昨日、中国の天安門の車炎上事件について、日本のマスコミのテロ行為容認のスタンスを批判する記事を書きました。このこと正当性が、いっそう明らかになってきたように思います。
同時に、アメリカの盗聴問題を報道する日本のマスコミと安倍自公政権のスタンスをみていると、集団的自衛権行使論や「特定」「秘密」「保護」法のデタラメさ・スリカエがいっそう浮きぼりになります。このアメリカ政府容認のスタンスに大渇を入れなければならないと思います。こんな内政干渉を許すことができるか、国民的討論が求められています。
以下、愛国者の邪論の考えをまとめてみました。
1.アメリカ政府の盗聴の事実がハッキリしたのに、日本政府は、第三者的というか、当事者意識はまるでありません。菅官房長官のトンチンカン発言というか、そのような発言を追及しないマスコミの甘さは酷いもんです。
2.問題はアメリカの盗聴に「しっかり対応している」かどうかの問題ではなく、盗聴行為に対する安倍政権の考えです。「しっかり対応している」ということは「盗聴行為があったか、しっかり対応している」ということを言っているのであって、盗聴行為の存在を認めているのではないでしょうか。そのような国家主権侵害にあたって抗議もしないのです。
3.しかも現在、アメリカ版NSC設置法と「特定」「秘密」「保護」法案が問題になっていますが、中国や北朝鮮・テロへの「脅威」に対して、米国と「秘密」を「共有化」し、国民に対しては、秘密の公開を拒否しながら、その米国が、日本政府の、日本国の首相を盗聴し、その行為を日本政府が容認しているのです。日本のマスコミも、この問題については、批判的見解を述べてはいません。むしろ盗聴行為を容認し、オバマ大統領と米政権を励ましているのです。
4.これらの行為に共通するのは、国民不在であることです。日本の国家主権に対する侵害行為そのものは、国民主権の否定と言えます。しかも、こうした行為に対して抗議もしないのですから、国民主権の否定を認めていることになります。
5.靖国神社への閣僚の参拝などに対する中国や韓国の批判を、閣僚やマスコミは、内政干渉と応じていますが、この行為そのものは侵略戦争正当化論であることは明瞭ですが、この米国の盗聴については、内政干渉とは言わないのです。ここに日米軍事同盟容認論のデタラメさ、大ウソ、トリックが浮き彫りになってきます。
6.しかも安倍首相の集団的自衛権行使論の最大の根拠である同盟国、米国が攻撃されたら、日本が、それを支援する権利を行使すべきとする論拠である、その同盟国が、日本の国家主権を侵害しているのです。どうするのでしょうか。集団的行使論の根拠そのものがデタラメであることが明白になったのではないでしょうか。
以下、その報道を一覧しておきます。ご覧ください。
官房長官 情報保全「対策は講じている」 10月29日 11時48分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131029/k10015635691000.html
菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、アメリカの情報機関が世界の指導者の電話などを傍受していたとされる問題に関連して、「安倍内閣ができた段階から、しっかり対応している」と述べ、政府の情報保全に問題はないという考えを重ねて示しました。この中で菅官房長官は、アメリカの情報機関、NSA=国家安全保障局が、世界の指導者の電話などを傍受していたとされる問題に関連して、「政府としては、常に情報保全のための対応策を取ってきている。安倍内閣ができた段階からしっかり対応しており、常日頃から対策は講じている」と述べ、政府の情報保全に問題はないという考えを重ねて示しました。また菅官房長官は、記者団が「安倍総理大臣の携帯電話は問題ないという認識に変わりはないか」と質問したのに対し、「全く変わっていない」と述べました。
産經 米盗聴問題/丁寧な説明で信頼回復を 2013/10/30 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../world/news/131030/amr13103003270000-n1.htm
米国の通信傍受機関、国家安全保障局(NSA)が、ドイツのメルケル首相の通話など欧州を舞台に盗聴活動をしていた疑惑が表面化し、ドイツを中心に欧州の対米不信が強まっている。 通信傍受をはじめ諜報活動は、どの国も大なり小なり行っており、互いに言い分があろう。しかし、その問題で世界の安定作用を果たす大西洋同盟の結束が乱れることは避けなければならない。 米国はドイツなどへの丁寧な事情説明と傍受方法の改善などで、ドイツは冷静な対応で、ともに亀裂の修復に努めてほしい。 携帯電話を盗聴されていたとされるメルケル首相はオバマ米大統領に電話して抗議した。「重大な信義違反」と反発している。フランスのオランド大統領も国内通話の盗聴疑惑で、オバマ氏を「プライバシーの侵害」と非難した。 欧州の中でもドイツがいきり立つ裏に、同国の特殊性がある。ナチス・ドイツ、そして戦後も東独は情報監視体制下にあった。メルケル氏はその東独育ちであり、傍受疑惑への怒りは理解できる。半面、傍受されたとすれば、防諜に不備があった面も否めない。 米国は英国を中心に、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英連邦諸国との間で、機密情報を交換すると同時に、相互に盗聴しないという関係を結ぶ。ドイツはかねて同様の関係の構築を模索しており、盗聴疑惑を機に米国に働きかけるとの見方もある。 ドイツは、米国率いる北大西洋条約機構(NATO)の主要加盟国であり、イランの核開発疑惑をめぐっても国連安保理5大国とともに交渉に当たっている。 米欧のきしみはイラン問題はもちろん、国際テロ対策などにも支障を与えかねず、米指導力に対抗しようとする中国やロシアを利するだけではないのか。 米政府は盗聴の事実を認めていないが、2001年米中枢同時テロ後に傍受活動が肥大化し、入手困難だったデータが情報技術革新で獲得しやすくなったことが、今回の問題の背景にありそうだ。
テロ対策の強化は国家として当然だが、同盟国指導者への盗聴など行き過ぎがあったなら、改めるべきであり、実際、米国は年内をめどに諜報活動に制限を設ける方向で見直しを進めるという。 それによる相互信頼回復こそが米欧同盟の盟主の責任である。
毎日 社説:視点 米国の盗聴活動=論説委員・布施広 2013年10月28日 02時30分http://mainichi.jp/opinion/news/20131028k0000m070101000c.html
ドイツのメルケル首相が「信頼を裏切る行為」と怒ったのは当然だ。首相から抗議の電話を受けたオバマ米大統領はこう答えたという。「(あなたの)通話は傍受していないし、今後も傍受しません」。ええ以前はやってましたよという響きがある、苦しい弁明である。
米国による一連の盗聴疑惑に続いて米情報機関がメルケル首相の携帯電話を盗聴していた疑いが浮上した。24、25の両日開かれた欧州連合(EU)首脳会議でも問題になったが、EUは結局、盟友の米国に厳しい態度は打ち出さなかった。 だが、「もうしない」という米大統領の言葉をうのみにして対策を怠れば、今度は別の国、たとえばロシアや中国による盗聴に直面しかねない。インターネットによる情報集約化が進む一方、他国のコンピューターに侵入して安全保障を含めた情報を混乱させるサイバー攻撃の手口も高度化しているからだ。 それに情報収集をめぐる米欧の対立は初めてではない。2001年、欧州議会は米国主導の国際組織「エシュロン」が電話やファクスなどを傍受し、人権やプライバシーを侵害したとの報告書をまとめている。情報収集をめぐる暗闘は今後も世界規模で激しくなる一方だろう。 それが現実である。
メルケル首相が言うように、友人(同盟国)同士でスパイ行為はしないという善意の了解も大切だが、疑心暗鬼を招かぬよう約束違反を検証する仕組みも必要ではないか。軍縮・軍備管理と同様に、情報収集でも「検証」の必要性が増した。と同時に、特に同盟国以外からの盗聴やサイバー攻撃を無力化しないと、国民の利益を守れない時代である。
米中央情報局(CIA)の元職員で米国のお尋ね者になっているスノーデン容疑者が暴露した情報収集活動は、まさに氷山の一角だ。米国が世界の指導者35人の通話を盗聴していたとの報道もあり、波紋はなお広がる気配だ。同容疑者は、機密資料を流すウィキリークスのアサンジ容疑者同様、(行為のよしあしはともかく)米国の機密の壁に挑戦しているつもりだろう。 「獅子身中の虫」を抱え込んだオバマ政権は近年、外交的な得点が少なく、国内では意外にも「スパイ防止法」の適用事例が目立つ。こうした姿勢が政権の精彩を失わせていることは否めず、親米諸国にも離反の動きが出ている。頼みの欧州で不信感が高まり米国の影響力がさらに低下すれば、世界の「学級崩壊」が進みかねまい。そんな懸念を杞憂(きゆう)とすべく、オバマ大統領の奮起に期待したい。
1カ月で1248億件=日本も「関心国」-米盗聴 (2013/10/28-22:08)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013102800934&g=int&relid2=1_2
【ジュネーブ時事】盗聴問題で揺れる米国家安全保障局(NSA)が2012年12月から約1カ月間で、全世界で1248億件の電話を盗聴していた疑いが浮上している。イタリア主要紙が28日、暴露サイトの情報として一斉に伝えた。NSAが標的とした疑いのある国には、メルケル首相に対する盗聴が明らかになったドイツと「同程度」として、日本も含まれていた。伊紙コリエラ・デラ・セラによると、暴露サイト「クリプトム」が明らかにした盗聴期間は12年12月10日~13年1月8日。NSAは通話相手やその電話番号、通話時間などのデータを把握した。国別の盗聴件数は、アフガニスタン220億件、パキスタン128億件、イラン17億件。同盟国ではドイツ3億6000万件、フランス7000万件、イタリア4600万件など。
「オバマ氏、関与せず」=ドイツ首相への盗聴確認-米上院委員長 (2013/10/29-09:32)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date2&k=2013102900126
【ワシントン時事】米上院情報特別委員会のファインスタイン委員長は28日声明を出し、国家安全保障局(NSA)が「2002年から行っていたドイツのメルケル首相に対する盗聴をオバマ大統領は知らなかったと理解している」と発表した。その上で「同盟国の指導者への盗聴に反対する」と表明した。メルケル氏の電話盗聴をめぐっては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がオバマ政権が今夏から始めた情報収集活動の見直しで監視の事実を把握し、やめさせる決定を下したと報道。ファインスタイン委員長の声明は、政権に関与する有力者として一連の報道を初めて裏付けた。ファインスタイン氏はまた、「ホワイトハウスが同盟国に対する情報活動を続けないと伝えてきた」とも指摘。NSAがフランス、スペイン、ドイツなどで監視活動を展開してきた事実を暗に認めた。
同盟国も米指導者を盗聴=情報機関トップが反論 (2013/10/30-10:40)
【ワシントン時事】クラッパー米国家情報長官は29日、下院情報特別委員会の公聴会で、同盟国も米指導者を盗聴していると主張し、国家安全保障局(NSA)がドイツのメルケル首相を含む各国指導者を盗聴していた問題を正当化した。クラッパー氏は「指導者の意図を収集・分析するのは、情報機関の基本的な仕事だ」と明言。活動は法の範囲内で行われていると改めて強調した。一方、中央情報局(CIA)元職員スノーデン容疑者によるNSA活動の暴露について「われわれの能力やわが国の安全を脅かしている」と批判した。
通信傍受の拠点に日本含まれずか (10月29日 11時10分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131029/k10015632811000.html
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アメリカの情報機関が世界の指導者の電話などを傍受していたとされる問題で、ドイツの有力な週刊誌は、通信傍受の拠点となったとされる世界の80か所以上のアメリカ大使館や領事館などの所在地を明らかにし、その中に日本の都市は含まれておらず、対象から外されている可能性があります。ドイツの有力な週刊誌「シュピーゲル」は28日、アメリカのNSA=国家安全保障局がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた疑惑についてのテレビリポートをインターネット上に掲載しました。この中で、アメリカのCIA=中央情報局の元職員から入手したとみられる機密文書が紹介され、このうち2010年8月の資料には、各国の指導者の電話などの通信傍受を担う「スペシャル・コレクション・サービス」と呼ばれる部門の拠点となったとされる世界80か所以上のアメリカ大使館や領事館などの所在地が記されています。この中で、アジアでは北京や上海、それにバンコクやジャカルタなど20か所の都市名が記されていますが、日本の都市は含まれていません。また、イギリスやオーストラリアといったアメリカとのつながりが深い国々も含まれておらず、日本がこうした国々と共に、アメリカの大使館などを拠点にした通信傍受の対象から外されている可能性があります。
米上院幹部 通信傍受事実上認める (10月29日 22時13分)
米情報機関トップ 通信傍受を事実上認める 10月30日 6時35分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131030/k10015663861000.html
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アメリカの情報機関が同盟国の指導者の電話などを傍受していたとされる問題で、情報機関のトップらは、通信の傍受を事実上認める一方、こうした国での市民を対象にした情報収集については否定しました。ヨーロッパなどのメディアは、アメリカのCIA=中央情報局の元職員、スノーデン容疑者が持ち出した情報を基に、アメリカのNSA=国家安全保障局がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴したり、同盟国の指導者や市民の通信を傍受していたと伝え、アメリカに対する批判が高まっています。こうしたなか、アメリカ議会下院の情報特別委員会は29日、公聴会を開き、情報機関のトップらが出席しました。アメリカの情報機関を統括するクラッパー国家情報長官は、「情報機関に入って最初に学ぶ基本は、指導者の考えをどう知るかということで、どんな指導者でも対象になる」と述べ、同盟国の指導者の通信を傍受していたことを事実上認めました。さらにNSAのアレキサンダー長官は、ヨーロッパの同盟国もアメリカの指導者に対するスパイ活動を行っていると主張しました。一方でアレキサンダー長官は、ヨーロッパの新聞などが、アメリカがフランスなどの一般市民の電話などを傍受していると伝えたことについて、「アメリカが集めた情報ではなく、ヨーロッパの同盟国が中心になって集めたものだ」と述べ、こうした報道内容を否定しました。
・ 通信傍受問題で独仏が米と協議へ (10月25日 11時41分)
・ EU首脳会議 米の通信傍受疑惑議題に (10月25日 6時19分)
・ 米情報機関 独首相の携帯傍受の疑い (10月24日 6時34分)