路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・01.04》:脱炭素への道 再エネの挑戦を「最優先」に

2025-01-04 09:30:50 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

《社説①・01.04》:脱炭素への道 再エネの挑戦を「最優先」に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.04》:脱炭素への道 再エネの挑戦を「最優先」に 

 塗って乾かしてつくる。印刷の技術に近いという。次世代型として期待の高まる「ペロブスカイト型」の太陽電池だ。

 フィルムのように薄く、折り曲げることもできる。ビルの壁面や窓、自動車の車体など、従来の太陽光パネルでは難しかった場所での発電に道が広がる。

 積水化学工業が昨年末、量産を始めると発表した。各方面で実用化の動きが加速している。

 開発者の宮坂力・桐蔭横浜大特任教授は著書で、一人の大学院生の提案から始まった試行錯誤を振り返り、こう語る。省エネなども組み合わせれば「エネルギー自給率100%も夢ではない」。

 ■地域での試行錯誤

 小水力、水素、木質バイオマス、そして太陽光。本紙が昨年経済面で展開した連載「脱炭素 信州のフロントライン」は、県内外で再生可能エネルギーの普及に挑む企業人や研究者を追った。

 印象に残るのは、地域それぞれに備わった自然環境や社会経済を土台に、手探りで、でも着実に歩みを進めている姿だ。

 例えば、山に囲まれ水資源の豊かな信州に適地の多い小水力。須坂市での取り組みでは水路を詰まらせる枝葉が問題となり、除去する仕組みを考案した。

 再エネの「本命」とも目される水素の活用は内陸の信州は不利という。既存の供給インフラが沿岸部に多く、輸送が必要になるからだ。ただ製造から利用まで「地産地消」できれば話は別。産官学の試みが飯田市などで進む。

 再エネを巡っては近年、可能性以上に課題が目立ち始めた感もある。最たるものは、山を切り開いて設置の進んだ太陽光パネルが及ぼす影響への懸念だろう。

 だが、そうした困難に当たり始めたからといって、再エネを否定的に捉えるべきではない。むしろ乗り越えるべきハードルが見えてきたと受けとめ、一つ一つ正面から向き合っていきたい。

 解決の鍵は多くの場合、地域にある。ペロブスカイト型のように大手で先行する動きも今後、リサイクルの仕組みをどう整えるかなど、地域での取り組みが焦点となるだろう。その積み重ねが活気にもつながる。

 ■原発回帰でよいのか

 政府はいま、エネルギー基本計画の改定を進めている。将来の電源構成などを示す。だが昨年末に出た計画案は、再エネの拡大に水を差すような内容だった。

 2021年に決めた現行計画が再エネに「最優先で取り組む」と強調しているのに対し、今回はこの文言を削除。その上で原発回帰の方向性を鮮明にした。

 電源構成の目標は、40年度に再エネが4~5割、原子力が2割、火力が3~4割とした。再エネは最大の電源と位置付け、一見、重視したようにも映る。

 だが再エネは、現行の計画でも30年度の目標を36~38%との設定。その10年先を見据えて利用拡大の道筋を描くべき次の計画が、目標をわずかに上積みした程度でよいとは思えない。

 一方の原発。福島第1原発事故後の計画はずっと、教訓を踏まえ「可能な限り依存度を低減する」方針を維持してきた。今回、この文言を削った。原発の建て替えも目指すとした。

 原発の危険性への不安は依然強い。安全対策のコストも膨らんでいる。全電源の2割を原発でカバーするには全国で30基弱を動かす必要があるが、福島事故後、再稼働したのは14基にとどまる。

 政府はいま、原発再稼働の旗を振る。原発の地元に実効性のある避難計画が備わっていないことを忘れてはならない。不安を置き去りにしているのと同じだ。

 ■事故の後を思い出す

 原発の建設には20年はかかる。必要な巨額の資金を集めるのも難しく、政府は電気代に上乗せする仕組みまで検討する構えだ。

 原発は脱炭素に貢献する電源だと強調するが、20年以上もかかっていては急がれる気候変動の抑制に間に合わないだろう。不安を押して進める意義はない。

 今回の計画案はつまり、再エネを頭打ちにするような目標を設けた上で、無理筋の原発を重視する内容と言える。これでは結局、火力をずるずると使い続けることになってしまうのではないか。

 あの福島事故が起き、一人一人が考えたことを改めて思い起こしたい。原発は、ひとたび事故があれば取り返しのつかない事態を招く。そう実感したはず。

 事故翌年、当時の民主党政権は世論の後押しで「30年代に原発ゼロ」を掲げた。その後自民党に政権が交代。事故を忘れていくかのように容認論が広がる。

 エネルギーを確保しながらの脱炭素には再エネに限らず原発が必要だ―。計画案の示すそんな主張についてもっと深く議論し、検証しなければならない。

 もちろん再エネの将来も楽観はできない。だがそこには、確かな手応えがある。次期計画における「最優先」維持を求める。

                    ◆

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 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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