《社説②・12.14》:シリアとガザ イスラエルは攻撃をやめよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.14》:シリアとガザ イスラエルは攻撃をやめよ
明らかな領土の侵犯であり、主権を侵害する武力の行使だ。政権が崩壊したシリアへの侵攻と攻撃を、イスラエルはただちにやめなければならない。
占領下に置くゴラン高原のシリア側に設けられた非武装地帯に軍を展開し、さらにシリア領内へ侵攻して要衝を制圧した。首都ダマスカスをはじめ各地の軍事関連施設への空爆も繰り返している。
シリアの南部に「防衛地帯」を設けるよう、国防相が軍に指示したという。ネタニヤフ首相は、イスラエルの安全を確保するために「必要なことは全てやる」と述べている。混乱に乗じた占領地の拡大につながる恐れがある。
ゴラン高原は、1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した。81年に併合を宣言したが、国連はイスラエル領と認めていない。非武装地帯は74年の停戦協定で設けられ、国連の治安維持部隊が監視にあたっている。
ネタニヤフ氏は、シリアの政権が崩壊したことで、停戦協定は無効になったと宣言したが、一方的な言い分だ。国連は協定違反だとして強く非難している。
暫定政権の下でシリアは国家の再建に向け、一歩を踏み出した。内戦や独裁政権下の苛烈な弾圧がもたらした傷は深く、前途は険しい。武力による干渉は、混乱に拍車をかけ、新たな政権への移行を行き詰まらせかねない。
国際社会はイスラエルに、攻撃の停止と軍の撤退を強く迫る必要がある。国連の安全保障理事会が明確な対応を取るべきだ。
加えて見落とせないのは、シリアでの軍事行動が、ガザ地区への攻撃から目をそらす面を持つことだ。1年2カ月余が過ぎてなお、イスラエルはガザの各地で爆撃や地上作戦を続けている。
食料や支援物資の搬入が妨げられ、ガザの人々は深刻な飢餓にもさらされている。再び迎えた冬。多くがテントでの生活を強いられる住民は、寒さをしのぐことさえ困難な状況にある。
国連総会は今週、即時停戦を求める決議をあらためて採択した。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止するイスラエルの立法を非難する決議も、日本を含む大多数の賛成で、同時に採択している。いずれにも反対したイスラエルと米国の孤立はいっそう明らかだ。
国際社会の総意に背を向けるイスラエルに対し、国連と各国は厳しい措置を取る必要がある。ガザの人々を、破壊と殺りくの中に置き去りにしてはならない。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月14日 09:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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