《社説②・01.26》:都議会自民の裏金事件 実態解明は党全体の責任
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.26》:都議会自民の裏金事件 実態解明は党全体の責任
政治資金パーティーを悪用した裏金づくりに地方議員も手を染めていた。自民党全体の問題と受け止め、調査を尽くす必要がある。
東京都議会の自民会派で会計事務を担当していた職員が、政治資金規正法違反で略式起訴された。
2019年と22年に会派が開いたパーティーの収入の一部など計約3500万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとされる。
都議には、1人当たり50枚計100万円分のパーティー券販売が、会派からノルマとして課されていた。それを超えた分の売り上げは、都議の手元に残る仕組みになっていたという。
超過分は会派、都議とも収支報告書に記載せず、裏金化していた。旧安倍派や旧二階派の国会議員らによる裏金事件と同様の構図だ。
都議らの起訴は見送られた。不記載額が、立件の目安とされる3000万円を下回っていたためとみられる。
会派によると、不記載があったのは、元職や元候補者を含め26人に上る。このうち都議会議長は辞任を表明し、会派トップ経験者の6人は、6月の都議選で非公認となる。
一方で、長年続いてきた裏金づくりが始まった経緯は、確認できないと釈明した。都議らも「前例を踏襲した」と弁明した。
政治資金の不透明な流用は、有権者の信頼を裏切る行為だ。会派や都議らには、使途を含めて全容を解明し、説明する責任がある。
石破茂首相は「都議会の問題だと片付けてはならない。党として厳しく受け止める」と述べた。言葉だけに終わらせることがあってはならない。
森山裕幹事長は、22道府県連でパーティー券収入の議員側への還流があったと明らかにした。いずれも収支報告書に適正に記載されているという。ただ、地方組織への聞き取りなど、1週間ほどの調査で十分と言えるだろうか。
派閥の裏金づくりに関しても、国会の政治倫理審査会で関係議員の弁明が続くが、どのようにして始まり、何に使われたのか、謎は残ったままである。
夏には参院選も控える。党の体質が問われていることを自覚し、腐敗の根を断ち切らなければ、国民の政治不信は深まるばかりだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月26日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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