「総選挙必勝 志位委員長の訴え」が、今日の「赤旗」に掲載されました。マスコミの世論調査や、この間の選挙戦を受けて、企画されたのだと思います。しかし、これを読んで「全党決起、全後援会決起の燃えるような状況をつくり」だすことができるかどうか、疑問に思いました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-08/2012120804_01_0.html
一つには、政見放送を見て、有権者の心を捉えることができるだろうかということがあります。出演者と志位委員長の対話が芝居かかっていて、しかも力がありません。橋下氏の演説の方が、有権者を惹きつけるような気がします。やはり有権者の溜飲を下げるような迫力と語りが必要です。その点、ラジオに出ている市田書記局長の「語り」は説得力があるように思いました。
二つ、メディアをとおして日々流されている争点づらし、争点隠しと日本共産党はずしにどう対応していくか、噛み合っていないように思います。
いまメディアで 「政権の枠組み」報道 真の対決軸を覆い隠す 民意を自民型政治の枠内に 2012年12月7日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-07/2012120704_01_1.html
4日の総選挙の公示を前後して、全国紙やNHKなどの巨大メディアがそろって、今回の選挙の焦点は「政権の枠組み」だと打ち出しています。 「政権枠組み焦点」(「朝日」4日付)、「政権枠組み焦点に」(「毎日」5日付)など、各紙ともほぼ同じ見出しを掲げ、民主党政権の継続か自公の政権復帰かが選挙の最大の焦点としています。そのうえで、「第三極の伸長カギ」(「朝日」4日付)、「第三極勢力の動向も焦点」(「毎日」4日付)と同じ構図を描きます。(引用ここまで)
4日の各紙を紹介したのが、7日の「赤旗」です。遅すぎます!また、6日の各紙の世論調査結果に対応して、「選挙結果をきめるのはメディアではなく自らの奮闘 世論調査にまどわされることなく総決起を」との6日付けの「総選挙闘争本部」の訴えが出されたのが、7日の「赤旗」です。インターネットには6日には掲載されていません。
刻一刻を争う選挙戦で、選挙事務所や候補者、支持者が情勢に機敏に反応していくためには、FAXなどもあるのかもしれませんが、情報伝達手段としては、どうしょうか?橋下氏がツィッターを駆使して全国に主張をたれ流し、それをマスコミが報道する、というサイクルにどう打ち勝っていくか、まさに試されているような気がします。
さらに、争点隠しに対して、各党に公開質問状を出すとか、各紙の各テレビの報道に対して批判と提案をする、政権枠組み論に対しては、向こう4年間の限定的暫定政権構想を各党や個人に呼びかけるとか、その意味で山本太郎氏の立候補にどう対応するのか、などなど、日々刻々変わる情勢に機敏に対応する戦術というか、共産党側からの争点化が弱いように思います。
「メディアの妨害に惑わされず、自力で躍進への道をひらこう」(志位委員長)は、格好良いかもしれませんが、草の根を持たぬ石原・橋下「日本維新の会」がメディアを使って躍起になって、マスコミや有権者を扇動していますが、それらの事実をただ批判的に眺めて、或いは批判しているだけではなく反面教師として捉えるならば、独自の風を吹かすためにも、メディアの振りまく偽りの争点、政見の枠組み論を逆手にとった「メディア」戦術と戦略が必要ではないでしょうか?
しかし、「赤旗」を見ている限り、従来型の選挙戦の踏襲的対応で時間が推移しているように思います。こういう状態は、回ってくる候補者の演説や宣伝カーのスポット、テレビに出てくる候補者にも反映しています。
例えば政党の値打ちを語る際に、以下の「主張」のなかの「綱領」「草の根」と言う言葉を使っている候補者もいます。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-04/2012120401_05_1.html
「しっかりした綱領と、不屈の歴史を持つ日本共産党は、逆流に立ち向かう力を持っています」「国民の「草の根」の力で支えられた日本共産党こそ、国民の利益が守りぬける党です」
こうした言葉が有権者にとってどれだけの関心事か、疑問です。その点で、
「紋切り型でなく、自分の言葉で、説得力をもって語る」「候補者をはじめ、宣伝戦の先頭に立つ同志は、党の政策や主張を、自分の言葉で、自由闊達に語ってほしい。メモに頼るのでなくて、自分の言葉で語ってこそ、その人の確信が聴衆に伝わっていき、党の主張や政策への信頼がわいてきます。比例代表はもちろん、小選挙区も文字通り1票を争う選挙です。とくに候補者のみなさんには、日々、その点での努力をさらに強めることを、訴えるものであります」(引用ここまで)
というのは当然ですが、こうした視点が、ここで語られるということは、できていない現状があるのでしょう!。
こうした事実を克服していくためにも、「草の根」の活動が、日々の活動の中で発揮しているかどうか、それが試されているのだと思います。共産党が国民という大地の中に、毛細血管のような草の「根」を縦横無尽にはっているかどうか、大地である国民から栄養をいただいているかどうか、だと思います。
そのためには、各地の共産党の活動がどれくらい地域の住民の要求実現に貢献しているか、です。「暮らしに役たつ共産党」となるかどうかです。「提案し、行動する共産党」は「反対ばかりの共産党」に対するアンチテーゼのようですが、どれだけ役に立っているか、その実績を大いに語れるかどうかでしょう。
その点、今度の選挙政策には、9人でもどれだけの国民要求を実現してきたのか、その実績がありませんでした。9人を倍加すればっもっと要求が実現できると展望を語ることが大切だと思いますが、どうだったでしょうか?
メディア戦略については、以下の視点が活かされていないような気がします。
ニ、マスメディアのあり方が根本から問われている
http://www.jcp.or.jp/web_jcp/2010/01/01-25th-ketugi.html
民主党政権の直接の問題ではないが、マスメディアのあり方について、問題点を率直に提起したい。この十数年来続いている財界主導の「二大政党づくり」の動きのなかで、マスメディアの大勢は、いっかんしてこの動きを礼賛・推進する異常な役割を果たしてきた。その根本にはどういう仕組みが働いているのか。
「21世紀臨調」という財界人、研究者、報道関係者、一部の知事・市町村長などからなる「運動体」がある。この運動は、その前身にあたる「民間政治臨調」(1992年発足)の時代に、小選挙区制導入に重大な役割を果たし、「21世紀臨調」(1999年発足)に衣替えして以降は、「国のあり方の改革と未完の政治改革とを『車の両輪』と位置づけて活動を進める」、国家改造の「運動体」であることを公然と宣言して活動をおこなってきた。小選挙区制の推進、「政権選択選挙」の推進、「首相を中心とする内閣主導体制」の推進――これらがこの「運動体」がとりくんできたことである。
「21世紀臨調」が発行している「物語で読む21世紀臨調」は、2002年10月に経済同友会が発表した「提言」について、「マニフェストを作成することで政党政治のサイクルを立て直すことを経済界としては初めて明確な形で提言した」ものと高く評価している。強権的国家づくりという点で、両者のめざす方向は同じである。この間、民主党がすすめている「国会改革」にさいしても、「21世紀臨調」の「学者有志」らによる「提言」が、民主党に提示されるなど、この動きのブレーンとしての役割を果たしている。
重大なことは、「21世紀臨調」の中核をなす155人の運営委員の中に、73人にのぼるマスメディア関係者が参加していることである(2009年11月現在)。「物語で読む21世紀臨調」によると、「21世紀臨調」は「何よりも改革実現のための運動体」であり、「(数々の提言を)公表するにとどまらず、マスメディアを通じて日常的な世論形成を行い.....改革を具体化し、実現していくことに最大の力点が置かれた」と、マスメディアを、自分たちに都合のよい世論を形成する手段として利用することを、あからさまに述べている。こうして「二大政党づくり」の大キャンペーンをすすめる仕組みがつくられているのである。(引用ここまで)
マスコミはマスメディアを使って、有権者・国民に、日米軍事同盟深化派・大企業優先が正当であることを強調しながら、廃棄派・大企業に「応能負担」派を孤立させ、深化派・擁護派を温存させるための資料として、ドグマを大量に流していることは周知の事実です。北朝鮮の「ミサイル」報道、中国の「尖閣」徘徊などは、まさに共産党を孤立させるための絶好のチャンスです。であるならば、この事実をどうやって逆転させていくか、です。共産党の外交力は政府政権をとった場合、使えるぞと国民に判断してもらう、そうした取り組みが必要でしょう。
そうした「したたかさ」が、原発ゼロでも、消費税でも、TPPでも、米軍基地でも、すべてにわたって求められているように思います。政党を診る国民の眼は、この間の劣化した政党支持のなかで、共産党を含めて厳しい眼をもっていると思います。共産党を無視しながら、共産党も一緒くたに報道しているからです。そこを見抜いた活動が弱ければ、世論調査の結果どおりになるでしょう。