【政治部記者座談会】:②安倍政権より圧倒的に取材しやすくても“情報漏れすぎ”な岸田政権
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政治部記者座談会】:②安倍政権より圧倒的に取材しやすくても“情報漏れすぎ”な岸田政権
安倍政権時代の放送法に関する内部文書の流出で大紛糾している今国会。それは岸田文雄・首相にとっても“地雷”となり得るものだった。国外に目を転じても、いまだ実現できていないウクライナ訪問や、国内外から大批判を浴びた林芳正・外相のG20欠席問題など多くの課題を抱える。番記者たちが見た裏側とは──。
“情報漏れすぎ”な岸田政権を記者たちはどう見ている?(時事通信フォト)
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記者B:岸田政権は安倍政権より圧倒的に取材はしやすい。安倍政権時代は自民党幹部も官邸官僚も口が堅く、安倍さんを裏切れないというムードだったが、今は情報が漏れてくる。
司会(編集部):情報が漏れすぎではないか。岸田首相のキーウ極秘訪問計画も、読売のスクープ【※注】で幻となったと言われている。
【※注/読売新聞が1月22日付の朝刊で、岸田首相が2月中にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行なう方向で本格的な検討に入ったと報じた件】
記者B:官邸は「外務省から漏れた」と言い、外務省は「行かせたくない官邸のリーク」と、責任のなすりあいをしている。
記者C:読売が最初ではないんです。そもそも岸田総理はこの間ずっとキーウに行きたいと言っていて、昨年末に一度計画が立てられたが、この時は民放が報じて、岸田総理が「なぜ漏れたんだ」と怒った。次は国会が始まる前の今年1月の欧米歴訪のタイミング。
しかし、総理がバイデン大統領との首脳会談を優先させたから日程が取れなかった。その次が、読売が報じた今年2月22~24日の日程です。総理はロシアのウクライナ侵攻1周年(2月24日)までに絶対行きたいと考えていて、外務省、官邸がこの日程で調整していたことは官邸の記者は誰でも知っていましたが、読売が書いてポシャりました。
記者B:官邸詰めの若い記者が皆知ってる極秘日程なんて、政権の情報管理の杜撰さを象徴してる。
記者D:総理側近は「ほら(情報が)出るじゃん。だから日本の総理が行くのは無理なんだよ」と行けない口実にしてました。
記者C:外務省も似たようなものです。バイデン大統領がキーウを極秘訪問した時、外務省の幹部は「あそこまで機密扱いでやりきったのはすごい」と感動していました。感動している場合じゃないだろうと思いましたね。
安倍晋三・元首相(時事通信フォト)
記者A:イタリアのメローニ首相がキーウを訪問した時は事前にメディアに報じられていた。事前に情報が漏れるから行けないというのは言い訳だろう。むしろ、日本のほうがメディアと組んで訪問を実現させるのは容易だと思う。報道解禁日を指定して事前の報道はしないとの報道協定を結び、新聞テレビの全社の記者を連れて行く。国会への事前報告も、野党は首相がウクライナに行くなら事後報告でいいと言っている。結局は岸田さんの周囲がビビっているだけ。
記者D:でも総理は5月のサミット前に何としても行くつもりのようです。
記者B:岸田さんが最も恐れているのは習近平に先にキーウを訪問されること。中国は一応、和平案なるものを提案しているし、ウクライナのゼレンスキー大統領も習主席と会いたいと言っている。先を越されたら面目丸つぶれになる。
※週刊ポスト2023年3月24日号
元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月10日 06:58:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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