路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・11.25】:風化に抗い続ける未解決事件被害者家族 名古屋市西区主婦殺害事件

2024-11-25 08:00:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【大谷昭宏のフラッシュアップ・11.25】:風化に抗い続ける未解決事件被害者家族 名古屋市西区主婦殺害事件

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・11.25】:風化に抗い続ける未解決事件被害者家族 名古屋市西区主婦殺害事件

 名古屋市西区のマンションの一室。玄関のたたきには、変色しているが、靴底についた血の痕。食卓のコップも、壁のカレンダーも事件の日のままだ。

 1999年11月13日白昼、この部屋で高羽奈美子さん(当時32)が刃物で殺害された事件から25年がたった。

 遺体発見時、食卓の子ども用のイスで泣きもせず、ちょこんと座っていた当時2歳1カ月だった航平さんは、27歳になった。

 事件から15年の節目。2014年に、やはりこの主(あるじ)なき部屋で取材した夫の悟さん(68)は当時、このまま部屋を借り続けるか悩んでいたが、「血の痕をはじめ、手がかりは少しでも残しておきたい」と結局、そのまま借り続け、払った家賃は25年間で2188万円にのぼるという。

 部屋をそのままにする一方で、高羽さんは航平さんを育てながら前へ前へと歩む年月だった。「この子が大人になっていく中で懸命に犯人捜しをしている父の姿を見せたかった」。そしてもう1つ。「奈美子に限らず、犯罪被害者の死を決して無駄にしてはならないと思い続ける毎日でした」。 

 「悲しみと同時に生活もどん底に突き落とされた被害者への国の対応は、あまりに冷たい」「きちんと管理できればDNAはもっと捜査に有効に使えるはずだ」

 そうしたことを訴える日々に、うれしい出来事が飛び込んできた。航平さんがこの秋、結婚。お相手は奈美子さんのママ友の娘さん。0歳、1歳児同士で遊んでいた2人が、なんと高校の同じクラスで再会したのだ。

 「奈美子が結んでくれた縁なのに…」。高羽さんの声は未解決事件への重く悔しい思いをにじませていた。 

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「ニュース ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年11月25日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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