から略式起訴の方針を伝えられたのを受け、広島市議3人が辞職願を出し、尾道市議は辞職。かたや法廷闘争を明言する議員もおり、「政治とカネ」を巡る県政界の混迷は続いている。

 

 「検察から略式起訴の通知を受けたら辞めると決めていた。市民におわびしたい」。午前10時、報道陣で騒然とする広島市議会棟で、豊島岩白市議(西区)が沈痛な面持ちで取材に応じた。検察の略式起訴の方針を受け入れ、辞職願を佐々木寿吉議長に提出した。

略式起訴には同意せず、正式な裁判に臨む姿勢を示した広島市議会の三宅市議(左)、伊藤市議(中)、藤田市議=9日、広島市中区(撮影・山下悟史)

略式起訴には同意せず、正式な裁判に臨む姿勢を示した広島市議会の三宅市議(左)、伊藤市議(中)、藤田市議=9日、広島市中区(撮影・山下悟史)

 その約30分後には海徳裕志市議(安佐南区)が辞職願を提出し、「略式起訴の方針が出た以上、職にとどまるのは適切でない」と頭を下げた。正午ごろには今田良治市議(安佐北区)も辞職を明かした。

 この日は22年度当初予算案を審議する予算特別委員会が開かれていた。さなかに委員でもある3人が相次いで辞職を申し出る異常事態。2月に2人が辞職しているが「起訴相当」の現職市議はあと8人いる。「さらに辞職者は増えるのか。これから議会はどうなるのか」。遠巻きに視線を向けた市議の一人は案じた。

 尾道市議会の杉原孝一郎市議もこの日、本会議を途中退席して会派代表を通して辞職願を出し、許可された。自宅で取材に応じ「検察の判断が出た以上、年を取り過ぎたので闘うことをやめる」と話した。

 市議会は政治倫理審査会を設け、出席を求めてきたが最後まで応じなかった。高本訓司議長は「自ら説明せず残念。有権者の政治不信を招いた」と憤った。

 ほかに事実上、議員バッジを外すことを意味する略式起訴に同意した起訴相当の議員も相次いだ。奥原信也県議(呉市)は地元事務所で取材に応じ、広島地検の手続きにサインしたと認めた。司法判断確定までに辞職する余地を残しており「しかるべき時に発表する」と言葉少なだった。

 一方、広島市議会の藤田博之市議(佐伯区)三宅正明市議(安芸区)伊藤昭善市議(安佐北区)は地検に出頭したが、略式起訴に応じなかった。3人は中区で会見し「支援者に理由を説明する責任があり、納得いくまで確認する義務がある」などと正式な裁判で無罪を訴える考えを示した。

 ▽市議補選、安佐北区も

 2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、略式起訴の方針を伝えられた地方議員が9日に相次いで辞職を決め、広島市議会安佐北区では補欠選挙が行われる見通しとなった。既に同市議会安芸区と広島県議会府中市・神石郡は補選が決まっており、今後辞職・失職が続けば来春の統一地方選を待たずに最大で広島市議会の4選挙区と県議会の2選挙区で補選となる。

 略式起訴の方針が9日示されたのはいずれも、東京第6検察審査会の議決で「起訴相当」とされた議員たち。広島市議会ではこの日、安佐北区(定数7)の今田良治氏(75)が佐々木寿吉議長(74)に辞職願を出した。同区では2月に木戸経康氏(66)が辞職しており、欠員2人となる。欠員が定数の6分の1を超えるため、公選法の規定に従い、補選が行われる見通しだ。

 市議会では、2月に沖宗正明氏(70)が辞職した安芸区(定数4)の補選が11日告示、20日投開票である。同区の市議では、起訴相当とされた三宅正明氏(49)がこの日の記者会見で「裁判で事実を主張したい」と説明。略式起訴に応じず辞職も否定し、正式な裁判に臨む姿勢を示した。

 このほか起訴相当の市議が3人いる安佐南区(定数10)、2人いる佐伯区(定数6)も2人以上の辞職・失職で補選となる。

 県議会では、2月に岡崎哲夫氏(66)が辞職した府中市・神石郡(定数1)の補選が18日告示、27日投開票の日程である。起訴相当の県議がいる山県郡(定数1)でも辞職・失職すれば補選の可能性がある。(余村泰樹、永山啓一)

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【連載・「決別 金権政治」】  2022年03月09日  23:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:「起訴相当」広島県議ら34人、広島地検に事件移送 河井夫妻事件

2022-03-10 06:04:15 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:「起訴相当」広島県議ら34人、広島地検に事件移送 河井夫妻事件

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:「起訴相当」広島県議ら34人、広島地検に事件移送 河井夫妻事件 

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、河井克行元法相(58)=実刑確定=らから現金を受け取りながらも不起訴処分となり、東京第6検察審査会(検審)が「起訴相当」と議決した広島県議ら35人について、東京地検が再捜査の結果、うち34人の事件を広島地検に移送したことが6日、分かった。再聴取で現金の違法性を認めた受領者は公選法違反(被買収)罪で略式起訴とし、否定した場合は広島地裁へ起訴する方針とみられる。

広島地検

広島地検

 

 移送されたのは、事務所が「体調不良」とし、開会中の広島市議会定例会を欠席している児玉光禎市議を除く34人。うち29人はいずれも参院選当時は現職で、内訳は県議11人▽広島市議12人▽三原市長、呉市議、尾道市議、廿日市市議、江田島市議、広島県安芸太田町議各1人。残る5人は陣営スタッフらだった。移送は3日付。

 34人の大半は県内に在住しており、事件も県内で起きている。今後、広島の裁判所に対し、罰金刑となる略式起訴や正式な裁判となる起訴をする場合、管轄区域内の検察庁が対応する必要があるため、広島地検に事件を移したとみられる。

 一方、現金授受発覚後に辞職するなどし、検審議決で「不起訴不当」とされた市町議や後援会員ら46人については、東京地検は再捜査の結果、広島地検に事件を移送しなかった。再び不起訴処分とする方向で検討しているもようだ。

 克行氏と妻の案里元参院議員(48)=有罪確定=の確定判決によると、夫妻は19年3~8月に地方議員や後援会員ら100人に各5万~300万円を渡した。東京地検は21年7月、100人の公選法違反を認定した上で、1人(容疑者死亡で不起訴)を除く99人について、受動的な立場だったなどとして不起訴処分(起訴猶予)にした。このため、広島の市民団体などが検審に審査を申し立てた。

 検審の議決は今年1月28日に公表され、現金を渡した河井夫妻だけを処罰し、受領者を全員不起訴にした東京地検の判断を「金員の受領が重大な違法行為であることを見失わせる恐れがある」と批判。10万円以上を受領し、直後の返還や辞職をしていない現職議員ら35人を起訴相当としていた。一方、検察が捜査に乗り出す前に現金を返却した県議や後援会員ら19人については、不起訴を妥当と認める「不起訴相当」とし、捜査は終結した。

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【連載・「決別 金権政治」】  2022年03月06日  22:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2022年03月08日 今日は?】:フランス・パリにシャルル・ド・ゴール国際空港開港

2022-03-10 00:00:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年03月08日 今日は?】:フランス・パリにシャルル・ド・ゴール国際空港開港

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年03月08日 今日は?】:フランス・パリにシャルル・ド・ゴール国際空港開港

 ◆3月8日=今日はどんな日

  東京・上野の大正博覧会の会場に、日本初のエスカレーターが設置され、試験運転(1914)

大正博覧会第一会場正門

 ◆出来事

  ▼フランスの旅行ガイドブック「ギド・ミシュラン」創刊(1900)▼フランス・パリにシャルル・ド・ゴール国際空港開港(1974)

パリ=シャルル・ド・ゴール空港
Aéroport Paris-Charles-de-Gaulle
Charlesdegaulleairportaerial.jpg
Concorde F-BVFF.jpg
IATA: CDG - ICAO: LFPG

 ◆誕生日

  ▼高木ブー(33年=ザ・ドリフターズ)▼桜井和寿(70年=Mr・Children)▼須藤元気(78年=参議院議員)▼山崎裕太(81年=俳優)▼水野裕子(82年=タレント)▼渡部豪太(86年=俳優)▼松井珠理奈(97年=タレント)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2022年03月08日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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