【社説①・12.08】:コンサJ2降格 再建への戦略を明確に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.08】:コンサJ2降格 再建への戦略を明確に
サッカーJ1の北海道コンサドーレ札幌が、9年ぶりにJ2へ降格することが決まった。2018年から指揮を執るペトロビッチ監督は今季で退任する。
今季は開幕当初から苦戦が続いた。攻撃の疲労から終盤に失点する試合が多く第37節を終えて8勝10分けで19敗を喫した。
残念な結果だがうつむいている時間はない。チーム編成から戦術に至るまで今季の戦いを検証し、早期のJ1復帰に向けて再建していかねばならない。
監督は先制しても守りに入るのではなく、次の得点を狙う「超攻撃的サッカー」を標榜(ひょうぼう)した。当初は戦略が功を奏し、18年はクラブ史上最高の4位となるなど結果を出した。
だが今季は昨季までチームをけん引した主力選手が移籍し、新加入の選手も十分機能しなかった。肝心の攻撃の要を欠き、理想にほど遠い試合が続いた。
フロントは5月、監督を今季続投させるという異例の発表をした。チームの結束を図る狙いがあったが巻き返せなかった。
戦力不足は経営事情の影響も大きい。運営会社コンサドーレ(札幌市)は24年1月期の累積赤字が25億円を超えた。資金面から主力選手の移籍を容認せざるを得なかったという。
来季はさらに試練を迎える。J1でのプレーを希望する選手の流出が予想される。人気チームとの対戦が減り、ホームの大和ハウスプレミストドームでの集客に影響する恐れもある。
経営基盤の脆弱(ぜいじゃく)さからチーム編成が思うに任せないという創設以来の構造的問題をどう解消すべきかが問われている。
限られた資金の中で戦略を明確にして、それに沿った選手を確保せねばならない。サポーターに愛され、スポンサーに支持されるチームづくりが必要だ。
Jリーグは昨季からクラブへの配分金のあり方を見直し、成績などに応じた傾斜配分を進めている。世界に通用するビッグクラブを生み出すのが狙いだ。
だが上位が優遇され、一部のクラブの低迷の常態化も懸念される。23年度はJ1~3で7クラブが債務超過だ。格差が広がればリーグの魅力を損なう。
Jリーグはサッカーの水準向上や普及を理念に掲げる。サッカー教室の開催など、地域密着で誰もがスポーツを楽しめる機会をつくり活性化した。全体の底上げがリーグの発展に欠かせぬことを忘れてはならない。
コンサドーレは最終節のきょう、ホームで柏と対戦する。来季を占う重要な一戦だ。サポーターが希望を持てるよう、勝利への執念を見せてほしい。
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月08日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます