《余録・12.16》:京都・三条大橋のたもとに…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.16》:京都・三条大橋のたもとに…
京都・三条大橋のたもとに「駅伝の歴史ここに始まる」と記された碑がある。1917年、日本で最初の「東海道駅伝徒歩競走」のスタート地点となった場所だ
▲首都が東京に定められて半世紀となる「奠都(てんと)50周年記念大博覧会」の行事として行われた。旧東海道五十三次を舞台とする23区間、総距離516キロに及ぶ3日間のレースだった
▲東京・上野不忍池の博覧会正面玄関のゴールに飛び込んだ「関東」チームのアンカーは、NHKの大河ドラマ「いだてん」にも登場した金栗四三(かなくり・しそう)。その5年前に日本初のオリンピック選手として、ストックホルム五輪のマラソンに出場したが、無念の途中棄権に終わっていた
▲マラソンの過酷さを味わった金栗は「個人の練習だけではいくら頑張っても限界がある」と感じていた。だが、駅伝なら多くの選手が競い合いながら育つと考え、箱根駅伝の創設を発案した。箱根を予選会にして米大陸横断の駅伝も検討していたというから、熱意のほどが分かる
▲古来、日本には中央と地方を結ぶ幹線道路に「駅馬(えきば)」「伝馬(てんま)」と呼ばれる馬を備えた施設を置き、その間を往来する交通制度があった。冬の風物詩と呼ばれるほどのスポーツに発展した「駅伝」の名称の由来である
▲22日開催の全国高校駅伝では、出場校が従来の男女各47校から58校に増える。少子化の影響で予選の参加校が減りつつある中、都大路を走るチャンスを広げて競技の活性化を図るという。今年も若人がたすきをつなぎ、歴史もまた受け継がれていく。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年12月16日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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