今日の赤旗の「政治考」「新たな政党状況 高支持率の裏の“ねじれ”自民党」を読み、この分析は遅すぎたなと思いました。
何故か。その理由は、以下の記事をご覧ください。
消費税増税偽りの世論調査で既成事実化するマスコミの犯罪的役割!偽りの世論と負担の乖離が矛盾を激化!(2013-10-03 11:33:48)
増税に大義なし!偽善世論調査で判明!首相の大ウソつきを不問にする安倍マスコミ応援団の正体第二弾!(2013-10-07 21:16:49)
この安倍政権の高支持率と国民との「ねじれ」は、実は、もっと以前に起こっていた現象だったからです。このことは赤旗も一定程度記事にしてきました。次々に繰り出されるアベノミクス成長戦略の「矢」が、的を射抜くどころか、的外れの矢であることの事実でした。だからこそ、安倍首相は、民意を尊重しているかのようなフリをしてシナリオを書き演出し、マスコミを抱き込んで、増税決定を実行したのです。
しかし、実体経済の土台である国民生活の向上を無視した消費税増税決定が失敗しても、その責任を回避する装置は、安倍首相の増税決定の演説にも明らかでした。以下ご覧ください。以下のアベノミクス成長戦略サイクルの歴史的事実を認めていないというトリックです。しかし、赤旗は、そのような視点にたって論陣を張っていません。
平成25年10月1日安倍内閣総理大臣記者会見http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1001kaiken.html
…今、多くの個人は法人で仕事をして、収入を得ているわけでありまして、会社で働き、給料を得て、暮らしを立てています。企業の収益が伸びていけば、雇用が増えていきますし、さらに賃金が増えていけば、家計も潤っていくわけであります。しかし、長いデフレの間に、企業は投資や従業員への還元を行わずに、ずっとお金を貯め込んできたという状況が続きました。だからこそ、デフレからの脱却であります…大胆な投資減税や復興特別法人税の1年前倒しでの廃止についての検討は、企業収益の向上が賃金上昇、雇用拡大につながり、消費を押し上げることを通じてさらなる企業収益につながって好循環を実現していくためのものでありまして…企業の収益が増加をしていく(引用ここまで)
この安倍首相の演説・記者会見などの演出は誰が仕組んでいるか、今後検討していかなければならないことですが、赤旗は、ここまでは未だ分析していません。しかも、アベノミクス成長戦略と共産党の政策の最大の矛盾である財界・多国籍企業と日米軍事同盟深化派・大東亜戦争正当化派・日本国憲法改悪派が垂れ流す大ウソと、それを信じる国民との切り結びに楔を打ち込む政策は成功していません。そのことは、現代日本の「上部構造」へのたたかいをどのように挑むか、具体的ではありません。以下の記事をご覧ください。
「古典教室」第1巻を語る/マルクスを読み いまに生かす/社会変革決める「上部構造」の闘争2013年10月11日(金)
愛国者の邪論の問題意識は、赤旗が、アベノミクス成長戦略の断行の一環としての消費税増税が、民意と「ねじれ」ていることを実証し、「(民主党が)対決軸を出せない中でも、自民党と内閣の支持率は早晩崩れてくる。そのときは御党(共産党)の出番だ」というのであれば、政権構想を国民に提案するのが国民に対する責任ではないのか、ということです。このことは、昨年の総選挙以来、愛国者の邪論が強調してきたことです。以下ご覧ください。
原発ゼロを表明した小泉元首相をもてはやし、共産党を黙殺するマスコミ、政権構想を発表しない共産党!(2013-10-06 12:07:56)
赤旗は新聞・テレビの垂れ流す大ウソ・スリカエにかみ合う論戦を国民の前に見せ政権を追い込んでいるか!(2013-10-05 23:40:26)
反国民的安倍自公政権の交代をかちとる向こう4年間の緊急暫定国民政権構想提唱で日本中に議論と運動を!(2013-09-22 23:37:05)
政権獲得より自力更生をめざす共産党は、ちっとも怖くないし、国民の期待を裏切ることになりませんか!(2013-09-22 23:32:33)
安倍自公政権容認の朝日の編集委員に「一点共闘」論を褒められてしまった共産党!どうします?(2013-09-22 23:29:36)
では赤旗の記事をご覧ください。
赤旗11日付 2面 政治考 新たな政党状況 高支持率の裏の“ねじれ”自民党(図は省略)
「アペノミクスの成果、都議選と参院選の『圧勝』と政権基盤の安定、共産党以外の民主党はじめ野党勢力の停滞、オリンピック招致の成功などで、いま首相はオールマイティー(万能)感にあふれている」-。メディア関係者は安倍首相の高揚ぶりをこう評します。
確かに、消費税増税と抱き合わせで大企業減税、しかもあえて復興特別法人税の1年前倒し廃止に踏み込み、集団的自衛権行使のための解釈改憲への度重なる言及や秘密保護法案の推進姿勢を見ればこの指摘もうなずけます。アメリカに行けば「私のことを右翼軍国主義者と呼びたければどうぞ」と挑発的発言をしました。
しかし、自民党議員の一人は「調子がいいといえるのか?」と自問し、「消費税増税、福島原発事故現場の汚染水問題、TPP(環太平洋連携協定)の公約違反-。いずれも深刻だ」と述べます。
内部から危機感
同党関係者からは、「原発事故の対応がまったくできていないのに、集団的自衛権といっても順番が違うと言われるだろう。企業にとって長期の負担となる賃上げや設備投資は、景気の先行きが不透明な中で進む保障は見えない。増税先行による景気の腰折れが非常に心配だ」という危機意識が出されます。
世論調査の中身を見ても、決して安倍内閣礼賛一色ではありません。
8%への消費税増税に対しては評価・賛成が上回るものの、評価しない・反対が措抗(きっこう)するほどの数値を示しています。
安倍首相が増税決断の記者会見(1日)で強調した、法人税減税によって賃上げの動機とするという主張に対しても、期待できないという声が圧倒的。復興特別法人税の前倒し廃止は総スカンの状態です。
福島原発事故現場における汚染水問題では、ほとんどの国民が首相の「コントロールされている」という発言を信じていません。憲法解釈変更による集団的自衛権の行使にも反対の声が多数です。
「ねじれ解消」を叫んで参院選乗り切りを図ったものの、国民世論との″ねじれ″は激化しつつあります。
「共産党の出番」
ところが、民主党議員の一人は、「消費税もTPPも、原発再稼働も、集団的自衛権にも党としてはまとまって反対といえない。野党としての存在感はますます弱い。各論で批判が出ても(安倍)内閣支持率が高いのはその反映でもある」とまったく元気がありません。
別の関係者は、「(民主党が)対決軸を出せない中でも、自民党と内閣の支持率は早晩崩れてくる。そのときは御党(共産党)の出番だ」と述べます。
◇
高支持率を背景に暴走を加速する安倍内閣-。「自民1強」といわれる政治の深層と、新たな政党対決の構図をシリーズで考えます。(引用ここまで)
しかし、現在の共産党は、「自共対決」、「共産党出番」という状況の中にあっても、政権構想を提案するような視点には立っていません。これでは国民の期待に応えることはできません。失望感を抱かせるだけです。これは以下の記事を読んでも判ります。
読売テレビ 異例の共産党特集/政策めぐり激論 2013年10月7日(月)
消費税増税、集団的自衛権、安保・外交政策/BS朝日番組 志位委員長 大いに語る2013年10月6日(日)
第8回中央委員会総会 2013年09月18日
日本共産党創立91周年記念講演会/“第3の躍進”を本格的な流れに/志位委員長の講演 ... 2013年8月13日
出演者も自共対決注目/共産党躍進の理由 穀田氏語る/テレビ番組 2013年7月29日
得票伸びも“自共対決”/政権の批判票受け皿に - 日本共産党中央委員会 2013年7月23日
3回目の「自共対決」/対立軸、混じり気なく - 日本共産党中央委員会 2013年7月15日
自民党と真に対決するのであれば、自民党に替わり得る政権構想を明らかにしなければならないことは、誰が見ても明らかなことです。民主党の海江田代表は、以下のようなことを言っているのです。この姿勢、「根性」をこそ、共産党は学ぶべきではないでしょうか。
「民主は、再び政権を奪取する政党だ」民主・海江田代表http://www.asahi.com/politics/update/1006/TKY201310060038.htm
「消費税増税、集団的自衛権、安保・外交政策/BS朝日番組 志位委員長 大いに語る2013年10月6日(日)」の最後の部分を読めば、共産党は、国民の実態と切実な要求、民主党に期待して政権交代を果たさせた国民の要求と期待が裏切られ、今度は共産党に、少しだけど、期待が向いてきている状況について、極めて無頓着であることが判ります。昔風に言えば、右翼日和見主義と言えます。以下ご覧ください。
政権への道をどう開くか――大企業の問題、統一戦線の問題など
最後の話題は、共産党が政権につくかどうか。
田原 それでは最後に、共産党は、当然政権を狙うんでしょう。
志位 もちろんです。
田原 自民党と一番の違いはどこ。
志位 自民党は、アメリカと財界に顔を向けた政治しかしていません。私たちは国民の声にもとづいた政治をやります。
田原 そういうけど、企業を成長させることは生活者の論理なんですよ。大企業が悪だなんていったら…。
志位 大企業が悪だなんて言っていません。大企業に、その力に応じた社会的責任を果たしてもらうと(言っています)。
田原 そうだよ。もっと大企業が社会的責任をちゃんととれと。
志位 そういうことです。ちゃんと税金を払いなさい。ちゃんと雇用の責任を持ちなさい。ちゃんと中小企業に責任を持ちなさい。地域経済に責任を持ちなさい。環境に責任を持ちなさいと言っています。
田原 そういうことをだんだん言ってくれれば、ああ、政権政党もいけるなと思う。
星 共産党はあるテーマごとに共闘みたいなことを考えようといっているんですよね。脱原発や雇用の問題だとか、そのへんをこれからどうやって進めていくかというのが一つのポイントだと思いますけれど。
志位 私たちが政権につくことを考えたら、1党でとれるとは思っていませんから、やはり連立政権、統一戦線のことを考えなければいけません。では、統一戦線をどこからやるのかということを考えた場合、いま一番現実的なのは、一致する課題で、「一点共闘」と呼んでいるのですが、たとえば原発ゼロ、あるいは集団的自衛権反対、TPP阻止、消費税増税反対とか(で共闘することです)。
村上 ずいぶん前ですが、共産党は「確かな野党が必要です」というキャッチフレーズがありましたが、有権者からすると確かな与党でいただきたいのですが。
志位 「確かな野党」のスローガンはいい面もあったんですが、“与党にならないのか”という意見もずいぶんありまして、いまは言っていません。(笑い)
村上 与党を視野にということですか。
志位 しっかりした責任ある与党になることを目指しています。(引用ここまで)
更にいえば、以下のような記事に見られるような認識で、国家や国民の要求を捉えているのです。これでは、政権を獲得して、国民に責任を果たしていくことは、極めて難しいと思います。
「古典教室」第1巻を語る/マルクスを読み いまに生かす/社会変革決める「上部構造」の闘争2013年10月11日(金)
アベノミクスに庶民の目厳しく 政府景気調査/メディアが騒いでいるだけ/小売業・消費者に恩恵ない2013年10月12日(土)
このことは、共産党自身の組織の現状を見ればいっそう明らかになります。相当深刻です。
つづく