《社説①》:広島でG7サミット 核軍縮の機運高める場に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:広島でG7サミット 核軍縮の機運高める場に
来年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)が、岸田文雄首相の地元・広島市で開かれることになった。ロシアがウクライナに侵攻し、核兵器使用の可能性が現実味を帯びる中、各国首脳が被爆地に集まる意義は大きい。
国際的な安全保障環境は厳しさを増している。核兵器国の間ではここ数年、軍拡を競い合う傾向が強まっている。米露の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効してから、米国は中距離ミサイルの開発を急いでいる。
さらにロシアは核兵器の使用をちらつかせて欧米の軍事介入を防ぎつつ、ウクライナに侵攻する暴挙に出た。
北朝鮮は、核・ミサイル開発を加速させている。
脅威の高まりを受け、日米首脳会談では、米国の「核の傘」を含む拡大抑止の提供が強調された。
一方、中国に対しては、核軍縮や透明性を高める取り組みを求めた。核拡散防止条約(NPT)体制の強化も確認されたが、核兵器禁止条約への言及はなかった。
NPTは、米露英仏中の5カ国に「核兵器国」として保有を認める一方、軍縮交渉を義務づけ、「非核兵器国」への核拡散を禁じている。長年にわたり国際秩序を支える枠組みとして機能してきた。
だが交渉は停滞し、拡散を止められず、NPT体制は破綻寸前だ。再検討会議が8月に開かれるが、成否は見通せない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年05月30日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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