愛国者の邪論

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共産党がはじめてまとめた政府綱領=政権構想!愛国者の邪論は、今、これを提案する必要があると主張!2

2013-10-26 | 国民連合政権

次は、この憲法案の視点を使ってつくられた、いわゆる61年綱領ですが、それは膨大なものです。これも本来は、共産党のHPで資料として掲載されておくべき問題です。過去の資料は、その時代その時代の課題を明らかにすると同時に、その時点における時代的制約やその後の政策的発展を検証するためにも、また誤りは誤りとして、どのように総括し、その後に活かされたか、国民に、その情報を提供すべきです。こうした営みこそが、国民的政党としての地位を確立することになるでしょう。

例えば、民主連合政府綱領が提起された時、「対等・平等の日米関係の確立」の項では、「日米安保条約の解消とともに、平和五原則にもとづいて、対等・平等の日米関係の確立、アメリカ国民との友好をはかる。日本経済の従属・依存関係を改革し、日米間の平等・互恵の経済交流を発展させる」とあります。政権交代マニフェストを経験した国民にとっては、これだけでは政権を託すことはできないかもしれません。

それでは、その後、この項目は、どのようになっていったでしょうか。以下の文章をお読みください。この時期は沖縄の米軍兵士による少女暴行事件や安保再定義など、安保条約の見直しが謀られましたが、共産党は、日米安保条約廃棄後の展望を具体化できていませんでした。極めて抽象的です。従来の方向性の踏襲に過ぎません。

第21回党大会にたいする中央委員会の報告 1997年9月22日

1、日米安保条約の大改悪に反対する

もともと、日米安保条約のもとでの日本の地位は、世界でも例のない異常な従属の体制です。

 沖縄は県ぐるみが基地化されているうえ、東京をふくむ首都圏が、沖縄につぐ第二の米軍基地集中地帯になっている。そこには海兵隊と空母機動部隊という海外遠征を主任務にする二つのなぐりこみ部隊が常駐基地をかまえている。その米軍が事実上の自由行動権をもっていて、しかも米軍基地の体制は、基地の施設建設費を全部日本が負担していることをはじめ、今年度分は二千七百九十八億円、過去から合計すれば二兆六千七百九十一億円にものぼる、条約上の義務もないばく大な「思いやり」予算によってささえられている。こういうことは、どれ一つとっても、世界で他に例がないものであります。…自民党政治には、日本の主権の回復への思いがまったくないといわなければなりません。(拍手)アメリカの対外干渉主義への批判も、日本の軍国主義的過去への反省もまったくないといわなければなりません…みなさん、戦争と平和という、国のもっとも重大な問題からいっても、二十一世紀を、自民党政治にこのまままかせるわけにはゆかないではありませんか。(拍手)

私たちは、決議案で、二十一世紀の日本がすすむべき進路――独立・主権・非同盟・中立の道を明確にしめしました。自民党の安保堅持・アメリカ追従の道が日本と国民をどこに導くのか、それがあからさまな姿であきらかになったいま、国民の先頭にたって、このくわだてをうちやぶるたたかいに力をつくすとともに、日本の新しい進路への国民多数の共感と支持をかちとる努力を、決定的につよめようではありませんか。(拍手)(引用ここまで

こうした、抽象的な言葉にもとづく政策が転換できるようになったのは、以下の綱領提案の会議の時でした。民主連合政府の提唱から、実に20年を要したのです。しかし、これでも、国民的合意を得ると言う点で、まだまだ検証すべき課題があるように思います。そのことは後日にします。

 第7回中央委員会総会 (2003年6月21日~ 23日) 第23回党大会議案 日本共産党綱領改定案

日本共産党綱領改定案についての提案報告 /中央委員会議長 不破哲三

国の独立・安全保障・外交の分野での改革

 「国の独立・安全保障・外交の分野」の改革としては、四つの項目をあげています。

 第一項は、日本を従属国家から真の独立国家に転換させることで、その中心は、日米安保条約を条約第十条の手続き(日本政府が廃棄の意思をアメリカ政府に通告する)によって廃棄し、対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶことにあります。現在の従属関係は多面的ですし、条約や協定にも関連するいろいろなものがありますが、要(かなめ)をなすのは、日米安保条約ですから、そのことを中心にすえて国の独立の問題を解決してゆく、という方向です。

 第二項は、主権回復後の日本のあり方として、非同盟・平和・中立の道をすすむこと、その立場で非同盟諸国首脳会議に参加すること、こういう非同盟・中立の方向です。…これらの活動は、将来の非同盟・中立日本の外交路線にとっても、開拓的な意味をもっていると位置づけることができるものだと思います。

 第三項は、自衛隊についての問題です。この問題では、第二十二回党大会で、「自衛隊問題の段階的解決」として、安保条約廃棄前の段階、安保条約を廃棄して軍事同盟からぬけだした段階、国民の合意で憲法九条の完全実施にとりくむ段階と三段階にわたる解決策を明確にしました。このことを、簡潔に要約したうえで、綱領の上で明記したものであります。

八つの柱を中心にした平和外交

 第四項は、新しい日本が展開すべき平和外交の基本方向で、柱となる八つの方向を規定しています。 (1)は過去の侵略戦争や植民地支配の反省を踏まえたアジア外交、(2)は平和の国際秩序を擁護し、それを破壊するいかなる覇権主義の企てにも反対する活動、(3)は核兵器の廃絶、民族自決権の擁護、軍事ブロックの解体などの諸課題の追求、(4)は無差別テロにも報復戦争にも反対する活動方向、(5)は領土問題、(6)は民主的な国際経済秩序をめざす活動、(7)は人道的な諸問題での、非軍事的手段による国際支援の活動、(8)は平和共存の問題です

 最後の平和共存の問題は、これまでは、社会制度の異なる諸国、資本主義諸国と社会主義をめざす諸国のあいだの平和共存の課題としてとりあげてきましたが、今回は、それにくわえて、「異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立」を、新たに提起していることが、重要な点です。(引用ここまで

 というように、日米軍事同盟を廃棄した後の日米関係と憲法9条にもとづく平和外交ついて、一定の展望が示されたことの意義は大きいと思います。以下日本共産党綱領全文をご覧ください。

 しかし、それから10年が過ぎたのです。第二の躍進以後の「失われた10年」というべきでしょうか。残念なことです。何故か、それは、共産党の方針転換以前に、すでに同様の提起がなされていたからです。以下ご覧ください。

 日米安保条約秘密合意 2000年10月1日 ..www1.jca.apc.org/iken30/News2/N62/N62-08.htm –

 朝日新聞』八月三〇日付朝刊は、一面のトップに大見出しで「日米安保密約の全容判明」「核寄港は事前協議せず」「朝鮮有事での出撃 ..今回の『朝日』の密約報道に応じた のは共産党の『赤旗新聞』だけで、それ以外の商業紙も朝日系列以外のテレビも、一切触れなかった。 . 日米安保条約の批判的検討を正面から開始し、軍事条約に代わって、この会が主張しつづけてきた「日米平和友好条約」を結び、そして 千葉の高校生は、沖縄の少女暴行事件をきっかけに、学習し、自分たちで条約案を起草していたのです。1996年から97年にかけて、でした。愛国者の邪論は、あの明治期の自由民権運動家たちが、憲法草案を起草していたことを想い出しました。政治が政党のものだけではなく、普通の高校生たちも、このような関係で、政治に参加できるということのすばらしさを、です。以下ご覧ください。

6.23慰霊の日のもう一つの視点、日米軍事同盟第10条を考え独立を考える日!大西照雄氏を受け継ぐ!(2013-06-23 18:46:29)

6.23は沖縄の「慰霊」を考える日だからこそ日米軍事同盟廃棄を考え日本の独立をめざす日としなければ!(2013-06-23 19:18:47 )

日米平和友好条約(案)  1996年1月15日 千葉県高校生平和ゼミナール実行委員会起草

それでは、最後に、70年代の第一の躍進の時代に発表した民主連合政府綱領の一部、憲法問題と安全保障に関する部分、9条と自衛隊に関する部分の一部を掲載しておきます。長谷川氏に、この政府綱領を調査していただくことを希望しておきます。それとも、百の承知ということでしょうか。

「民主連合政府構想についての日本共産党の提案」について(1973年11月14日~11月21日)

六、第三部―民主主義について 1、第一章について

(1)憲法問題

日本軍国主義の敗北の結果、一九四七年五月三日施行された現行日本国憲法は、明治憲法と比較して、はるかに進歩した憲法であることはいうまでもありません。

 この憲法は、第二次大戦における反ファシスト連合国の偉大な勝利にもとづく世界の民主勢力の力と要求を反映して、国民主権や平和主義を明記し、団結権、団体交渉権、集会・結社および言論・出版その他いっさいの表現の自由、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活をいとなむ権利、勤労の権利、地方自治など多くの平和的、民主的条項をふくんでいます。しかし他方では、当時日本を占領していたアメリカ帝国主義が、戦後の「民主化」措置をその対日占領に必要な範囲にかぎろうとしていたこと、および日本の反動勢力の要求を反映して、天皇条項や、民族の独立と主権擁護の保障の欠如その他、反動的なあるいは不徹底な条項をのこしています。

 当時、より徹底した民主主義的憲法の制定をめざして奮闘したわが党が、現行憲法の平和的民主的条項を積極的に評価するとともに、反動的な天皇条項をのこし、反戦平和と主権擁護、民主主義の点で不徹底な面をもつ現行憲法を無上のものとして絶対視する態度をとっていないのは、当然のことです。

 主権在民を真に徴底する立場から、「君主制を廃止し、反動的国家機構を根本的に変革して人民共和国をつくり、名実ともに国会を国の最高機関とする人民の民主主義国家体制を確立する」ことを綱領に明記している党として、わが党が天皇条項を支持できないのはあきらかです。

第二に、主権在民の原則は、今日のことは今日の国民がきめるが、将来のことは将来の国民がきめるという意味をも当然ふくんでいます。日本の国民がその自律的な歩みのなかで、主人公として決定するであろう将来の憲法問題について、今日、公明党が、あらかじめわくをはめようとすることは、きわめて不遜な非歴史的行為であるだけでなく、この主権在民の原則にたいする途方もない攻撃であると評せざるをえません。

 しかしわが党は、当面緊急の問題はこうした将来の憲法問題にあるのではなく、政府、自民党によって憲法違反の既成事実がすすめられ、公然たる憲法改悪の策謀が急速に表面化しているとき、軍国主義復活強化にたいして歯止めの役割をはたしている現行憲法の改悪に反対し、その平和的民主的条項の完全実施を要求する国民の団結と統一をつよめることにあるとみなしています。

 自民党の「憲法改正大綱草案」は、天皇の元首化、自衛隊と日米安保条約の合憲化、公共の福祉を口実とする基本的人権の制限、国会の立法権を制限する内閣の緊急立法権をもりこむなど、日本の平和と民主主義をあやうくする憲法の全面改悪をくわだてています。他方では、憲法の勝手な解釈をどんどんひろげ、自衛の範囲なら陸海軍をもってもいいと主張するなど、憲法の平和的民主的条項の空洞化をおしすすめています。多くの国民の生活にとっては、憲法第二十五条に規定された健康で文化的な最低限度の生活を営む権利は、絵にかいたもちにすぎなくなっているのでありませんか。

 このような反動的攻撃に直面して、将来の憲法問題でたとえ不一致があったとしても、すべての革新勢力が、憲法改悪反対、平和的民主的条狽の完全実施のために団結することが必要であり、それを妨げるなんの障害もありません。

 しかも、わが党は、革新三目標で接近している各党間の憲法問題での一致点を真剣に探求して、民主連合政府の実行すべき政策として、憲法改悪反対、平和的民主的条項の完全実施、政府としての現行憲法の尊重と擁護という三点を提起しました。これは憲法九十九条によって、政府は憲法の順守義務を課せられている点を考慮したものであります。しかし、それはけっして現行憲法の保守主義的な絶対視を意味するものではありません。もともと現行憲法にしても、主権在民の原則からいって当然なように、憲法改正が将来の国民の選択によってなされる可能性を前提としており、その場合の改正手続きを九十六条で定めてさえいるからです。

 われわれは公明党が、将来の憲法問題を共闘の障害とする態度をあらため、共、社、公三党とも政策的には一致あるいは接近しつつある革新三目標を基準として、国政革新をのぞむ国民の熱い期待にこたえた革新統一戦線結成にむかって、勇気ある一歩をふみだすことをのぞみたいと思います。

 党内討議のなかでも、天皇制の存続を認めるのはおかしいという意見がでています。

 現行憲法の天皇条項をわが党が支持していないことはいうまでもありません。同時に提案は、すでにのべた憲法についての三つの態度ですべての革新勢力の一致をはかる観点で、天皇の国政関与を禁止した憲法条項の厳守を政策として提案しました。このことは、自民党政府が、天皇の訪米とニクソソ訪日とを結びつける形で、日米軍事同盟の侵略的強化を促進する手段に天皇をつかおうとしたり、国会開会式で自民党政府の政策を支持する内容の「おことぱ」を発言させるなど、憲法の天皇条項すら逸脱したいっさいの行為をなくし、天皇を利用する政治反動と軍国主義復活の策謀をおさえるうえで一定の意義をもっています。現在わが党の独自の主張である天皇制の廃止には賛成できなくても、天皇の政治的利用に反対することでは、国民の大多数が一致しうるでしょう。政府綱領提案は、天皇の問題についても、このように統一戦線と国民の圧倒的多数が一致できる政策を提起しています。(略)

 四、第一部―安全保障・外交政策について    

2、平和・中立について

 また民主連合政府は、あらゆる軍事同盟を解体し、「社会体制のことなる諸国をもふくむすべての関係諸国が参加して、相互に侵略や干渉を抑制しあい、安全を保障しあう」集団安全保障体制の確立、さしあたりアジア・太平洋地域の地域的な集団安全保障体制の確立をめざして努力します。

 平和・中立の日本は、この集団安全保障体制に参加しますが、そのさい、侵略にたいする軍事的な制裁には参加せず、経済、運輸、外交など、非軍事的制裁に参加します。

 なお、いうまでもないことですが、わが党のいう「軍事的中立」とは、「政治的中立」や「局外中立」のことではなく、いかなる軍事同盟にも参加しないことであって、政府綱領提案にも明記してあるように、「自国の主権と安全をきびしくまもるとともに、諸民族の民族自決を支持し、独立と主権、自由と平和のためにたたかうすべての国および国民と連帯して、アジアと世界の平和、諸民族の独立のために奮闘する」政策をとります。集団安全保障体制が確立されたときも、そのなかで中立国として、積極的役割をはたすものであります。

 これらの国際的保障をかちとることができるならば、それらがきわめて有効な役割をはたすことはあきらかです。日本の中立の侵害は、目際法上確立された地位を公然とふみにじることであり、日本の中立を保障し、平和と民族的自決をまもろうとする諸国全体のつよい抗議と糾弾をうけることとなるからです。

 しかし、国際的保障が有効にははたらく前提は、なによりもまず日本国民自身の、独立・中立をまもりぬく意思と行動にあることはいうまでもありません。それゆえ、第二に政府綱領提案は、「中立日本の安全保障」として、まず政府の「平和政策の積極的推進」と、「独立・中立を擁護する国民の決意と政治的団結の強化」をあげ、ついで「中立日本の国際的保障」をあげてあるのです。

 平和・中立の日本が、中立の侵犯を許さずそれを防止する自衛の権利を行使することは、中立国として当然の義務であります。だからこそわが党は、将来は、独立・中立の日本をまもるための最小限の自衛措置をとるべきことをあきらかにしていますが、現在の日本の憲法は、たとえ自衛のためであっても、国が軍隊をもつことを禁止しています。民主連合政府と日本国民は、さきにあげた三つの手段を主として、他国の干渉や侵略政策に対処しなければなりません。

 ではなぜ民主連合政府は、すぐ憲法第九条を改正して、いまの自衛隊をつかうとか、必要最小限度の自衛措置をとるとかしないのか。それは第一に、憲法改正問題というのは、社会全体の歴史的発展に即して提起されてくる問題であって、第九条の問題だけで憲法改正に手をつけるべきではないからです。第二に、民主連合政府の安全保障上の最大の任務は、現実に日本の安全をおびやかしている日米軍事同盟を解消して平和・串立化を達成すること、アメリカ太平洋軍の一環にくみこまれて、日本軍国主義復活の推進力となっている違憲の自衛隊の増強に正しく対処することであるからです。

 一部の議論が指摘するように、独立した国家が一定の期間軍隊をもたず国の安全保障を確保しようとするのは、それとしてはたしかに一つの矛盾であります。しかしこれは、戦後二十八年間、アメリカ帝国主義の占領と半占領がつづき、なんら自衛軍の名に値しない違憲の従属的軍隊を増強させてきたアメリカ帝国主義と自民党政府が、平和・中立日本と民主連合政府におわせた悪しき遺産であり、かれらに責任のある矛盾にほかなりません。日本国民は、現行憲法の平和・民主条項を完全実施し、日米軍事同盟の解消と対米従属・ 国民弾圧、違憲の自衛隊を解散させるのに必要な歴史的段階を通過することなしには、この矛盾を解決して、真に独立・中立の日本にふさわしい、新しい自衛の措置をとりうるつぎの段階に前進できる国民的な条件をつくりだすことができないのです。

 それでもなおかつ、万一、中立日本の国際的保障をも無視して侵略があった場合はどうするかという問題が提出されてます。仮定の問題ですが、そうしたさい、すべての民族、国家がもっている自衛権にもとづいて、民主連合政府は、日本の中立を保障している諸国民と政治的に連帯し、国民とともに侵略者に断固抵抗するでしょう。

 このような事態は、現行憲法があまり予定しない事態ではありますが、自衛権が、国家が自国の主権または自国民にたいする急迫不正の侵害をとりのぞくためにやむをえず行動する正当防衛の権利であり、主権国家の基本権の一つとしての自衛権が憲法第九条によっても否定されていないことは、すべての憲法学者や国際法学者もみとめているところです。このような急迫不正の侵略にたいして、国民の自発的抵抗はもちろん、政府が国民を結集し、あるいは警察力を動員するなどして、この侵略をうちやぶることも、自衛権の発動として当然であり、それは憲法第九条が放棄した戦争や武力行使でもなく、同条で否認した交戦権の行使や戦力保持ともまったくことなるものです。(引用ここまで

どうでしょうか。今日と比べると、共産党がどのように政策を発展させてきたか、判るのではないでしょうか。憲法の位置づけ、天皇論、自衛隊論、日米安保条約論など、その時代その時代と格闘して、その政策を発展させてきたことを、是非とも検証してほしいものです。

その際に、どの部分が「一言で言えば、共産党は重要政策で自分たちの本音を隠して、国民に耳触りのいい議論をばらまいている」(長谷川氏)のか、具体的に検証をお願いしたいものです。そうすることで、国民的議論が巻き起こるのではないでしょうか。そのことで、国民が政治の主人公・主役となるのではないでしょうか。共産党を困らせるような多角的な質問をこそ、すべきことではないでしょうか。

しかし、それにしても、安倍自公政権の憲法無視の政治が、具体化されてきているのにもかかわらず、この政権を打倒して、新しい政権を樹立しようという動きが起こらない、起こさないのは、大変問題であると思います。本来であるならば、特定秘密保護法案などの上程にあたっては、大ストライキが提起されなければならないのではないでしょうか。或いは大デモンストレーションです。安倍首相を追い詰める国民の動きです。そして、それに替わる政権構想です。これについては、後日記事にしてみます。


共産党の憲法論・天皇制論・安全保障論は一貫している!それは主権は国民にあり!敗戦直後の文書から 1

2013-10-26 | 憲法

以下の文章を長谷川幸洋氏(東京・中日新聞論説副)が週刊誌に発表し、不肖愛国者の邪論、生意気にも、それを批判する記事を書いてきました。その理由は、マスコミ界に身をおくジャーナリストが、国民に対して正確な情報を報せていないことに対する愛国者の邪論なりの考えがあったからです。そのことは、マスコミとは何か、何であらねばならないか。愛国者の邪論の基本的スタンスを、ここでも述べたつもりです。

本来であれば、このような資料は、共産党が、その中央委員会付属組織・社会科学研究所としてHPを設置し、公開すべきことでしょう。ネット時代にあって、そうした活動があれば、共産党に対する様々な考えが払拭できるのではないかと思うところです。現在の共産党のHPには、その資料の「引き出し」が不十分と思いますので、改善を求めたいと思います。ま、視ているかどうか、判りませんが…。 

そこで、最後に、長谷川氏の最後の部分について、戦後共産党の原点を紹介することで、共産党のスタンスを紹介しておくことにしました。こういうこと書いたからと言って愛国者の邪論が、共産党の全てについて、賛成しているか、というと、必ずしも賛成してはいないことは、この間の記事で明らかにしてきましたので、再度ご確認いただければと思います。それもこれも、主権は個人にあり!民主主義の鉄則に基づくからです。その事を確認しながら、以下掲載しておきます。

護憲で知られる日本共産党 1946年当時は憲法9条に反対した 2013年10月24日(木)7時0分配信 NEWSポストセブン

http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/postseven-20131024-223497/1.htm

…共産党が本音でどう思っているかといえば、実は自衛隊は最終的にいらず、象徴天皇制もいらないと思っている。それは討論で確認した。それなら、少なくとも天皇制については、絶対に護憲ではない。だいたい第9条だって、もともと共産党は反対だった。1946年当時、リーダーの1人だった野坂参三衆院議員は「自衛権を放棄すれば民族の自立を危うくする」といって9条に反対しているのだ。私がそこを指摘すると、小池は「当時の吉田茂首相が『9条には自衛権がない』と言ったからだ。後で自民党政権は『自衛権はある』と認めたから、いまの憲法でいい」という理屈を展開した。そんなことを言ったら、共産党が憲法に反対したり賛成したりするのは、政府の憲法解釈次第という話になってしまうではないか。独立した政党の主張がそれでいいのか。一言で言えば、共産党は重要政策で自分たちの本音を隠して、国民に耳触りのいい議論をばらまいている。経済政策ですっきり自分たちの主張を唱えているように、安保防衛・外交政策でも正々堂々、自分たちの本音で勝負してもらいたい。(引用ここまで

 以上の長谷川氏の指摘を読むにつけ、思うことは、共産党に対する不理解というか、不信感があるように思います。何故、このような不信感が生じるのでしょうか。勿論、一般的には、不理解や不信感があってもいい訳です。問題は、繰り返しますが、ジャーナリストとして、ということです。

 この不理解・不信感は、この文章だけでは判りませんが、それにしても、共産党のことをどれだけ調べて文章をまとめたのか、番組の中での会話から判断したようでもあります。しかし、文章にする以上、それまでの共産党に対する長谷川氏の印象と小池氏などの発言と具体的な資料を踏まえて文章にすべきでしょう。何故かと言えば、この文章が独り歩きしていくからです。このことはジャーナリストとして、どうでしょうか。ここが問題と思うのです。

 ところで、愛国者の邪論に言わせれば、「本音を隠して、国民に耳障りのいい」ことを言っているのは、安倍首相ではないでしょうか。このことは、この間、たくさん記事にしてきました。長谷川氏は、「政府の規制改革会議委員」を勤めているとありました。長谷川氏は規制改革会議においても、週刊誌で展開しているような共産党論、共産党印象論のような手法で発言しているのでしょうか。そうではないと思います。具体的な資料に基づいて発言もしていることでしょう。そうでなければ、とても委員には選出されないでしょう。

 ま、近著に『政府はこうして国民を騙す』(講談社)もあるようです。共産党も自民党もどっちもどっちということでしょうか。ま、どのような考え方をお持ちか、今度、近著を読んでみることにします。

 それでは、まず憲法論・天皇論・安全保障論がまとめられている歴史的文書を紹介します。ここが出発点です。戦前のものは、省きます、というか、ありません。これこそ、共産党にお願いしたいと思います。

 ところで、以下の文章を読んで思うのは、主権が国民、人民にあると言うことです。ここから全てが組み立てられているように思います。戦前の主権者は、天皇でした。国民は臣民でした。8月15日を境に逆転したのです。正確には、国体護持かどうか、支配層内部と連合国の間で鋭く問われている中で発表されたのです。また、いわゆる「政治犯」が10月10日に釈放されて一ヶ月で、どの政党よりも早く新憲法の骨子を発表するのです。このことの意味と、拘束していたのは誰か、などを含めて、拘束されていたことの意味をどのように国民が考えるか、です。

 次の憲法草案の前文と日本国憲法の前文を比べると、共産党の憲法草案の言葉との共通性があることに気づきます。また当時他の団体や政党がどのような憲法草案を提出していたか、そのことを踏まえると、この憲法草案の持つ意味が浮き彫りになってきます。特に廃墟のなかで、武装解除がなされている中で、天皇の人間宣言がなされている中での第一章の位置づけです。特に第5条と、その後の憲法第9条の関連に注目です。

1 日本共産党の新憲法の骨子(一九四五年十一月十日決定)

一、主権は人民にある。

二、民主議会は主権を管理する。民主議会は十八才以上の男女の選挙権、被選挙権の基礎に立つ。

 民主議会は政府を構成する人々を選挙する。   

三、政府は民主議会に責任を負ぶ。議会の決定を遂行しないか、又は其の遂行が不充分であるか、

 或は曲げた場合、其他不正の行為あるものに対しては即時やめさせる。

四、民主議会の議員は人民に責任を負ふ。選挙者に対して報告をなさず其他不誠実、不正の行為ありたる者は即時やめさせる。

五、人民は政治的、経済的、社会的に自由であり、且つ議会及び政府を監視し批判する自由を確保する。

六、人民の生活権、労働権、教育される権利を具体的設備を以て保障す。

七、階級的並に民族的差別の根本的撤廃。

            〈「赤旗」 一九四五年十一月二十二日付〉

 

2.新憲法草案の発表に際して一九四六年六月二十九日  日本共産党中央委貝会憲法委貝会

一、わが党はここに新憲法草案を発表し全人民大衆の広汎な討議にゆだねる。わが党の望むところは、大衆的な民主主義的討議によって民主主義日本建設の指標としての新憲法草案を完成し、人民の手による真の民主憲法のために全人民とともに奮闘することである。

ニ、天皇制政府の無条件降伏によるポツダム宣言の受諾によって、日本人民は思想と言論の自由および自由に表明された意思によって自己の政体を決定する権利を保証された。わが党は公然と活動をはじめて以来、人民を奴隷的圧制のもとに呻吟させた根源は、天皇制・寄生的大土地所有制・労働者の植民地的搾取にあることを立証して、欽定憲法の露骨な反動性と政府の天皇制憲法案の非民主性を指摘した。わが党の草案は断じて主権在君憲法案または似而非主権在民憲法ではなく、真の人民の民主的憲法として人民共和政体を内容としている。人民の権利も客観的に可能な範囲内でできるだけ具体的に保証することに留意した。

三、わが党は行動綱領および本憲法草案の示すように、一切の封建的、特権的身分制度に反対し、この廃止を目標の一つとしている。従って特権的身分制度としての皇室は当然廃止さるべきであるが、人民共和政府が実現し人民大衆の民主的教育が徹底したのち、この問題を人民投票に問うて決定する方針であることはわが党がかねて声明したとおりである。

四、本憲法草案は政治、経済における封建的遺制の撤廃にもとづく民主主義革命の実現を内容としている。社会主義社会を通じての共産主義社会においてこそ一切の搾取制度が根絶され、能力に応じて働き、必要に応じて分配され、人類最高の目標が到達されるものであるが、それは民主主義の徹底を通じてのみ実現されるものである。原則として憲法とは単なる綱領ではなく到達された社会的、政治的発展の法制化である。しかしブルジョア民主主義革命の端緒にたつ当面の日本では目前の現実の法制化ではなんらの進歩的意義ももちえず、かえって民主主義の徹底を阻害する。少くともブルジョア民主主義革命の実現を内容とするものこそ民主主義憲法といいうる最小限度のものである。その意味で本案はわが党の最小限憲法綱領の具体化である。さらにそれは現実にブルジョア民主主義革命の課題が達成された後には、現実の具体的条件と到達した民主主義的諸成果を基礎として、さらによりよき完成を期待しうるであろう。

〈「アカハタ」 一九四六年七月八日付。『前衛』 一九四六年七月一日号(第八号)〉

3.日本共産党憲法草案(一九四六年六月二十八日決定)

    前  文

 天皇制支配体制によってもたらされたものは、無謀な帝国主義侵略戦争、人類の生命と財産の大規模な破壊、人民大衆の悲惨にみちた窮乏と飢餓とであった。

 この天皇制は欽定憲法によって法制化されていたように、天皇が絶対権力を握り人民の権利を徹底的に剥奪した。それは特権身分である天皇を頂点として、軍閥と官僚によって武装され、資本家地主のための搾取と抑圧の体制として勤労人民に君臨し、政治的には奴隷的無権利状態を、経済的には植民地的に低い生活水準を、文化的には蒙昧と偏見、迷信と盲従とを強制し、無限の苦痛をあたえてきた。これに反対する人民の声は、死と牢獄とをもって威嚇され、弾圧された。この専制的政治制度は日本民族の自由と福祉とに決定的に相反する。同時にそれは近隣植民地・半植民地諸国の解放にたいする最大の障害であった。

 われらは苦難の現実を通じて、このような汚辱と苦痛にみちた専制政治を廃棄し、人民に主権をおく民主主義的制度を建設することが急務であると確信する。この方向こそかつて天皇制の下にひとしく呻吟してきた日本の人民と近隣諸国の人民との相互の自由と繁栄にもとづく友愛を決定的に強めるものである。

 ここにわれらは、人民の間から選ばれた代表を通じて、人民のための政治が行われるところの人民共和政体の採択を宣言し、この憲法を決定するものである。天皇制はそれがどんな形をとろうとも、人民の民主主義体制とは絶対に相容れない。天皇制の廃止、寄生地主的土地所有制の廃絶と財閥的独占資本の解体、基本的人権の確立、人民の政治的自由の保障と人民の経済的福祉の擁護―これらに基調をおく本憲法こそ、日本人民の民主主義的発展と幸福の真の保障となるものである。

日本人民の圧倒的多数をしめる勤労人民大衆を基盤とするこの人民的民主主義体制だけが帝国主義者のくわだてる専制抑圧政治の復活と侵略戦争への野望とを防止し、人民の窮極的解放への道を確実にする。それは人民の民主的祖国としての日本の独立を完成させ、われらの国は国際社会に名誉ある当然の位置を占めるであろう。日本人民はこの憲法に導かれつつ、政治的恐怖と経済的窮乏と文化的貧困からの完全な解放をめざし、全世界の民主主義的な平和愛好国家との恒久の親睦をかため、世界の平和、人類の無限の向上のために、高邁な正義と人道を守りぬくことを誓うものである。

    第一章 日本人民共和国

第一条 日本国は人民共和制国家である。

第二条 日本人民共和国の主権は人民にある。主権は憲法に則って行使される。

第三条 日本人民共和国の政治は人民の自由な意思にもとづいて選出される議会を基礎として運営される。

第四条 日本人民共和国の経済は封建的寄生的土地所有制の廃止、財閥的独占資本の解体、重要企業ならびに金融機関の人民共和政府による民主主義的規制にもとづき、人民生活の安定と向上とを目的として運営される。

第五条 日本人民共和国はすべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない。

第二章 人民の基本的権利と義務(略)

第三章 国会(略)

第四章 政府(略)

第五章 国家財政(略)

第六章 地方制度(略)

第七章 司法(略)

第八章 公務員(略)

第九章 憲法改正(略) 

4.日本共産党の憲法修正案の要点

〔編者注〕一九四六年七月二十五日、憲法改正案委員小委員会に提出された修正案の要点。

▽前文 「主権在民」を明記

▽第一章 天皇 全文削除

▽第二章 戦争の拠棄 「他国征服の戦争に反対する」及び「他国間の戦争に絶対に参加しない」むねを明記

▽第三章 国民の権利及び義務 「国民の自由と権利は物質的に保障される」むねを明記する、すなはち(イ)集会、結社、言論、出版の自由(ロ)資力なき青年が高等教育を受ける権利(ハ)勤労の権利と失業者が保護を受ける権利(ニ)休息の権利(ホ)勤労婦人の特殊保護(へ)寡婦の保護(ト)老年、疾病者、労働災害者の保護(チ)住宅の保障等を明記私有財産の補償規定については「公共の必要あるときは補償しないこともある」ことを明記、耕作権の保障、陪審制、冤罪者にたいする補償も明記

▽第四章 国会 参議院の規定を削除し一院制とする、また比例代表制をとり、人民の罷免権を規定する

▽第十一章 補則第九十七条の生存中の華族貴族を認める規定を削除

▽第百条に「国務大臣、衆議院議員、裁判官その他の公務員はこの憲法執行のためその地位を失ふ」ことを規定する

      〈「アカハタ」 一九四六年八月二十七日付〉