【社説・11.09】:古謝市長書類送検 市政混乱の自覚が希薄だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.09】:古謝市長書類送検 市政混乱の自覚が希薄だ
市民の負託を受けた首長としてふさわしい行動とは何か厳しく問われる事態だ。しかし、その認識が欠けているのではないか。
古謝景春南城市長からセクハラ行為を受けたとして元専属運転手の女性が県警に被害を申告していた問題で、県警は5日、古謝市長を強制わいせつ容疑で書類送検した。県警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
現職市長の強制わいせつ容疑による書類送検は異例である。仮に起訴された場合、古謝市長は法廷で無実を訴えて争う構えだ。それでも市政を混乱させた責任を免れるものではない。
ところが古謝市長はその自覚が希薄だと言わざるを得ない。昨年12月にセクハラ疑惑が発覚して以来、初めてとなる記者会見で古謝市長がみせた態度にも、そのことが表れている。
会見は「公務のため」という理由で、当初から時間を短く区切った。
古謝市長は「市民の皆さんに大変なご心配をかけて深くおわびする」と述べた上で、「これから始まる検察の捜査にも全面協力し、無実を証明する」と自身の立場を表明した。本紙記者の質問に対しては「あの人には答えません」と回答を拒んだまま、会見を6分間で打ち切った。
古謝市長は自身の書類送検が市民に与えた衝撃を軽視していないか。これは会見の場だけにとどまる問題ではない。現職市長の書類送検という重大な事態を受け、疑惑の真相を知りたいという南城市民の「知る権利」に応えるべきではないのか。なぜ、このような会見になったのか理解に苦しむ。市民の疑念は深まるばかりだ。
時間をかけて市民に説明することが古謝市長が取るべき行動であり、そのような会見の場にする必要があった。それが果たされないままでは、市民は古謝市政に見切りを付けるであろう。古謝市長は今からでも会見をやり直すべきである。
書類送検を機に、古謝市政を取り巻く環境は一層厳しくなった。南城市議会の中立・野党会派は「市政の混乱を招いた」として、古謝市長に辞職を要求した。与党議員も事態を深刻に受け止めている。起訴された場合、与党会派も辞職要求を含む厳しい姿勢で古謝市長に対峙(たいじ)する可能性が出てきた。
6日夜に開かれた市議会と市民の意見交換会でも市当局や議会の対応に疑問を呈する声が上がった。古謝市長のセクハラ疑惑に対し、市民もいらだちを募らせている。この問題で古謝市政がやってきたことは事実の矮小(わいしょう)化であり、問題の先送りであった。そのことが事態をここまで悪化させたのである。
古謝市長はこのような態度を続けてはならない。市政に対する疑念や不信を真摯(しんし)に受け止め、市民と正面から向き合うべきである。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月09日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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