《余録・01.26》:京都で他家を訪問した客が…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.26》:京都で他家を訪問した客が…
京都で他家を訪問した客が「ぶぶ漬け(茶漬け)でも、どうどす?」と聞かれたら「帰ってください」の意味だとする言説がある。京都流の婉曲(えんきょく)な言い回しの例として流布したらしい
▲「京の茶漬け」という落語の演目もある。大阪の商人が京の知人を訪ねるが、帰りがけに知人の妻が型どおりに「茶漬けでも……」と勧める。意味を知りつつ、悪のりしてごちそうになる話だ
▲さてこれは、どんなメッセージか。京都市が、市内のホテルや旅館に泊まる客に課税する「宿泊税」を来年春から引き上げる方針という。宿泊料に応じてこれまで3段階だった税額を5段階に細分化し、1泊1人10万円以上の場合は1人1万円を徴収する
▲外国人観光客でにぎわう京都は交通混雑やごみ投棄など、オーバーツーリズムに頭を痛めている。「1万円」と聞くと驚くが、1泊に10万円も払う客ならば、それでも泊まると踏んだのだろう。一方、宿泊料6000円未満の場合、税額は200円で据え置くという。観光客の抑制よりも、税収アップが主眼のようだ
▲宿泊税の導入は全国で加速している。総務省によると11自治体がすでに実施し、10以上が新設に動いている。どの自治体も外国人、日本人客ともに課税対象としている
▲観光と環境保全を両立させていくための手段ではあろう。公衆トイレの整備やごみ対策の強化など、使い道をできるだけ透明にすることが納得感につながる。納税する宿泊客の理解も置き去りにできぬ、地方の宿泊税ラッシュだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月26日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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